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42 容赦ない襲撃者たち

敵の基地に向かった悪魔のような3人が大暴れします。特に大魔王様が・・・・・・

「この島には中華大陸連合が4箇所の軍事基地を設けている。陸軍基地にミサイル基地と航空基地、軍港がそれぞれ1箇所ずつだ」


 そうなのね、確かこの前のミサイル攻撃の時は済州島から飛んできたミサイルはなかったわね。次の攻撃に備えて温存したのかしら? どっちにしても今のうちに叩き潰しておけばちょっとは安心できるわね。



「司令官ちゃん! 景気良く全部ぶっ飛ばすよ! もうこの先に見えてくるから早く行こうよ!」


「さくら訓練生、そう慌てるな! この先にあるのはミサイル基地だ。守備部隊が大勢待ち構えているからそのつもりでいるんだぞ」


「何人居たってこのさくらちゃんに掛かれば一捻りだからね! ドーンと任せてもらっていいよ!」


 さくらちゃんは本当に平常運転よね。異世界でもいつも自信たっぷりにしていたけど、日本に帰ってからもまったくその様子に変化はないわ。きっとその自信が口先だけではないとすぐに証明してくれるでしょうね。


 私たちは地図を見ながら幹線道路ではなくて裏道を通ってミサイル基地に向かっているわ。たぶんこの先の右側に基地の正門が見えてくるはずよ。人も車も通らない道路だけど信号だけは通常通りに動いているのよね。全然意味がないじゃないの。


 信号にはどうやら地名らしい表示があるけど、変な文字が書いてあって読めないわね。異世界で得たスキルで言葉はどこでも通じるんだけど、文字まではさすがに理解できないわね。日本だったら外国人にもわかりやすいようにローマ字表記があるのに、ここはとっても不親切だわ。地名とか全然わからないのよ。まあ気にする必要もないかな。



「おや、どうやらあそこが基地の正門だね」


 さくらちゃんが建物の陰から曲がり角の向こう側を偵察して正門を発見したみたいね。さて、ここからどうするのかしら。



「ゲート付近に居る連中を排除して堂々と乗り込むぞ。基地内に入ったらさくら訓練生は右側の建物を制圧しろ。私は左側の建物にあたる。西川訓練生は逃げ出してくる兵士を正門付近で待ち構えて絶対に外に出すな」


 とってもシンプルな作戦内容が司令官から伝えられたわ。要は力任せに制圧する訳ね。まあさくらちゃんに難しい作戦をあれこれ指示しても、絶対にその通りには動かないからこれで良いんじゃないかしら。



「うほほー! それじゃあ早速始めるよー!」


 さくらちゃんはすでに魔力擲弾筒を構えているわ。もうヤル気満々ね。でもこれは戦争なんだから戦場では殺すか殺されるかの二者択一、殺されたくないんだったら敵を殺さないと私たちが生き残れない。これは異世界だろうが日本だろうが絶対不変の真理よ。さあ、私たちが生き残るためにあなたたちは黙って殺されるがいいわ。



 バシッ、バシッ、バシッ!


 バシッ!


 三連射で門を警備している歩哨を次々に倒して、スイッチを切り替えると戦車砲も真っ青な勢いで飛び出した魔力弾がゲート脇の監視所を木っ端微塵に破壊しているわ。自分で術式を組んでおいてなんだけど、この擲弾筒の威力って相当にヤバいレベルよね。



「正門に異常あり! 守備隊は正門に集結せよ!」


 基地内には異常を知らせるサイレンと放送による指示が飛び交っているわね。銃を持った兵士が建物から飛び出して駆け足で正門に向かって集まってくるわ。皆さんやられるためにわざわざ出向いてくれて感謝しますのよ。大魔王が感謝の気持ちを示すなんて異例のお話なんだからひれ伏して喜びなさい。


 ああ、そうだ! せっかくだから誰も逃げ出せないように基地を囲っておきましょうか。害虫を駆除する時は逃げ道を塞ぐのが鉄則よね。



「結界構築!」


 私の一言で基地のフェンスに沿って結界が出来上がっていく。これで出入り可能なのは私たちの目の前にある正門だけになったわね。



「おやおや、美鈴ちゃん! 誰一人逃がさないつもりだね! おぬしも中々ワルよのう!」


「さくらちゃん、悪代官になっている場合じゃないわよ。そろそろ警備兵たちが集まってきたみたい」


「いい頃合だろう。さくら訓練生、このまま突っ込むぞ!」


「よーし、一気に蹴散らすからね!」


 建物の陰から飛び出した2人はあっという間に私の視界から消え失せている。正門まで300メートルくらいあるけど、2人して擲弾筒と小銃をぶっ放しながら猛スピードで正門に襲い掛かっていくわね。


 警備兵たちは2人が何処から攻撃しているのか視認できないうちに次々に薙ぎ倒されていくわ。さくらちゃんのあのスピードは見慣れているけど司令官も全く負けていないわね。なんだか2人の息がピッタリ合っている感じよ。リズムというか戦いのテンポがよく似ているみたいね。どうやら2人して正門付近に集まってきた敵兵の中に突撃しているようね。本当に無茶というか無謀というか・・・・・・ それが持ち味なんだから仕方がないか。





 正門付近では・・・・・・



「さあ命がいらないんだったら掛かってきなさい!」


 ようやく待ち望んでいた大暴れの機会がやって来たよー! このさくらちゃんは大張り切りなのだ! 始めのうちは走りながら擲弾筒をぶっ放していたけど、今は警備兵たちのど真ん中に突っ込んで走り抜けながら敵を殴り付けているよ! 私の動きについてこれない連中なんか銃を持っていても絶好のカモだからね! 連中は襲撃している私たちが何処に居るのかわからずに右往左往しているよ。それ、ご臨終パーンチ! 


 でもわざわざパンチを放たなくっても高速移動している私に体のどこかがぶつかっただけで、敵は遠くに吹っ飛んでいくんだよね。そのまま地面に打ち付けられて首や腕が曲がっちゃいけない方向を向いているよ! 面倒だからこのまままとめて吹き飛ばそうかな?


 おやおや、あっち側では司令官ちゃんが右手に小銃、左手にナイフを持って大暴れしているね。うーん、私の目から見てもあの動きは相当なものだね。敵兵の反応速度を大幅に上回っているから、何もできないうちに司令官ちゃんの周囲に死体を積み重ねているね。


 さて、ここら辺に居る警備兵は粗方片付けたから、向こうにある建物に向かおうかな。建物からは新手の敵が次々にこっちに向かってくるね。精々派手に歓迎してあげようか。擲弾筒のスイッチを切り替えて1発強力なやつを・・・・・・



 ドーン!


 盛大な火柱が上がって人間がパーツになって吹っ飛んでいるよ! 周辺まとめて50人くらいが死んじゃったかな? でも次々にやって来るから獲物はいっぱい居るよ! 私がすぐに位置を変えるから、銃を持っていても全然狙いが付けられないね。中にはパニックになってデタラメな方向に乱射を始める兵士も出てきているよ。あーあ、味方に当たって大勢が倒れているね。それ、もう1発!



 ドーン!


 また50人くらい吹き飛んじゃったよ! 本当は殴り付けて倒したいんだけど、何しろ人数が多いからしばらくはこの調子で数を減らしていこうかな。もうこの時点で正門の周辺には300人くらい倒れているけど、建物の感じからするとまだ2千人くらい居そうだからね。


 おや、建物の窓からこっちを銃で狙っているやつらが居るね。鬱陶しいから先に片付けておこうかな。建物の窓に擲弾筒を向けて・・・・・・



 ドーン! ドーン! ドーン! ドーン!


 窓から飛び込んだ魔力弾が室内で爆発して窓枠ごと吹き飛んでガラスを撒き散らしているね。一瞬で廃墟のような建物になっちゃった! 面倒だからこのまま外から砲撃しちゃおうかな。



 ドーン! ドーン! ドーン! ドーン!


 おや、司令官ちゃんもバズーカ砲を取り出しているね。どうやら私と考えていることが一緒みたいだよ。よーし、この建物はもういいから奥にある建物に向かおうかな。司令官ちゃん、お先に行きますよーー!






「どうやらさくらちゃんと司令官は基地の奥にある建物に向かって姿を消したようね」


 2人が襲撃を開始してから5分くらい経過した頃、私はゆっくりと歩いて正門の手前に立っているわ。それにしてもたった5分で2人してどれだけ暴れまわったのよ! 周囲には死体が積み重なって足の踏み場もないわね。邪魔だから片付けておきましょうか。



「ヘルファイアー!」


 地獄から召喚された闇の炎は対象を焼き尽くすまで絶対に消えないわ。ホホホホホ、大魔王の慈悲によって天に帰りなさい。燃え上がった漆黒の炎は次々に地面に転がっている兵士を飲み込んでいくわ。時々『熱い!』とか『助けてくれー!』などという呻き声が聞こえるけど、気付かなかった事にしておきましょう。


 炎が消え去るとそこには真っ白な灰だけが残っているわ。吸い込むと嫌だから風で吹き飛ばしておきましょうか。さあ、海まで飛んでいきなさい。


 すっかりきれいになったところで、基地の奥から逃げ出してきた敵兵がこっちに向かっているのが目に入ってくるわね。さくらちゃんと司令官2人掛りで追い立てられてこっちに逃げ出そうとしているみたいね。中にはフェンスを乗り越えて外に出ようとしている愚かな者も居るけど、どうやら無駄な努力だと気がついてこちらに向かってくるわね。


 さて、どうしましょうか・・・・・・ ちょっと炎のせいで暑くなったから冷やしてみましょうか。



「アイスブリザード!」


 さあ、極寒の嵐を受けてみなさい。吹きすさぶマイナス50度の強風に大量の雪と氷の礫が飛んでくる寒冷地獄がその場に引き起こされているわね。これは風属性と氷属性の複合魔法よ。大魔王にしてみたらこの程度の魔法はほんの挨拶代わり。ご要望があればまだまだ色々と披露して差し上げるわ。


 風が止むとそこには500体以上の人型の氷柱が立っているわ。ハンマーで叩いたら粉々に崩れるくらいにいい感じに凍っているわね。さっきから奥にある建物から断続的に爆発音が聞こえてくるわね。逃げ出してくる兵士が後を絶たないから大魔王様は大忙しよ。



「テンペスト!」


 今度は局地的に嵐を引き起こす魔法よ。うん、でもかなり狭い範囲に設定したからこれは竜巻ね。直径300メートルくらいの風の渦が生まれて、逃げ出してきた兵士たちを飲み込んで宙に巻き上げていくわ。


 風の渦の中には激しい雷光と雷鳴も轟いているの。これは風属性と雷属性の複合魔法ね。ちょっとアレンジして大量のウインドカッターが渦の中で発生する仕様にしてあるの。風の渦に飲み込まれた兵士は内部で体がバラバラになるか、雷に当たって感電するか、その両方を避けても風の勢いで遠くに吹き飛ばされるでしょうから、いずれにしても命はないわね。


 風の渦はランダムに動き回るから、建物から命からがら逃げ出してきた敵兵を容赦なく飲み込んでいくわ。そろそろ終わりにしていいかしらね。


 魔法を終えると渦の中でバラバラになったかつては人間であった物がドサドサと音を立てて地面に落ちてくるわね。血生臭い匂いが漂ってくるから、さっさと燃やして片付けてしまいましょうか。ああ、さっき凍らせた兵士たちも竜巻に巻き込まれてバラバラになっているわね。面倒だから火力を上げて一緒に燃やしちゃいましょう。


 片付けが終わると建物の掃討を終えたさくらちゃんと司令官が戻ってくるわ。



「美鈴ちゃん、ずいぶんきれいになっているね!」


「西川訓練生、逃げ出してきた連中はどうしたんだ?」


「はい、骨まできれいに燃やして灰にしてから風で運んで海にポイッとしました」


「ほう、やはり魔法というのは便利なものだな」


「司令官ちゃん、美鈴ちゃんは魔法で何でもやってくれるからとっても助かるんだよ!」


「そうか、これからも活躍を期待しているぞ」


 なんだかずいぶんアテにされている感じが伝わってくるわね。まあ私もこういうのは嫌いじゃないし、ご用命があればどんどん燃やしますけど。





 さくらの襲撃を受ける直前のこの基地の司令部では・・・・・・



「宗山陸軍基地へ! こちらは延陽ミサイル基地! 何者かの襲撃を受けているが持ち堪えられない。大至急援軍を要請する!」


「こちら宗山陸軍基地、襲撃者の規模は?」


「全く不明! 少人数と思われますが、全く歯が立ちません!」


「了解した、すぐに機械化部隊と歩兵3個大隊を送る」


「急がないと間に合わない! うわーー! 助けてくれーー!」


「うほほー! これでおしまいだよ!」


 救援を要請した司令部付きの将校の絶叫と謎の声を残して無線はそこで途絶える。これは只事ではないと察した宗山陸軍基地は急遽基地の半分の人員を延陽ミサイル基地に送り込む決断を下すのだった。 

 

ミサイル基地を壊滅に追い込んだ3人の前に新たな敵軍が・・・・・・



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