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神童による野球部再興  作者: 芹沢翔太
12/36

待ちに待った初試合 VS城西 (5)

 4回の裏が始まる。ここまでは何とか無失点に抑えてはいるが、好守があったりもした。

 二巡目からが本当の勝負といっていいだろう。


 一番が打席に入る。下山も投球の準備を整えている。

 初球はストレートから入る。インローにまずまずの球が入ってくる。

 しかし、打者がバットを出すと、そのボールを完全にミートした。

 打球は鋭く三遊間に転がる。後藤さんが懸命に追うが、間に合わない、ヒットだ。

 これで今日初めてヒットを打たれた。初球から手を出してきたということは、何か対策をしてきているのか?


 続いて、二番が打席に入る。さっきは内角の変化球を危うくヒットにされるところだった。

 まずは初球、ストレートが高めに外れてボール。

 結構外れてはいたが打者は少し反応していた。初球狙いか直球狙いに絞ったのか?

 そう思い、変化球を続けたところ、見てくる。おそらく直球に絞ったな。

 しかし、下山は球種が多いわけでも変化球の切れがすごいわけでもないので、おのずとストレート主体のピッチングになってしまう。相手はそこを突いてきたのだろう。

 2-2になり、スライダーを投げる。今度はうちに来た。

 芯は外したものの、一二塁間の間に転がっている。どうだ、追いつくか。

 すると、セカンドの増田さんが精いっぱい腕を伸ばし、捕球した。そして、一塁に投げる。アウトだ。

 ナイスプレーだ。進塁打にはなってしまったものの、この1アウト大きい。


 一死二塁、打席には三番。先程は打ち取ったものの、打力はあるだろう。今の2番の打席で変化球主体にしたことは相手も気づいただろう。さて、どうしようか・・・。

 初球、スライダーを外に、ボール。普通に見送ってきた。

 2球目はストレートを低めに投げる。打ってきた。打球は三塁線、ファールに。まだ直球狙いか。

 3球目、スライダーを内角に入れる。これも打ってくる。

 芯ではないが、打球は速く、三遊間を抜けていった。ゴロをレフトの佐田が捕る。2塁ランナーは三塁を回った。まずい、佐田は肩が弱い。

 佐田は中継に投げる。後藤さんが受け取り、ホームに投げるが、ランナーは生還した。1点取られた。

 くそ、3番相手にもう少し慎重に行くべきだったか?

 下山に声をかけに行く。


 「下山、すまない、安直なリードだった。」


 「いや、神谷は悪くないだろ。芯は外せてたのに強い打球を打たれた、俺のボールの問題だよ」


 下山はそう言う。点を取られても平静ならまだ問題はないだろう。ホームに戻る。


 さあ、次は四番か。このバッターにも先程いい打球を打たれている。気を付けなければ。

 1球目、ストレートを低めに、ストライク。これには反応しなかったが、何を待ってるんだ?

 続けてストレートが入り、2球で追い込む。

 3球目、低めに外れるカーブを要求する。しかし、これがやや高かった。

 振りぬいたバットはいい音を立て、ボールは高く飛んだ。

 センターの柴崎さんがフェンスまで追う。しかし、まだボールは宙に浮いている。やがて、ボールは柴崎さんのさらに上、フェンスのを越していった。2ランホームランだ。

 

 しまった。4番相手に一番やってはいけないことをした。もっとしっかり外すべきだった。これで3点差。いつ追い越されてもおかしくない。


 いったん内野で集まる。


 「すまん神谷、高めに浮いてしまった・・・」


 開口一番、下山が謝ってくる。


 「ドンマイドンマイ、まだ3点あるんだ、気負わずいこうぜ」


 皆も下山を励ます。


 「・・・すまない、また不用意だった。もう少し外すようにしていれば・・・」


 俺も謝る。そこに、石村さんが声をかけてくる。


 「おいおい神谷、そう一人で気負うなよ。下山も懸命に投げてたしお前も悪くない。ただ、さすが城西の4番だったなってことだろ」


 「しかし・・・」


 「意識が高いのは良いことだけどな、そう全部背負い込むといつか壊れるぞ?」


 そう言われ、はっとした。確かに石村さんの言うことももっともだ。何より、ネガティブなことばかり言っていても仕方がない。


 「・・・そうですね。ありがとうございます。じゃあ、切り替えて抑えていきましょう!」


 そう気合を入れてポジションに戻る。さあまだまだ試合は続くんだ!


 続く5番は変化球で三振に斬り、6番は直球を詰まらせサードゴロに打ち取った。

 下山もすっかり立ち直ったようだ。

 さあ、取られた分、取り返していくぞ!


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