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神童による野球部再興  作者: 芹沢翔太
13/36

待ちに待った初試合 VS城西 (6)

 5回の表、俺から始まる攻撃だ。何とか出塁して得点しなければ。

 このピッチャーが出てきてからヒットが出たのは前の俺の打席だけだ。連打は正直望みがないだろう。

 だからこそ、ここで長打を打っておきたいところだ。


 打席に入ると、投手がかなりの気迫でこちらを睨んでくる。

 前の打席で打たれた後の感じからも見て取れたが、相当な負けず嫌いなようだ。この打席こそ抑えると燃えているのだろう。

 過去の2打席で俺のことも少しわかったのだろう、外野がかなり下がっている。フェンスがすぐ後ろに来るぐらいまでだ。あれはフェンスを越えない限り大きい当たりは捕られそうだ。

 しかし、わかっていない。俺は無闇にバットを振ってホームランを狙っているだけではない。常にその打席で何が最善かを考えて打撃スタイルを変えている。思い通りにはいかせない。


 ピッチャーが構える。初球、変化球。ストライクだ。

 凄い切れだった。これが本気の投球か?

 2球目、今度は速球が来る。高めに外れてボール。かなり力が入っているようだ。

 3球目、ストレートが外に外れてボール。

 4球目、緩い変化球が内側のボールゾーンからコースに入ってくる。

 バットを出し、球の軌道に逆らわないよう軽く流す。

 ボールはふらふらとファーストの上を飛んでいき、ライトの前方に落ちた。

 だが、外野はかなり下がっていたので、慌てて前に走っている。

 その隙に二塁を陥れた。よし、二塁打だ。当たりはよくなかったが、外野の位置を見てこの打球なら二塁を狙えると思っていたが、想像通りになった。

 

 これで無死二塁、打席には下山。

 ヒットではなくてもいい。とにかく転がせば得点のチャンスになる。石村さんもバントサインを出す。

 ピッチャーがセットに入ると、下山もバントの構えをする。

 1球目、変化球だが、バットはボールに当てられず、空振り。

 続けてバントのサイン。下山も構える。

 2球目、ストレート。バットには当たったが、ボールは後ろに飛んでいく。ファール。

 ここでバントのサインが出なくなる。何とか進塁打を打ってくれ。

 その後の2球はストレートが外れてボールになる。これで2-2だ。

 5球目ピッチャーが構えに入り、投球に移る。

 ここで俺はスタートを切る。ヒットエンドランだ。

 変化球が内角に入っていく。下山がバットを出すと、根元にボールが当たり、サード前に転がる。

 スタートは切っていたので、サードの捕球とほぼ同時に三塁に到達する。そして、サードがボールをリリースする瞬間、加速した。

 ボールは一塁に送られ、アウト。捕球してすぐファーストはホームに投げる。

 なるべく遠くにスライディングし、手を目一杯伸ばして、ホームベースに掠めようとする。

 同時に、ファーストから来たボールがキャッチャーのミットに収まり、俺の手にタッチしようとする。

 クロスプレー。どっちが早かった?

 判定は・・・セーフ。追加点だ。

 

 ベンチは盛り上がる。そのベンチに帰っていく。


 「神谷、凄かったな!何が起きたのか一瞬分からなかったぞ!」


 皆からめちゃくちゃに褒め称えられる。


 ふと、ピッチャーの方を見ると、悔しさでかなり苛立っているようだ。

 仲間が何とか励ましている。


 続く後藤さん、武藤さんは三振にねじ伏せられる。

 しかし、大きな1点が入った。点差もまだある。このまま逃げ切ってやるぞ!

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