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神童による野球部再興  作者: 芹沢翔太
29/36

狙う金星 VS天道 (3)

 自分は二塁打を打ったものの、それ以外は完璧に抑えられて、良いムードでは3回を迎えられなかった。

 しかし、今のところは相手打線もある程度抑えられている。まだ勝機はある。

 天道中の野球スタイルは、4番の平塚を軸に数点をもぎ取り、あとはエースの渡部が抑えきって僅差で勝つというのがいつものパターンだ。

 だから実は打線全体はそこまで強力ではない。だから下山でも抑えられている。だが平塚は当然凄いし、ランナーが出てからヒットが打てなくても点を取る術はしっかりチーム全体で心得ている。

 まあ逆に言えば平塚さえ抑えられれば失点は大分防げるのだ。だから守りの方はあまり心配していない。

 

 問題は攻撃の方だ。間違いなく相手のエース、渡部は素晴らしいピッチャーだ。さっき俺が先頭で出塁できても後続は圧巻のピッチングで進塁さえ許さなかった。

 点を取ることが厳しくなってくる。こちらも極めて打力が高いチームではない。自分で言うのもなんだが俺を中心に点を取っていくチームだ。でも俺が何とか打ってもあのピッチャーから点が取れるビジョンが浮かばない。

 とにかく、これ以降失点すると厳しい。何とか投手戦にもっていかなければ。


 8番を迎える。このチームは守備を重視しているため特に下位打線が弱い。しっかり抑えていこう。

 1球目ストレートを投げる。打者は初球から振ってくるが空振り、ストライク。

 2球目はカーブ。これは外れてボールになる。

 3球目はストレートを低めに。見逃してストライク。

 4球目、またストライクを今度は高めに要求する。これを打者は空振り、三振となった。

 さっきよりも球威が上がった気がする。下山は前の回の攻撃で渡部に三振に取られた。それが下山の闘争心に火をつけたのかもしれない。


 9番の渡部が打席に入る。やはり下山がいつもよりも闘志あふれた感じになっている。

 ここでもストレート攻めでいく。あっさりと追い込むと、スライダーを空振り三振。下山もさらに気合が入ったようだ。

 続く1番もその勢いのまま打ち取り、3回の表は三者凡退で終わった。

 皆もナイスピッチ、と下山に声をかける。


 しかし相手も負けておらず、8番9番を三振に斬って取ると、2巡目に入った柴崎さんはショートゴロに打ちとられた。

 やはり、この試合は投手戦になりそうだ。

 

 そして、4回を迎えると、下山もさっきの渡部のピッチングに負けじと球威あるストレートとスライダーで打者を封じ込め、2,3番を打ち取ると、打席には4番平塚。

 先程はツーベースを打たれた。今のところあれが唯一の被安打だった。

 初球、ストレートを入れる。ストライク。前の打席は下山は委縮して投げていたので、球威は全然違う。

 2球目はスライダー。これもストライクコースに入れると、これを平塚は打った。

 鋭い打球が三遊間を襲ったが、石村さんが素早く反応して捕球、落ち着いて一塁に送球して、3アウトとなった。

 見事に平塚を打ち取った。下山もかなり嬉しそうにしている。

 

 「ナイスピッチ」


 そう声をかけると、笑いながら、


 「ああ、ありがとう。なんか力が湧いてくるようだよ」


 と言った。この調子ならいけるぞ!


 2番から始まる4回の裏の攻撃は、渡部攻略にそれぞれ考えを出していた。

 森山は打席の後ろギリギリに立ってみたが、変化球にきりきり舞いになってしまい、三振。

 石村さんは逆に少し前に出たが、案の定速球についていけず三振。

 続く俺はバットを短く持って対応したが、外の変化球を続けられ、セカンドゴロに打ち取られた。

 いろいろな対策をいとも簡単にかわしていく渡部は、間違いなく好投手だった。


 お互いがそれぞれの投手を打ちあぐねながら、5回の表に入っていった。

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