4日目 スターリングロード凹
お久しぶりですっ!
プロットが完成しちゃったので連載していくことになりました! まだ不定期更新なことが申し訳ないのですが、それでも楽しんで頂ければ幸いです。
『
遺跡中央区
星円環通路 東地区
』
ここは遺跡の中心を見ることができる古代の環状道路です。
実はこの遺跡の中央部にはとても深い穴があって入ることができないようになってるんです。
上から見るとちょうど師匠が作ってくれるドーナツみたいに輪っか状といった感じでしょうか、美味しそうですよね。うへへ。
――あっ
よだれ垂れちゃった……
穴の深さは底が見えない程の深さで、落ちたら間違いなく無事ではすまないでしょう。
こんなものが人力で掘られたとは到底考えられません。――そうこれこそが遺跡っ。
驚くのはそれだけじゃないです!
穴の直径がコレまた桁外れなんですよっ!
お城が丸々一つ入りそうなほどの直径で、穴の壁面がレンガになっているという摩訶不思議状態を合わせても、それはもう想像を絶する絶景スポットな訳ですよッ!!
んーもう、夕日に染められる星円環通路はいつ見ても最高っなの!!!
「ね、ねぇッしっしょうー?!
夕方までここにいませんかぁ!!?
わたし、わたしっ夕焼けに染まったここで、で、デートしてぇ…師匠と幸せなキスを――んがっ!?」
く、口の中にパンがっ……はぐはぐ……、
師匠のサンドイッチはやっぱ美味しい、
うまうま。
「はぁー、シャクティ、今日のお出掛けの目的は何か忘れたの?」
「はぐはぐ、ほぇ? はんほひいふははいいん、ん!? んん〜〜〜ごほっぐふぇッ!!」
パ、パンがぁ!!!
パンが喉に詰まったぁぁあ!!!!!!
み、水っ、みじゅぅーーー!!!
「あー、食べながら話すからよ……ほら水」
「みぃー!! みぃーー!!!」
師匠ありがと!! ありがと師匠!!!
ゴクゴク ゴクゴク
……ケフッ
「ぅ〜〜…………ぐすん」
スッと師匠の手がわたしを撫でる。
「ほらほら……、ね、涙目のシャクティは可愛いけど今度から食べてる時は話さなくていいからね。ちゃんと飲み込んでからしゃべりなさい」
ナデナデ ヨシヨシ
……師匠の手、気持ちいい、あったかいのにとっても軽いなぁー。
わたしと師匠は今日、遺跡の東区にある我が家から中央区の「奈落の穴」を囲う古代都市環状線の残骸、通称「星円環通路」へと調査に来ていた。
調査といっても、星円環通路は只の道、遺跡がまだ遺跡でなかった頃に人々が使っていた街路にすぎません。
それに幼い頃から師匠とここに住み着いているわたしにとって、遺跡内において知らないことなどないのです。そもそもガイドをやろうとするくらいやんですから、それくらい当然ですっよ!
ただ……
唯一わたしが知らないところがあるのです。
「奈落の穴」
その巨大穴の底がどうなっているのかなんて分かるわけないじゃないですか。
今まで興味半分で遺跡に訪れて、興味半分で穴を降りていった冒険者たちは誰一人帰ってこなかったのです……、一般人のわたしが彼らの後を追って降りてもそんなの自殺行為なんですよっ。だから
「調査なんて今更――「あら? 話を聞いていなかったのかしら? ソレ、自称プロ遺跡ガイドのシャクティなら見たことあるんじゃないのかしら」むかむかむかっ、えぇ自称ですよ、そうですよぉー!!」
ですよーーー デスヨーー
ですよー
‥‥
すぐ側に城並みの大穴が空いているのでよく声が響くなーー。あ、やっば、師匠って大声苦手なんだった……ちらっ
「…………」
「!?」
やばいやばいやばいやばいやばい
師匠の目が死んでいます、いや据わっているのでしょうかっ、ととにかく、あれは人を殺せる目ですっ、やばいっしゅ、あんな目でみられたら……わたし、わたしっ!!
あ、師匠こっちみたぁ……
「こほん」
「ひっ……」
「……自称プロお黙りなさいな(ニッコリ」
「すごい辛辣!」
「あ"あ"ん"?」
「ずみま"ぜんでじた"っっ!!!!」
でじたっっっ デジタッッ
………っ
……
しーん
「……」
「……」
「…………はぁ、もういいわよ」
「う"ぅ"、ししょーぉ……」
「ほら膝枕したげる」
「うぉぉお"ん"!! すんすんすんっ」
「はいはい、よしよし、よしよしっ」
「ふぉぉぉぉ…………」
「(なんで撫でただけで喜ぶのよ……)」
ナデナデ
古代の都の深淵を超えて夏の緑風が吹き抜ける。遺跡の午後はまだ始まったばかりだから、今暫く休息を楽しんでも罰はあたるまい……。
ナデナデ ヨシヨシ
私のシャクティの毛並みは相変わらず極上の一言に尽くし難い。指を指し入れればけっして絡まず、逆に私の指を舐めあげるようにすべやかに通り抜けるのだ。その快感に思わず顔が赤くなってしまう。
ヨシヨシ
撫でているだけで、まるで私の全てを受け入れてくれるような安心感を覚えるのだ。
一緒にいるだけで、この上ない全能感に導かれシャクティの為なら何でもしたくなり、何でもできるようになり、そして、愛情が溢れてくる。
愛しているだけで、シャクティを独占したい気持ちが溢れてくる……私の昏い気持ちが首を起こ……
――ッ、いけないっ
私は首を振る。
シャクティは私にとって娘のような存在だ。悔しいことに身長が同じだから、一歩譲って妹みたいだとしてもっ、そ、それだけはいけないのよ!
私は……私は……ッ
「……? ししょー??」
「!」
い、いけない、手が止まってたわ……私はシャクティの師匠でありたいんだ。私が動揺している姿なんてこの子には見せたくない……。
ナデナデっ ヨシヨシっ
ヨシヨシっ ナデナデっ
……ふぅ。
そう。私は動揺している。
もうすぐ真実が明らかになるから。
そして、
その結果が目に見えているからこそ、
―――知るのが怖いのだ。
私は目の前にある深い堀、
その向こう岸に鎮座する天をも貫かんばかりの巨大な古城塔を静かに見据えた。
……見据えた、はず……。
「くんかくんか しーしょぅーん♪♪♪」
くんかくんか くんくん すーはー……
「………はァ……」
すはー……すほぉーっ! ふにゃぁ……♪
ぴょこんっ♪ くんくんくんっ!
「ふぉぉぉぉ………!」
――目が死んでるとか言わないで欲しい。
「くんくんっ♪」
百合ルート間違いなし……?




