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神童による野球部再興  作者: 芹沢翔太
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出会いと挨拶

 深く下げた頭を上げ、部員の顔を見ると、一同戸惑ったような顔をしていた。


 「あー・・・入部希望ってことは、新入生か?入学式終わってすぐ来るなんて珍しいもんだな・・・」


 大柄な部員が話しかけてきた。


 「はい!一日でも早く参加したくて!」


 「そうか、やる気があるのはいいことだからな。俺は3年の石村だ。一応キャプテンをやっている。よろしくな」


 キャプテンだったのか。大柄だが優しそうな顔立ち、いかにもいい人という感じだ。


 「しかし、今日から新入部員が来るとはな。どうするかな・・・」


 石村さんが困ったように呟いた。


 「石村さん、この人数ではまともな練習は見せられないのでは・・・?」


 部員の一人が言う。


 「ああ、そうだな、どうしたもんかね・・・・。とりあえずみんなで自己紹介でもしとくか。じゃあもう一回、俺は石村、キャッチャーだ。じゃあ上級生から」


 石村さんがそう言うと、細身な部員が口を開いた。


 「・・・3年の柴崎だ。一応投手をやっている。よろしく」


 無口そうな感じな人だ。神経質な感じでもあるが悪い人ではなさそうだな。


 「じゃあ次は俺が。2年の後藤だ。ショートをやってる。よろしくな!」


 続いて元気そうな先輩が挨拶をした。ガッチリした体系だが、2年ということは3年は二人だけなのか?


 「じゃあ次は僕が。2年の武藤です。今はファーストをやってるよ。よろしくね」


 にこにこと笑っている先輩が続いて挨拶した。優しそうだが、表情がずっと変わっていないのが少し怖い。


 「・・・じゃあ俺か。2年の増田だ。セカンドを守っている。よろしく」


 真面目そうな先輩が挨拶する。先程石村さんに意見を言った人だ。外見からして、しっかりしているのだろう。


 「・・・これで全員終わったな。じゃあもう一度自己紹介を頼む」


 「あ、はい。・・・すみません、やっぱり部員って他にいらっしゃらないんですか?」


 「ん?あぁ、そうだな。ここにいる5人で全員だ。」


 ・・・やはりそうか。グラウンドが見えてきた時点で思っていたことだが、部員が5人だけとは。想像以上に少なかったな。


 「だから去年は他校と合同でチーム組んでたりしたんだけどな。今年新入生が入って1チーム成立できればいいんだが・・・。おまけに顧問はいるが監督できるような先生がいないから、俺が監督兼任みたいな感じになってて困るんだよな・・・」


 そんなにチーム状況が悪かったのか。昔は強いとよく聞いたものだが・・・。

 でも、そっちのほうがやりがいがあるというものだ。


 「じゃあ、自己紹介頼む」


 「ああ、はい、すみません」


 慌てて全員の方を向き直る。


 「・・・陽光クラブ出身、神谷守!6年生の時はキャッチャーでした!よろしくお願いします!」


 言い終えると、先輩たちは次第に驚いた表情になっていった。


 「・・・陽光クラブ!?あの全国制覇した陽光か!?」


 「・・・待てよ、神谷ってあの陽光の神谷か!?4番としても、キャッチャーとしても、主将としても天才的で、神童と呼ばれていたとかいうあの!?」


そう、俺は所属していたクラブを日本一に導いた主将だった。中学野球が注目されて、同時に少年野球もレベルが上がって注目が高まっていたので、割とメディアも騒いでいたのでちょっとした知名度はある。


「しかし、なんでその神谷守がこんな学校に来たんだ?誘いなんていくらでもあっただろう?」


確かに誘いは多かった。県外からも相当数がスカウトしてきて、かなりの高待遇も約束してくれていた。しかし、俺にはそんなもの興味はなかった。


「・・・俺には目標があるんですよ」


この学校は家から近かった。それは確かにここに来た大きな理由の一つだ。だがもう一つ理由がある。


「俺はどんなチームも強くする。いくら弱いチームでも、日本一に導く、そんな目標があるんです」


このチームはそれにうってつけの弱さだった。


・・・俺はここを日本一のチームにする。強いものには屈しない。味方の涙は見たくない。弱いものでも出来ることを見せてやる。


「先輩・・・俺はこのチームを強くしてみせます。少なくとも日本で一番のチームに」


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