待ちに待った初試合 VS城西 (7)
5回の裏、バッターは7番からだ。
前の回は打ち込まれていたが、下山の球に特に変化はないように見えた。
「下山、大丈夫か?痛いところとかはないか?」
念のため聞いておく。
「え?ああ大丈夫だよ問題ない。それとも俺のボール駄目だったか?」
「いや、良いボールだったよ」
「じゃあ大丈夫だよ。抑えて見せるさ」
そう元気そうに言った。これなら大丈夫だろう。
さあ、まずはこのバッターを抑えなければ。
今は何を絞っているのかいまいち不透明だ。
1球目、とりあえずストレートを外す。反応なし。
2球目、スライダーを外に外す。ボールだが、相手のバットが出かかっていた。少なくともこのバッターは変化球待ちのようだ。
3球目、ストレートを内角に入れる。ストライク。反応はない。
4球目もストレートを要求する。今度は外で、ストライク。少し反応したようだが、振ってはこなかった。
5球目は内角にカーブを少しボール気味に入れる。バットが出た。ややつまり気味にボールを打ち、外野にふらふらと飛んでいく。
センター前に落ちるか?というような当たりだが、柴崎さんが素早く前に出て、スライディングキャッチして見せた。これで1アウト。
続く8番にもストレート攻めでいく。こちらも全然手を出して来ない。
1ボール2ストライクで4球目、ストレートを外に要求すると、バットは振ってきたが、当たらずに空振り、三振だ。2アウト。
続く9番には初球ストレートを投げる。すると、初球打ちでショートに打球が転がった。
平凡な打球を後藤さんがさばき、三者凡退となった。
「ナイスピッチング!」
皆が声を下山にかける。下山もうれしそうにそれに応える。流れがいい。
そして、6回の表が始まる。
先頭は宇野からだったが、相手に手も足も出ない様子で三振。
続く佐田も粘りはしたが結局三振に取られてしまった。
そして、1番に帰ってきて、柴崎さんが打席に入る。
ストライク先行だったが、それをファールで粘り続けている。
そして10球目で粘り勝ち、四球を選んだ。
続いて2番の増田が打席に入る。
ピッチャーがセットに入り、動作に移ると、1塁の柴崎さんが走った。
キャッチャーが慌てて2塁に投げたが、スタートが良く、余裕のセーフだった。これでチャンス拡大だ。
しかし、ランナーが得点圏に行ったことでピッチャーに火がついたようだ。
増田さんを圧倒する勢いで三振に取る。
点は入らなかったか。だが、点差はまだあるんだ。慌てずにしっかり守りぬいていこう。
そうして6回裏に入った。