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201 師匠の教え

週中頃の投稿を飛ばしてしまって、申し訳ありませんでした。

 司令の下で訓練中のさくらは……


 さくらちゃんは現在、闘気を上手に扱えるように修行中なんだよ! 


 それにしても、こうして誰かから技を教えてもらうのは、本当に久しぶりだよね。普段使っている必殺技のご臨終パンチや天国に行くと見せかけて地獄に突き落とすアッパーは、どれもがこのさくらちゃん独自で編み出した技なんだ。


 異世界で戦い抜いていた間に、日本で学んでいた古武術をベースにしながら主に打撃系の技を極めた結果、Sランクの魔物でも簡単にぶっ飛ばす必殺技へと昇華していったんだよ。でもそこには、さくらちゃん自身の日々の涙ぐましい努力の跡が隠されているのはナイショだからね! 


 兄ちゃんは私のことを『天才肌』の一言で片づけるけど、実はさくらちゃんは技を磨くための修業を絶対に怠らなかったんだよ。異世界の街から街へと移動するときに、他のみんなは馬車に乗っていたけど、さくらちゃんは一人で街道を走っていたし、魔物との対戦でも絶対に手を抜かないで全力でぶつかっていたからね。


 でも、ある程度魔物との戦いを経て、さくらちゃんは学習したんだよ。さくらちゃんが全力を出しすぎると、魔物が跡形もなく粉砕されて、冒険者ギルドに持ち込んでも安値で買い叩かれてねぇ…… せっかく獲物を仕留めたら、高い値段で買い取ってもらって、お腹一杯ご飯を食べたいのが人情というものでしょう! だから途中からは、きっちりと原型が残るように手加減することを覚えたんだよ。


 さて、必殺技の話に戻すとしようかな。さくらちゃんの豊富なバリエーションを誇る技の中で、裏さくらが繰り出す〔迷わず成仏波〕だけは、私の師匠から教えてもらったんだよ。さくらちゃんの師匠の話は、まだ全然していなかったよね。私の師匠は、血の繋がったさくらちゃんの爺ちゃんなんだよ。


 これも話していなかったけど、楢崎家は爺ちゃんの代まで古武術の道場をやっていたんだ。跡を継ぐはずのお父さんが、これがまた全然武術の才能がなくって、普通のサラリーマンになっちゃったんだよ。しかもツルッパゲだし! 才能だけじゃなくって、髪の毛も全然ないんだよ! さくらちゃんは、小さい頃に疑問だったね。よそのお父さんは髪の毛があるのに、なんでうちのお父さんだけあんなハゲなんだろうってね。


 ハゲの話はどうでもいいよね。大体こんな流れで、爺ちゃんの代で道場は畳んでしまったんだけど、さくらちゃんは小学校に入る前から、爺ちゃんに大内流古武術を教わっていたんだ。爺ちゃんにとっては、孫のさくらちゃんが最後の弟子で、かつ後継ぎっていうわけだね。


 小学校の3年生までは、爺ちゃんと組み手をしながら手取り足取り教えてもらっていたんだけど、その頃から爺ちゃんは病気がちになってね。体の自由が利かなくなって、家の庭で一人で稽古をする私の姿を、嬉しそうに縁側から眺めるだけになっちゃったんだ。


 ニコニコしながら私の姿を眺めている爺ちゃんだったけど、技が上達するたびにいつも褒めてくれたんだよ。さくらちゃんも爺ちゃんが喜んでくれるものだから、ついつい気合が入って、毎日暗くなるまで稽古に励んでいたんだ。


 そんなある日、爺ちゃんが私に最後の技を実演してくれたんだ。体の気を掌に集めて、大きな庭石を砕いちゃったんだよ! もう立っているのがやっとの爺ちゃんが、あんな凄い技を隠し持っていたことに、当時のさくらちゃんは心からビックリしたんだ。


 でも、次の日から爺ちゃんは具合が悪くなって入院したんだよ。そのまま一度も起き上がらないままに、一月後に亡くなちゃってねぇ…… きっと死期を悟った爺ちゃんは、最後の命の炎を燃やして、さくらちゃんの前で奥義を実演してくれたんだと思っているよ。きっとあれが、弟子に対する遺言みたいなものだったんだろうね。


 今では、その奥義も自在に使えるようになってこうして強くなったけど、一度でいいから爺ちゃんに、現在のさくらちゃんの姿を見せてあげたかったよね。きっと満面の笑顔で褒めてくれるに違いないよ。でも、もしかしたら今でも空の上で笑いながら見ていてくれるかもしれないよね。




 おっと、いけないいけない! ついつい思い出話に気を取られてしまったよ。今は、闘気の扱い方を実践している最中だったね。



「さくら軍曹、体の表面を覆っている闘気を動かしてみるんだ」


「うーん、そうそう簡単には動きそうもないんだよねぇ」


 司令官ちゃんも、無茶振りをしてくるよね。やっと闘気の存在に気が付いたばかりだというのに、動かしてみろなんて、無茶もいいところだよね。いくら天才のさくらちゃんでも、物事には順序というものがあるんだよ! 現に兄ちゃんは、いまだに目を閉じたままで闘気の存在を感じ取る段階だし。

 


 さくらちゃんは、何とかこの闘気を動かそうと色々と試してみるけど、うんともすんとも言わないんだよね。相変わらず体の表面を覆ったままで、ずっとその様子に変わりがないんだよ。そのうちに、次第に闘気が発する光が弱くなってきたよ。これはどうしたことだろうと、さくらちゃんは首を捻っていると……



 グウゥゥゥ!


 こ、これはっ!


 大変だよ! いつの間にか時間がお昼近くになっていたんだよ! 集中していると、時間が経つのが早く感じるよね。さくらちゃんのお腹が、お昼ご飯を求めて空腹を訴えているんだよ!



「司令官ちゃん! もうすぐお昼ご飯の時間なんだよ! お腹が減ってきたせいで、闘気も消えかかっているし、すぐにご飯を食べに行きたいんだよ!」


「仕方がない、一人で行ってこい!」


「さすがは司令官ちゃんだね! 話が分かるんだよ!」


 こうして許可を得たさくらちゃんは、ダッシュで駐屯地の食堂に向かうんだよ! 東富士演習場に隣接しているから、3分もしないで食堂の入り口に到着するよ。さくらちゃんが走った跡には、濛々とした砂埃が巻き起こっているね。お昼を早く口にしたくて焦っていたから、少々スピードの加減を間違えてしまったようだね。



 バサバサバサ!


「今日ハアンカケ焼キソバガ食ベタイ!」


 おや、さっそくカラスがお出迎えだね。今朝のさくらちゃんは、司令に呼び出されて大慌てで支度して東富士に出向いたから、カラスの朝ご飯がお預けだったね。普段は朝夕の2食を食堂で食べているから、きっとお腹が空いているんだろうね。



「好きなものを食べるんだよ!」


「ウサギノ神様太ッ腹!」


 カラスが大喜びで飛び立って、私の肩にとまるよ。そのままカラスを肩にして食堂に入っていくと、すでにさくらちゃん軍団は昼ご飯を食べ始めているね。ポチは2杯目のキツネうどんに手を付けているし、親衛隊たちも全員がお代わりをしているようだね。感心感心! いっぱい食べるのは、強くなる近道だからね。全員もっとたくさん食べてもいいんだよ!



「これは主殿! お姿が見えぬので、失礼して先にいただいておりましたぞ!」


「ポチは気にしないで食べていていいよ。私もご飯をもらってくるからね」


「誠にかたじけなく存じまする。それでは失礼いたしまする」


 ポチは相変わらず律儀だよね。でも、私の返事を聞いて、再びキツネうどんに夢中でかぶり付いているよ。大好物を我慢する必要はないからね。それに、うどんが伸びてしまったら、美味しくないでしょう。


 おや? タマはキツネうどんを一杯だけ食べて、動く様子がないねぇ。どこか具合でも悪いのかな?



「タマは、もうご馳走さまなのかな?」


「妾は、主殿のお顔を見てから、好物の甘いものをいただこうと待っておったのじゃ! さすれば、主殿とご一緒して貰い受けに参るのじゃ!」


「可愛いことを言ってくれるねぇ! 好きなだけ食べるんだよ。そうだ! カラスの分のあんかけ焼きそばも、一緒に注文してもらえるかな」


「わかったのじゃ!」


 これだけ懐いてくれると、飼い主としては嬉しいよね。さくらちゃんの顔を見るまでデザートを我慢していたなんて、ペットの態度として満点だね。最初に出会った時は手を焼かせたけど、こうしていまではなくてはならない存在になっているから、飼い主としては鼻が高いよ。


 おや、私とタマのやり取りを聞いていたカラスは、スッとタマの肩に飛び移っているね。こいつは本当に要領がいいよね。誰と一緒にいればいち早くご飯にありつけるか、ちゃんと心得ているんだよ。


 

 こうしていつものように楽しいご飯の時間が終わると、ポチが私に話し掛けてくるよ。一体何だろうね?



「主殿、久方ぶりに主殿との組み手を所望いたしまする」


「ポチは、急にどうしたのかな?」


「我も姉上を見習って、一刻も早く九尾になりとう存じまする」


「なるほど、もっと強くなりたいんだね。司令官ちゃんとの修業があるから,長い時間は付き合えないけど、それでもいいかな?」


「主殿との修業は、たとえ一瞬であっても掛け替えなき時間、我は心から楽しみでありますぞ!」


 ポチは、妖怪にしておくのがもったいないくらいの立派な心掛けだね。私との訓練を逃げ回っているアイシャちゃんに、爪の垢でも飲ませてあげたいよ。本当に!


 こうしてポチと約束をしてから食休みで20分くらい寝て、小腹が空いてきたからカツ丼を一杯平らげると、ようやくいい感じで目が覚めてくるね。演習場に向かうと、すでにポチが待機しているよ。他のメンバーは、邪魔をしないようにスタンドに座っているね。それじゃあ、軽く開始しようかな。



「ポチは、自分のタイミングで仕掛けていいよ!」


「それでは参りまする。いざ!」


 これは! ポチも本気で掛かってくるようだね。両手には風の刃を纏わせているよ。この真空波は、自在に広範囲の物体を切り裂くから、さくらちゃんから見ても結構厄介なんだよ。でも、ポチの目を見れば、どこを狙っているのか一目瞭然だね。ポチは根が正直だから、フェイントは織り交ぜないんだよね。この辺はさらなる修行が必要かもしれないね。


 さっと身をかわすと、次の瞬間には、もうポチの背後に回っているよ。ポチからしたら、目の前にいたはずの私が急に背後に現れたから、普通は慌てるよね。



「主殿! その動きは読んでいましたぞ!」


 フフフ、ポチも中々やるようになったね。背後に回った私に向かって、後ろ向きのままで左手から真空波を飛ばしてきたよ。今までのポチだったら、ここから防戦一方に追い込んでいけたんだけど、ちょっとは抵抗するようになってきたんだね。ポチの技の向上に、さくらちゃんもテンションが上がってくるよ!



「この程度じゃ、傷一つ付けられないんだよ!」


 飛んでくる真空波は5発、でも体に届かないうちに、悉くさくらちゃんの拳が撃墜していくんだよ。その間にポチは体勢を立て直して、こちらに向き直っているね。でも、攻めてくる様子がないんだよ。どうしたんだろうね?



「主殿、奇妙でございまする! 普段にも増して主殿が強く感じまするぞ!」


「おかしいねぇ? いつもポチと組み手をする時と同じ要領なんだけど…… !!」


 ポチに指摘されて体を見回してみると、表面を闘気が覆っているよ! 一度その存在に気が付くと、こうして視覚で捉えるのは割と簡単だね。この闘気は、多分ポチには見えないから、得体の知れない迫力を感じている分だけ、私を強く感じているのかもしれないね。


 でも、さっき東富士で感じた時よりも、闘気が強気なっているんだよ! どうも、ご飯を食べたせいだけじゃない気がするよね。明らかにそれ以上の光を放っているんだよ。もしかしたら、ポチと組み手をしているおかげで、闘気のレベルが上昇しているのかな? ということは、こうして組手を繰り返していけば、どんどん強くしていけるかもしれないよね。これはいいことに気が付いたんだよ!



「ポチ、何でもいいから早く掛かってくるんだよ!」


「それでは、参りまする!」


 バキッ! ドカッ! ドスッ! ガシッ! スガッ! ドーン!



 こうして、手早くポチの相手をしていくと、もう立っているのがやっとの状態になったね。いい感じの修行になったかな?



「主殿、参りました!」


「ポチも随分強くなったね! その調子で頑張るんだよ!」


「御意」


 こうしてポチとの組み手を終えると、さくらちゃんはこの感覚を忘れないようにして、ダッシュで東富士に向かうんだよ! そこには、兄ちゃんの修業の様子を観察している司令官ちゃんがいるんだよ。



「司令官ちゃん! 今から組手をしようよ! 手掛かりが掴める気がするんだよ!」


「ほほう、その顔は何か気が付いたことがありそうだな。いいだろう、どこからでも掛かってこい!」


 司令官ちゃんは、ポチとは比べ物にならない強さだからね。というよりも、このさくらちゃんでさえ簡単にあしらわれかねないんだよ。さっきも居眠りをしていたら、叩き起こされたからね。


 

 ということで、私からのリクエストで司令官ちゃんとの組み手が開始されるんだよ。でも、これは困ったねぇ…… 薄々は感じていたけど、司令官ちゃんの構えには、どこにも隙がないんだよ! このさくらちゃんの目をもってしても、隙が発見できないなんて、この司令官ちゃんは尋常ではないよね。仕方がないから、少し動き回って誘ってみようかな。


 自然体で立っている司令官ちゃんの周囲を、私は高速で動き回るんだよ。一瞬でも私の姿を見失ってくれれば儲けものだけど、そうはいかないよねぇ…… しっかりとその目で、私の姿を追いかけているよ。背後に回っても、気配を察知しているから、迂闊に仕掛けるとカウンターの餌食になるのは明白だね。



「どうしたんだ? 動いているだけでは組み手にならないぞ!」


「今から仕掛けるんだよぉぉ!」


 チッ! 司令官ちゃんが、挑発してきたよ。こうなった以上は、こちらから仕掛けざるを得ないよね。手始めに、右斜め後ろから接近してみようかな。


 兄ちゃんでも反応ができない速度で、司令官ちゃんに突っ込んでいくよ。何も動きを見せない様子だけど、さくらちゃんは警戒心を最大にしているんだよ! さもないと、一撃でダウンさせられる可能性があるからね。


 さあ、あと一歩でさくらちゃんの手が届くよぉぉ!



 スッ! 


 ちょっと待ったぁぁぁぁぁ! あと一歩のところで、司令官ちゃんの体が左側に開いたかと思ったら、強烈なフックがさくらちゃんの顔面に向かって飛んでくるよぉぉぉ! 咄嗟に姿勢を低くすると、頭の上を唸りを上げて司令官ちゃんの左手が掠めていくよ。


 威力は兄ちゃんと遜色がない上に、スピードははるかに上回っているから、さくらちゃんをもってしても避けるのが精一杯だよ! これは、想像以上の相手だね。でも、形としては司令官ちゃんの懐に潜り込んだよ! ここから両脚でグッと踏ん張って左手を下から突き上げれば、お手本通りのアッパーが完成だよ! 


 ……と、安易に考えている自分がいたよ。司令官ちゃんを相手にして、油断は大敵だね。次の瞬間、さくらちゃんの背筋が凍り付いたんだよ!



 ヒュン!


 さくらちゃんのアッパーがまだまだ届かないタイミングを見透かしたかのように、超高速で司令官ちゃんの左膝蹴りが飛んでくるんだよ! 左手は上に向かっているから、残った右手一本でガードするしかないよ。ついでにダメージ軽減のために、自分から後方に向かってジャンプしていくよ。



 ガシッ! 


 いやはや、想像以上に強烈な膝蹴りだったね。さくらちゃんの体は、20メートル以上吹っ飛ばされたよ。空中で姿勢を捻って何とか足から着地したけど、ガードした右手がビリビリ痺れているね。感覚が戻るまで、しばらく使い物にならないようだね。



 おや、体を包んでいる闘気が、さっきよりも強くなっているね。やっぱり予想通りだよ! 強い相手と対戦すれば、闘気も強くなっていくんだね。



「どうしたんだ? この程度でギブアップか?」


「まだ、もうちょっと続けるんだよ! ちょっとずつ闘気が強くなってきているからね!」


「その根性は認めてやろう。好きなだけ掛かってこい!」


 さくらちゃんはなおも、司令官ちゃんに向かっていくよ! もうちょっと繰り返えせば、本当の自分のものになりそうだからね。絶対に諦めないんだよぉぉぉ!






 司令官ちゃんに何度も掛かっていくけど、そのたびに吹っ飛ばされるね。こうして何度も地面に叩き付けられていると、爺ちゃんから色々と教えてもらっていた頃の記憶が蘇ってくるね。



「さくら、修行は飽きるまでやれ。飽きたら休め。休んだら、また修行しろ」


 これは爺ちゃんが、私に最初に教えてくれた言葉なんだよ。聞いたのは小学校に入る前だったけど、今なら意味がはっきり分かるね。同じことを繰り返すのは大変だけど、それでも挫けずに何度でも挑んでいくのが大切で、その結果として、ようやく自分のものになってくるという意味なんだね。


 でも、さくらちゃんはまだまだ飽きていないんだよぉぉ! 何度吹っ飛ばされても、向かっていくんだからねぇぇぇ! そして何度も向かっていくんだけど、そのたびに司令官ちゃんに撥ね返されちゃうんだよ。




 ドサッ!


 ふう、もう何回地面に打ち付けられたか、覚えていないよ。右手は痺れたままだし、左の足首は着地をしくじってジンジン痛んでいるし、体中は痣だらけになっているね。でも、さくらちゃんの闘気は、衰えるどころか、ますます燃え上がっているんだよ。



「うおぉぉぉぉ~! まだまだなんだよ!」


 足を引きずりながら立ち上がると、再び司令官ちゃんに挑んでいくよ。でも、もう全然スピードが上がらないから、いいように吹っ飛ばされていくだけだね。いまだに司令官ちゃんに、一発も当てていないのが実に悔しいよ。



「どれだけしぶといんだ? だが、私をこれだけ楽しませてくれたのは、さくら軍曹、お前が初めてだぞ!」


「そんな褒め方をされても、全然嬉しくないからね! いくよぉぉぉ!」


 すでに体を包む闘気は、炎のように燃え上がっているよ。だって今朝、司令官ちゃんに公言したからね。さくらちゃんの闘気は、無限にあるんだよ!


 余計な細工をしている余裕はないから、拳を固めて真っ直ぐに司令官ちゃんへと向かっていくんだよ。さすがにダメージが蓄積してきて、そうそう長く戦えそうにないからね。最後の拳だと思って、司令官ちゃんに突き刺していくよ! いっけえぇぇぇぇぇ!



 ズボッ! 


 グウゥゥゥ! 司令官ちゃんの正拳が、さくらちゃんの鳩尾を抉ったよ。その瞬間、さくらちゃんは膝から崩れ落ちたんだ。目の前が真っ暗になって、もう何も見えないよ。


 こうして、さくらちゃんの意識は、真っ暗な世界に飲み込まれていくのでした。

修行編が続きましたが、次回は何やら事件が起こりそうな気配が…… 投稿は、明日の予定です、どうぞお楽しみに!


ようやく自粛が明けて、街中に出ている人の姿も増えてきました。かといって油断は大敵で、感染防止対策は個人レベルでしっかりと継続しましょう。


作者もいまだにマスクを継続しております。皆様も、健康にはどうぞご注意ください。


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