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神童による野球部再興  作者: 芹沢翔太
8/36

待ちに待った初試合 VS城西 (1)

 さあ、試合が始まった。うちは先攻だ。

 ・・・昨日、終わり際に皆にこのチームの方針を伝えた。

 それは、「打ち勝つ野球」をすることだ。

 このチームは、投手は弱いが野手はそろっている。そこで何とかカバーするというわけだ。

 そのためには出塁して、打ちまくる。それがこのチームの目標だ。


 マウンドの相手投手の投球練習を見る。さすがは強豪校のピッチャーだけあって、球速は大分速い。しかし、そこまで凄みも感じない。エースではないのだろう。まあこんなチームにエースなど当てないだろう。

 ならば、こちらが引きずり出すだけだ。


 投球練習が終わり、内野は球回しをする。

 さすがに内野手の動作も早く、肩が強いが、何となくさっきからだらけた印象だ。まあ弱小校相手にモチベーションが上がらないのだろう。


 打席に1番の柴崎さんが入る。

 いよいよプレイボールだ。

 投手が投球動作に入る。ゆったりとしたモーションから速球を投げ込む。

 見る。ストライク。柴崎さんは落ち着いた様子で構えなおす。

 2球目、投げる。今度は振りにいった。三塁線を鋭く転がる。ファール。

 柴崎さんはバットコントロールが非常にうまい。内でも外でも逆らわずに広角に打ち分ける技術を持っている。

 3球目、投げる。今度は変化球だったが、柴崎さんは落ち着いて見送った、ボール。

 柴崎さんは選球眼もいい。そのため、高確率で出塁が見込める。だから1番に置いた。

 4球目、速球を投げ込む。打ちにいく。鈍い金属音がした。

 打球は三遊間に鈍く転がる。ショートが捕ってすばやく投げるが、一塁はセーフ。柴崎さんの俊足が勝った。

 

 これで無死一塁、打席には2番の増田さん。

 投手がセットから投げ込む。1球目は見てボール。

 バントのサインは出さない。増田さんはチームバッティングを常に意識している。加えて、流し打ちが非常に上手い。増田さんが2番に入れば、バントではなく進塁打を狙い、あわよくば無死一・三塁が作れる。

 2球目を投げ込む。変化球、増田さんが打つ。

 打球は一二塁間深くに転がる。セカンドがぎりぎり届き、一塁に投げる。アウト。

 

 しかし、これで一死二塁だ。バッターは3番の石村さん。

 ピッチャーが1球目を投げる。ストライク。

 石村さんはバットコントロールもよく、パワーもそこそこある。バントもうまいし、チームバッティングの意識も欠かさない。つまり、何でもできるのだ。

 その後3球見て、2ボール2ストライク。

 5球目を投げる。石村さんがそれを打つと、鋭い打球がショートの頭を超えていった。レフトが2バウンドで捕球し、ランナーは三塁で止まった。

 

 一死一・三塁で4番の俺に回る。

 バッテリーも俺のことを知っているのだろう。少し慌てて何か話している。

 このチームの理想的な攻撃ができた。1,2,3番に出塁力の高い選手とチームバッティングがしっかりできる選手を置いて、4番で返す。ここからが俺の仕事だ。

 捕手が戻り、投手がセットする。そして、投げ込む。見て、ボール。

 ・・・自分の打撃の何が優れているかと聞かれたら、自分では総合力だと思っている。ミート力、長打力、勝負強さ。全てで高水準の能力を持てている、と自負している。

 投手が2球目を投げる。変化球だ。しかし、甘い。振りにいき、芯で捉える。

 鋭い金属音、ボールは鋭く高く飛び、やがてフェンスの外に落ちる。


 ホームラン。相手投手ががっくりとうなだれているのを横目に、ホームを1周する。

 ホームで石村さんと柴崎さんが嬉しそうに待っていた。

 ベンチに戻ると、皆から祝福される。

 ・・・よし、これで3点取った。このまま勝つぞ!


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