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メッセージ

作者: あけよん

小学生の頃の話だ。


担任の先生が退職する事となった。理由は分からないが特に変な噂もなかったので、円満退職だろう。


先生はクラスの人気者だったし私も大好きだった。余った給食のおかわりのじゃんけんにも参加する戯けっぷりや一緒に掃除をしてくれたりもした。そんな先生が、学校からいなくなる。


そしてホームルームでの最後の先生の話。


「とうとう今日が最後だ。このクラスみんな一人一人素晴らしいものを持っている。先生は最後の教師生活このクラスで本当に良かったと思う。みんな、ありがとう。」


中には泣いている生徒もいる。私も泣きそうだった。


「おいおい、泣くな。良いかお前ら。泣いてる時、泣きそうな時、辛い時、そんな時は無理してでも笑え!そんな時はなかなか笑顔を作るのは難しいと思うが強がってでも笑え!そうすればほんの少しでも楽になれすはずだ!」


先生は笑顔でそう言っていたが、涙目だった。



その後、他所から来た先生が私のクラスの担任になった。その先生はとてもしっかりしている先生だった。その為ものすごく厳しかった。クラスの雰囲気がガラッと変わった。

私は新しい先生は苦手だった。やっぱり前の先生の方が良かったのが正直な気持ちだ。

きっとクラスのみんなもそうだったと思う。


そんなある日、私は忘れ物をした。みんなの前で先生にものすごく怒られた。公開処刑だ。新しい先生は忘れ物には特に厳しかった。

前の先生は忘れ物をしたら1日黒板消しや、授業で使うものを運ぶ手伝いなどの罰ゲーム方式で反省させてた。


どっちが生徒のためになるかというと微妙だ。厳しさも大事な事だと思うが行きすぎてはダメだ。執拗に厳しいと、全て嫌に思えてきてしまう。子供なんて特にそうだろう。


実際、新しい先生になってからは学校へ行くのが苦痛だった。

そして今、私はみんなの前で怒鳴られている。


もう嫌だ。前の先生戻ってきてよ。怖いよ、苦しいよ、泣きそうだよ・・・。


(そんな時は無理してでも笑え!)


思い出した。大好きだった先生の最後のメッセージ。


私は無理して全力で笑顔を作った。そして強がって笑った。


ビンタされた。


反射的に私は頬押さえて「あれーっ?!」って笑顔のまま叫んでいた。




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[良い点] 行き場所のない感情 どうしようもない無力さ
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