206 場数の違いか
虚数空間を進む聡史たちは……
「兄ちゃん! さくらちゃんが、全部バッチリ片付けちゃうから、早くお父さんの所に行くんだよ!」
「お、おう。そうだな」
ゴーレムを倒して、いい感じにエンジンが温まってきた妹は、もう誰にも止められない。新たな必殺技をすっかり自分のものにした自信もあってか、胸を張って前へ前へと進んでいく。
「魔力が使用できなくても、さくらちゃんの戦闘力が健在なのは、心強いわね」
「そうれはそうだが、美鈴たちにとっては、身を守る手段すらないのは、問題じゃないのか?」
「そうね…… 確かに魔力は使用できないのは、何かと不便よね。でも他人事ではないでしょう。そう言う聡史君だって、魔力バリアが消えているから、敵に生身を晒しているも同然でしょう。何か装備は持っていないのかしら?」
美鈴に言われて、俺はハタと気が付いた。有り余る魔力のせいでオーバースペックとなるため使用を自重していた装備が、アイテムボックスに死蔵されているのだ。魔力が封じられている今なら、これらの装備類を使用しても、周囲に与える影響はそれほどでもないはずだ。
「美鈴、大事なことを思い出させてくれて感謝する。さくら、ちょっと止まってもらえるか! アイテムボックスに使えそうな装備がないか、中身を総ざらいしてくれ」
「装備? 言われてみれば、そんな物もあったね! 日本に戻ってから全然使わなかったから、すっかり忘れていたんだよ!」
俺、妹、美鈴の3人は、アイテムボックスの中身を調べ始める。便利機能でインデックスが表示されるから、一々取り出さなくても入っている物が一目で確認可能だ。だが……
「兄ちゃん! 数が多すぎて、すぐには選び出せないよ!」
「同感だ。まさか、武器と防具がこれほど大量に収納してあるとは思わなかったぞ! 仕方がないから、Sランクの装備に限定して検索してくれ」
異世界では数限りなくダンジョンの魔物を倒したり、邪神の宝物庫にあった全ての物品を手当たり次第に押収してきたから、正確なところ何が入っているのか俺たちも把握しきれていない。中には、いつ手に入れたのか記憶が定かではない物まである。
「おおお! 兄ちゃん! いい物があったよ!」
妹は、その手に一振りの刀を握っている。漆塗りで黒光りする鞘が特徴だ。
「さくら、その刀は何だっけ?」
「これは、妖刀〔鬼斬り〕だよ! 私が倒した皇帝オーガの角を、ドワーフに削り出してもらって作ったんだよ! この切れ味は、さくらちゃんが唯一認めた武器だと言えるね!」
ああ、思い出したぞ! 皇帝オーガとは、獣人の森に数百年おきに出現する、SSSランクの超レアな魔物だ。激闘の末に妹が倒して、その功績で獣人の王様に地位に就いた、いわば記念の品でもあったな。普段は素手で戦う妹だが、時折この刀を取り出して魔物の討伐をしているのを、何度か見掛けたことがある。
「防具やアクセサリーは、持っていないのか?」
「うーん、防具は動きの邪魔になるから必要ないね。アクセサリーは、興味がなかったから、大した物は持っていないんだよ!」
そう言いながら、妹は鬼斬りを背中に括り付けている。メインの攻撃手段はあくまでも両手で、刀は補助として使用するらしい。
「聡史君は、何か見つかったのかしら?」
「この辺がよさそうだな。魔剣〔フラガラッハ・レプリカ〕だ」
「ああ、そういえば聡史君に預けっ放しだったわね!」
これは、美鈴が治める魔族の国で国宝として代々伝えられてきた剣を、その材料や製法、込められている術式まで完璧に再現したものだ。その出来栄えは、オリジナルを凌駕するとまで評されている。これも妹の刀同様に、当代一のドワーフの名工が丹精込めて鍛え上げた一品だ。
「美鈴は、何か見つかったか?」
「私が持っているのは、ほとんどがマジックアイテムだから、魔力の使用が前提なの。この空間で有効なものは、実質的にはゼロね」
「そうか、それは仕方がないな。俺のアイテムボックスに〔ゴリアテの盾〕があったから、戦闘時には美鈴、カレン、明日香ちゃんの3人で陰に隠れてくれ。弾除け程度には役に立つだろう」
「聡史様、申し訳ありません」
「カレンの責任ではないから、気にするな。天使の力が使用できない前提で、身を守ることに専念してくれ」
「はい、ありがとうございます」
3人のために用意するゴリアテの盾は、高さ3.5メートル、横幅2.5メートルの大盾だ。暴れ回る一つ目の巨人ゴリアテを討伐した際に手に入れた、一般的な使用には非常に不向きな防具である。だがアダマンタイト製で、銃弾程度ならば易々と撥ね返す高い剛性を誇っているので、3人を保護する壁の代わりに使うとしよう。
それから俺自身の体を守るために、鎧一式と小型の盾を取り出す。この鎧と盾は、妹が契約している神龍〔バハムート〕の剥がれ落ちた鱗から作られており、軽量にも拘らず槍や剣の攻撃をいとも簡単に撥ね返す。外見は武骨な印象だが、動きを阻害せずに防御力を大幅に向上させてくれる、大変優れた鎧なのだ。富士駐屯地の地下通路に現れる鬼族の皮膚は、銃弾を跳ね返す強度を誇るが、神龍の鱗はそんな生易しい物ではないぞ。
「よし、準備が整ったから、先へ進もうか」
「さくらちゃんのお兄さんが、突然厨2病に罹りました!」
「明日香ちゃん、そこは触れないようにしましょうね。今は安全第一ですからね」
血も涙もない一言をありがとう。俺自身、こうして防具を身にまとうなんて初めての体験だから、自分の外見がバリバリのファンタジー系に変わっている違和感を拭えないんだ。魔力さえ使用できれば、厨2扱いされずに済んだのに……
外見は変化しているが、中身は俺自身のままだぞ! ファンタジーヒーローなんかじゃないんだからね! 改めて言っておくが、俺は厨2ではなくて、軍オタの帰還者だぞ! そこのところだけは、どうかしっかりと押さえてもらいたい。
明日香ちゃんによって精神的にノックダウン寸前まで追い込まれた俺だが、何とか気を取り直してセピア色の通りを歩きだす。この虚数空間は、別荘地を1キロ四方切り取って再現してあるようだが、空間自体も歪んでいるのであろう。先ほどから目では見えている保養所に向かっていくら歩いても、肝心の目的地に辿り着かないのだ。
とはいっても、この未知の空間をどうやって歩くのが正解なのかわからない以上は、見えている目標に向かって歩くしかない。こうしてかれこれ1時間以上歩いた、その時……
「兄ちゃん! 今度は空から襲って来るんだよ!」
「敵も随分奮発したな。豪華な出迎えだぞ!」
空見上げると、悠然と翼をはためかせて旋回する存在が、3体確認できる。ずんぐりした胴体から伸びている長い首と、銀色に光る鱗に包まれたその姿は、異世界でちょくちょく目撃していたドラゴンに相違ない。
「兄ちゃん、私のペットのドラゴンたちに比べると、ずいぶん迫力が足りないねぇ!」
「さくら、無理を言うな。100メートル級のドラゴンなんて、あの世界にしか存在しないぞ。今、空を飛んでいるのは、どうやら3分の1くらいのサイズのようだな」
妹のペットであったドラゴンは、前述した神龍バハムートを筆頭にして、その体長が50メートルを超える猛者がゴロゴロしていたからな。確かに迫力という点では、少々物足りないかもしれない。だが、戦う相手となると、話は別だ! 空を飛んでいる相手を、どうやって討伐するかという問題が、大きく立ちはだかる。
むっ! 不味いな! 1体がブレスを吐こうとしているようだ。顔を真っ直ぐにこちらに向けて、タメの体勢になっているぞ!
「本厳院太極波ぁぁぁ!」
さすがだよ! 我が妹のほうが先んじていた。容赦なく闘気を撃ち出しているぞ。自分に向かってくる凶悪な闘気を感じたドラゴンは、体を捻って回避を試みるも、左の翼の半分を失いながら、バタバタと羽ばたきを繰り返して辛うじて地上へと降りてくる。
「さくら! 残りの2体も地上に引きずり降ろしてくれ! こっちのドラゴンは、俺が仕留める!」
「兄ちゃん! 任せるんだよ! はあぁぁぁぁぁぁ、太極波ぁぁ!」
飛んでいるドラゴンは妹に任せて、俺は地上に降りてきたドラゴンへと向かっていく。翼をやられても、まだ戦う意思は失っていないようだな。仮初めに作られた命とはいえ、ドラゴンとしてのプライドがあるのか?
フラガラッハを腰から引き抜いた俺は、一直線にドラゴンへと地面を蹴って突き進む。右上方から、俺の体を跳ね飛ばそうとするドラゴンの腕が伸びてくるが、一切の回避行動を取らずにフラガラッハを頭上に振りかぶる。
ズバッ!
ドスッ!
魔剣の切れ味を思い知ったか? ドラゴンが伸ばしてきた左腕は、俺の一振りであっさりと斬り落とされている。
「ギュワァァァァンン!」
ドラゴンの口からは、怒りと憎しみに満ちた咆哮が上がるが、そんなことに構っている俺ではない。大量の血を吹き出す左腕の切り口を潜り抜けて胴体に接近すると、ドラゴンの腹部にフラガラッハを突き立てる。
「ギュオォォォォォ!」
今度は、痛みに耐えかねたような叫びを上げているな。だが、この程度では終わらないんだぞ。破壊神の恐ろしさを、その魂に刻んでいけ!
俺は、ドラゴンの胴体に魔剣を突き立てたまま、膨らんでいる腹部に沿って後肢の方向へと走り抜けていく。もちろん魔剣は俺の動きに合わせて、ドラゴンの腹部をザックリと切り裂いていく。鱗の防御力などまるっきり無視して、マシュマロを切るような手応えでドラゴンの胴体を一直線に切り裂くと、その流れのままに後ろ脚に斬り付けてやる。
スパン!
ズズーン!
大木のような後ろ足だったが、魔剣の切れ味の前では何の役にも立たなかった。巨大な体を支えている後ろ足を一本失ったドラゴンは、横倒しになって地面に崩れ落ちる。
「もう苦しまなくていいぞ!」
敗北を感じ取ったドラゴンの目には、大粒の涙が溜まっている。残念だが、相手が悪かったな。
シュタン!
一刀のもとにドラゴンの首を斬り落とすと、俺は妹の方向に振り返る。そこには、撃墜した2体のドラゴンを相手にして大立ち回りを演じている妹の姿がある。
「さくら、手を貸そうか?」
「兄ちゃん! もうすぐ終わるから、そこで見ているんだよ!」
2体のドラゴンは、前足が折れてブラブラの状態で、しかも体中が不自然にへこんでいる。妹の猛攻によって、あちこちの骨格が折れて瀕死と言って差し支えない状態だった。
「最後の仕上げだよぉぉぉ! ご臨終パーンチ!」
心臓にあたる部分に妹のパンチを食らったドラゴンは、声も上げられずに次々に絶命する。妹は、対魔物戦において、今まで踏んできた場数が俺とは数段違うよな。
魔物の立場からすると、凶暴にして凶悪、最悪の天敵と呼べるだろう。目にも止まらぬ動きで翻弄された挙句に、強烈なパンチや蹴り技を打ち込んでくるから、対処のしようがない。しかも妹の体には、最も効率のよい魔物の狩り方が骨の髄まで染み付いている。もはや芸術的と称しても、誰からも文句が出ない域に達しているよな。
現にこの場で、俺が1体を相手にしている間に、2体を余裕をもって倒しているんだ。しかも、強い魔物と戦うのが生き甲斐のようなものだから、その表情は最高潮レベルでキラッキラに輝いているぞ。食事時以上の、咲き誇らんばかりの笑顔じゃないか!
「兄ちゃん! そこそこ手応えのある魔物が出てきたから、いい運動になったよ!」
「これだけの相手が出てきたからには、そろそろ敵の本拠地が近いぞ。油断するなよ!」
「さくらちゃんにお任せなんだよ! バッチリ案内して、お父さんを助け出すからね!」
ドラゴンを倒して絶好調の妹が先頭に立って、俺たちは再び保養所へ向かって歩き出していく。魔物の襲撃は、さっきのドラゴンでどうやら打ち止めのようだな。その証拠に、いつまでたっても距離が縮まらなかった保養所の建物が、見る見る近付いてくる。
うん? 美鈴が俺に話し掛けてくるぞ。
「色がないだけで、外見はさっきの保養所と変化がないわね」
「中身も一緒とは限らないけどな」
だが、このような俺の懸念に対して、一向に頓着しない人物がいる。それは主に、俺の妹とか、獣神とか、魔物の天敵と呼ばれる、大変ヤバい性格の持ち主を指すケースが多い。
「兄ちゃん! 細かいことはいいんだよ! 犯人をブッ飛ばして、一刻も早くお父さんを助けるんだよ!」
はい、想定内! 妹の性格くらい把握していないで、兄が務まるか! だが、妹の案は却下せざるを得ない状況が発生する。
突如として、保養所だとばかり思っていた建物が輪郭を失って変容していくのだった。形がグニャリと曲がったかと思えば元に戻ったり、無意味な突起が突き出たと思ったら引っ込んだりしながら、保養所の建物は、古代の神殿と見まごうばかりの姿に変わっている。
「美鈴、これはどういう魔法だ?」
「最初からこの姿だったんでしょうね。私たちが辿り着きやすいように、保養所のように見せ掛けていただけじゃないかしら」
随分と手の込んだ出迎えをしてくれるな。俺たちの歓迎だったら、もっとシンプルでわかりやすいほうがよかったぞ!
「仕方がないな。正面から突っ込むぞ」
「行くよぉぉぉ!」
俺の合図に、待ってましたとばかりに、妹が突入を開始する。神殿と思しき建物の外側には扉も何もないのだが、中に入ると巨人でも易々と中に入れるほどの巨大な扉が設置されている。
「兄ちゃん! ダンジョンの最下層みたいだよ!」
「もっと厄介な敵が待ち構えているかもしれないから、注意するんだぞ!」
「さくらちゃんも、そのくらいはわかっているから、大丈夫なんだよ! それじゃあ、中に入るんだよ!」
こうして妹の手によって、巨大な扉は左右に開かれていく。その先には……
外見よりもはるかに広大なスペースが、扉の内部には広がっている。石造りを基調とした建物は、天井が高くて荘厳な雰囲気すら漂わせる。そして、その最も奥には10人近い人間が、こちらを向いて横並びになっているのだった。
その中心に立っている年配の髭モジャの男が、俺たちに向かって口を開く。
「よくぞ、ここまで参ったな。古代エルサレムのヘロデ神殿を復元した趣は、いかように映るか聞かせてもらいたい」
「ローマに蹂躙された悲劇の再現をご希望しているのかしら? お望みとあらば、嘆きの壁も残さない程度の更地にして差し上げるわ」
俺に代わって美鈴が答えてくれたが、世界史で習ったから一応は知っているぞ。ローマに滅ぼされたユダヤの民が、最終的に国を失って世界中に散り散りとなった紀元60年前後の出来事だよな。
それにしても、美鈴は挑戦的な態度で返事をしたもんだな。男のこめかみがピクピクしているぞ。嘆きの壁とは、ヘロデ神殿の一部が残ったものとされて、ユダヤ教の聖地に当たる。日本でいえば、伊勢神宮を更地にすると言われたようなものかもしれないな。
たーだーし!
民族的な歴史などこの際どうでもいいんだよ! 先に俺の家族に手を出したのは、お前たちのほうだからな! その報復で何が起ころうとも、苦情を申し立てる権利などきれいさっぱりトイレに流してやる! 精々覚悟しておくんだな!
「所詮は神の存在を信じぬ愚かな民か。さて、こちらには人質がいるのを忘れてもらっては困るぞ。神を冒涜する口を閉じて、素直に我らに従うべきであろう」
男が顎をしゃくると、仲間が3人掛かりで、後ろ手に縛られて意識を失ってグッタリしている父親を、乱暴に引き出してくる。顔色はよくないが、幸いにも息はある様子で、少しだけホッとしている自分がいる。
「兄ちゃん! どうする?」
「無暗に飛び掛かるなよ! まずは相手の要求を聞こう」
逸る妹を何とか宥めると、俺は年配の男に向き直る。
「お前は帰還者なのか?」
「否、我はユダヤの宗教指導者にして、カバラの秘術を扱う大魔術師、ラッバーン・タミード」
「なるほど、ユダヤの魔術師か。俺たちの相手にならないな。今のうちに引いておいたほうが、身のためだと警告しておくぞ」
「若造が随分な自信だな。パウリナ=ホーエンハイムごときを仕留めきれない身でありながら、我に勝つつもりとは!」
大層な大言を吐き出してくれるな。パウリナとは、カレンに天使の魂を降臨させた魔女だよな。どうやらこの魔術師は、自分がパウリナやサン・ジェルマンよりも力が上だと言いたいようだ。元来、魔術師というのは気位が高い。その最高峰におわされるお方こそ、我が幼馴染である大魔王様だ。そのプライドが高じる結果として、無意識に大魔王モードが発動するのだ。
「それで、俺たちに何を要求するんだ?」
「天使の身柄を引き渡すこと」
なるほど…… 結局は同じ穴の狢じゃないか! 偉そうなことを言っておいてカレンが目的だったとは、サン・ジェルマン一味を馬鹿にできないぞ! あいつらのほうが、もっとストレートで分かりやすいからな。
こうして、目的を明らかにしたユダヤの聖職者と俺たちは、カレンを巡って睨み合うのだった。
ついに姿を現した敵は、ユダヤの聖職者! カレンの身柄を巡る戦いは、果たして…… 続きは、明日投稿します。どうぞお楽しみに!
日本は間もなく自粛が完全に解除されそうな雰囲気ですが、アメリカは抗議デモと暴動で大変な状況になっているようです。
この状況に果たして中国が関与しているのかどうかは、何も証拠がなくて断定できませんが、中国国内ではアメリカの暴動の様子が繰り返し国営テレビで報道されており、国内世論が共産党政府に有利に働く工作が行われています。
アメリカが暴動を力で弾圧するなら、中国が香港やウイグルを弾圧しても、文句を言う筋合いではない! という論調のようです。
全米に広がる暴動に参加している人たちの主張も、それなりには理解します。ですが、それとは別に、今回の暴動そのものが中国の直接的な利益につながる行為だという事実を、暴動を主導している人たちはわかって扇動しているような気がします。これは、なんとなくそんな気がするだけですから、まったく証拠はありません。敢えて傍証を上げるとしたら、CNNやニューヨークタイムズの論調とか、民主党の市長や知事の発言など……
聞くところによると、どこかの公園にあったコロンブスの像が、池に投げ込まれたそうです。この話を聞いた瞬間、昭和60年、阪神が優勝した時に、ケンタッキーのカーネルおじさんが道頓堀に放り込まれた事件を思い出したのは、作者だけでしょうか?
話はそれましたが、コロンブスの像を撤去すると、どういう作用で人種差別がなくなるのか、作者には意味不明です。現在の常識論で何百年も前の歴史を裁こうとするのは、歴史の否定につながります。ありのままの歴史を受け入れて、現状をどうやってよくしていくかを考えるのが、本道ではないでしょうか。
それから、人種差別をなくせと言っている人たちには、一言申し添えておきたいと思います。
【日本をもっと敬っていいんだよ!】
近代世界において、初めて人種差別の撤廃を国際舞台で提案したのは、実は日本です。第1次世界大戦が終結を迎えたパリ講和会議において、国際連盟の規約に人種差別の撤廃条項を加える主張をしました。
この提案は、アメリカのウイルソン大統領によって却下されたばかりでなく、以降白人列強国家から危険視され、第2次世界大戦に至る不幸な道筋を、日本が歩んでいく遠因にもなっていきます。
ともあれ、日本人の偉大な先人がこのような提案をしていた事実を、ぜひ皆さんには知っておいていただきたいと思い、最後に書き添えさせていただきました。
まとまりのない乱文になりましたが、今回はこの辺で……




