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●ソラに架かる橋
空に架かる橋
色褪せず 鮮やかに
眼下に広がる無機質へ
静かに色を差す
幼き頃の夏の日の
ジョウロの先の七色は
出たり消えたり
触れるが掴めず
しかし確かにそこに存在し
小さな世界を彩った
眼に映りしプリズムは
汚れなき吾子の手と
畏れを知らぬ心中へ
宙に架かる橋
色褪せず 鮮やかに
曇った瞼の裏側へ
静かに染み込んだ…
忘れていただけ
見えていなかっただけ
世界は変わらずそこにあり
相変わらず残酷で
だけど変わらず美しい
私は確かに掴んでいたのだ
幼き頃の夏の日の
ジョウロの先の七色を
私の愚かな心中へ
※吾子:かわいい子、おまえ。