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神童による野球部再興  作者: 芹沢翔太
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やがて訪れる最初の試練

 9人での新チーム体制でスタートしてから、いくらか日が経った。

 練習は、機材が整備されてないことと、新入生が硬球にまだ慣れていないため、基礎的なものばかりだった。

 大会はまだもう少しまだ先だが、そろそろチームを本格的に作っていった方がいい頃だろう。

 

 そうして練習していると、グラウンドに一人の男性が入ってきた。


 「あ、中山先生、どうしたんですか?」


 石村さんが気付いて声をかける。中山先生か、知らない先生だ。

 

 「ああ、ちょっと連絡があってね。知らせるのは早いほうがいいと思って」


 中山先生がそう言った。


 「あ、1年は知らなかったか。中山先生はこの部の顧問だよ。まあ野球のこと全然知らないんだけどね」


 武藤さんが教えてくれた。

 そういえば、顧問の先生は今まで来ていなかったな。


 石村さんが全員を集め、中山先生の前に並んだ。


 「やあ、こんにちは。1年生は初めましてだね。顧問の中山です。挨拶が遅れてしまって申し訳ないです。・・・君が神谷君か。ちらっと聞いてたけど、凄いんだってね。まあ僕は詳しくないから知らなかったんだけども。」


 先生が微笑みながら挨拶してきた。


 「まあ今日は挨拶にも来たんだけど、もう一つ、連絡があってね。・・・練習試合が決まったよ。相手は城西中だ」


 先生はそう告げる。


 「城西中ですか!?なんでそんなところがうちなんかに・・・」


 石村さんが驚いて尋ねた。そう思うのも無理はない。城西中は県内でも割と上位に入る学校だ。こんな人数ぎりぎりの中学なんかとは普通練習試合なんて組まないだろう。


 「ああ、なんでも神谷君と縁があるとか言ってたよ」


 ・・・やはりそうか。心当たりは一つあった。


 「神谷、城西中と何かあったのか?」


 石村さんが不思議そうに尋ねる。


 「城西からは特待生として推薦が来てたんですよ。それを断ったから根にもたれたんですかね」


 全国制覇したということで、俺には県内からも県外からも数えきれないスカウトが来た。城西もその一つだ。

 俺がこの中学に入ったのはおそらくいろんなところに知られているだろうし、絡まれることも予想はしていた。

 

 「どうする?この誘い受けるか?」


 先生がそう聞いてきた。

 先輩たちは渋そうな顔をしている。


 「・・・せっかくなので受けましょうよ。力を試すいい機会じゃないですか」


 「神谷、そういってもな・・・今の状態じゃ勝負になるかどうか・・・」


 「じゃあ勝負できる状態に持っていきましょうよ」


 「え?」


 何を言ってるんだ?という顔で皆がこちらを見る。


 「俺も尽力しますよ。せっかくですし試合してみましょうよ」


 俺はこのチームを日本一にするのだ。この程度の壁、どうってことない。


 「で、どうする?受けるかい?」


 「・・・そうですね。受けてみましょうか」


 石村さんがそう決断した。皆もやってみるかという感じで表情を引き締めた。


 「やる以上、今よりも厳しくいくが、皆それでもいいか?」


 石村さんが皆に問う。

 もちろんだというように全員がうなずく。

 

 新チームでの初めての試合に向けて、チームが動き出そうとしていた。 

 

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