186 アフロディア
ついに決戦の時……
投稿が遅れて、申し訳ありませんでした。雪が、雪が悪いんですぅぅぅ!(言い訳)
さくらと対峙する、アフロディアは……
生意気なクソガキが、俺の目の前に立っている。
勢いに任せて一捻りにしてやろうかと思った寸でのところで、俺は思い留まってガキの様子を観察している。
外見のイメージからは想像しにくいが、俺に対して放たれた2発の強烈な衝撃波を撃ち出したのは、こいつで間違いないだろう。あれだけの威力を正確に撃ち出すからには、並大抵の攻撃力ではないはずだ。
ガキにしか見えない外見に惑わされると、どうやら痛い目に遭いそうだな。ガキだろうが何だろうが、容赦なく俺の持てる全力で挑むべきだ…… そうだとも、確かに俺の勘が告げている! こいつは、俺が出会った中では、最強クラスの敵だ。小さななりに不似合なくらいに、とんでもない力を秘めているに違いない。
俺は異世界で過ごした3年間、自らの勘に従って生きてきた。危険を知らせる直感こそが、あの過酷な世界で生き延びた原動力だった。そして、勘に従って生きているのは、現在でも変わりはない。
さて、一旦頭を冷やしてみようか。この場で相手を打ち負かすためには、最善の方法を用いるのは当然だろう。
まず第一に、強大な敵と相対するには、心理的な駆け引きが重要となってくるのは言うまでもない。
相手の動揺を誘って、焦りや憎しみといった負の感情を抱かせれば、大抵の人間は余計な力が入ってしまう分、戦いにおける一瞬の攻防が雑になる。
戦いは、何も力関係だけで左右されるものではないんだぜ。
ありきたりではあるが、一番効果がある脅し文句を並べ立ててみるとするか。
「おい、そこのガキ! 何が最強の殺し屋だ! 香港マフィア最悪最強の16Kを舐めるんじゃないぞ! どうやら日本人のようだが、組織の情報網を総動員して、貴様の家族の居所を突き止めてやるからな。ガキの火遊びのせいで、嬲り殺しになる家族は、さぞかしいい迷惑だろうよ!」
どうだ? 家族を盾に脅かされた気分は? さあ、何か言ってみろよ!
「クックック、思わず笑っちゃうよ! 組織の力をバックにして脅かそうなんて、駆け出しのチンピラのセリフにしか聞こえないよ! そもそも、日本の拠点が残っていると考えている、その頭が実におめでたいね! 横浜の拠点は私が叩きのめして、シャーク・リーはとっくに国防軍に逮捕されているよ!」
なんだと! このところ、日本にいる連中と連絡が取れないと思っていたら、横浜の拠点が潰されただと! そんなことが有り得るのか? こいつのブラフではないのか? だが、シャーク・リーの名前を知っている点に、真実味を感じてしまうぞ。
待て! 俺のほうが逆に動揺してどうするんだ! 落ち着け! 心を動かすな! まずは、真偽を確かめるのが先だ。
「ガキが生意気な口を叩きやがるぜ! そう簡単に拠点が潰されて堪るか!」
「普通はそう考えるよねぇ…… でも、このさくらちゃんの手に掛かると、意外と簡単に潰れちゃうんだよ。半日もあれば、十分だったね! それから、私の家族に手を出してもいいけど、おっかない国防軍の部隊が護衛しているから、無駄だよ! あっ、そうだ! 兄ちゃんが富士駐屯地にいるから、よかったらチョッカイを掛けてみればいいよ! きっと、楽しい事件が起きるからね!」
クソッ! 挑発するつもりが、このガキは、逆に俺を挑発していやがる! どれだけ肝っ玉が据わったガキなんだ! 頭にくるが、ここは努めて冷静さを保たなければならない。相手の挑発に乗るような、馬鹿な真似をする俺ではないからな。
「国防軍だろうが、マフィアの血の掟の前には、無力だぞ! 必ず隙を見つけるからな」
「だったら、マフィアの組織ごと潰せばいいだけだね。ああ、そうだったよ! 手始めに油麻地警察署はガサ入れが完了して、署員全員の身柄を拘束しているよ。それから、劉と名乗った男は、私に挑んだ結果、もうあの世に行っているからね! 念のため伝えておいたよ」
「なんだとぉぉぉぉ! 貴様! 俺の弟を殺したのかぁぁぁぁ!」
俺の頭には、血が上っている。いや、そんな生易しいものではない! 全身の血液が、逆流しているかのようだ! 共に異世界に渡って戦い抜いた、唯一の肉親である俺の弟が……
いいだろう! 今から弟の敵を討つ! 余計な駆け引きなど不要だ! 俺の全力を、このガキに叩き付けるのみ!
「弟を殺した罪は、万死に値する! 死をもって償え!」
「ほほう、劉って男は、弟だったんだね。でも、安心していいよ! 今から同じ場所に送ってあげるからね!」
弟よ! 見ているがいい。これが、お前を弔う兄の拳だ。お前に捧げる冥途の土産には、相応しいかもしれぬな。よく見ておけよ。行くぞ!
「ハアァァァァァ!」
「おやおや、これは、気合が入っているね! カンフーだったら、さくらちゃんも負けないよ! はあ~、踊り踊るな~ら、ちょいと、東京音頭ぉ~♪ ヨイヨイ!」
ガキはわけのわからない歌を口ずさみながら、体に気を巡らせているようだな。それよりも、この構えは!
なるほど、多少はカンフーをかじっているのか。
それにしても、馬鹿なガキだ! 気の巡らせ方こそ、相当なものだが、この構えはどう見ても、初心者の基本に過ぎない。異世界では拳聖と謳われた俺の戦いを、とくとその目に焼き付けるんだな。
両手に嵌めたアダマンタイト製の篭手は、数々の敵を葬ってきた。今では俺の体の一部といっても過言ではないだろう。対するガキはといえば、あれはオリハルコン製の篭手か?
中々いい装備を装着しているじゃないか! 装備の性能はほぼ互角、あとは互いの技量で勝負を決っするのみ!
「行くぞ! ハッアァ!」
「しっかり見えているんだよ!」
なんだと! 俺の渾身の突きを、真正面から受け止めやがった! だが威力に押されて、3歩後退しているな。このまま押し通してやる!
「まだ序の口だ! 食らえぇぇぇ!」
「おお! いいスピードだね! これは戦い甲斐があるよ!」
中段、上段、また中段、さらに下段の足払いと繰り出した俺の連続攻撃を、このガキは悉く撥ね返していきやがる。俺の拳速に付いてこれるとは、中々の手合いだな。弟が敵わなかったのも、どうやら無理もない。構えこそ初心者だが、どうやらカンフー以外の武術の心得があるようだ。
「拳聖たる俺の攻撃を撥ね返すとは、相当な腕を持っているようだな」
「まだまだ余裕だね! もっと本気を見せるんだよ!」
「いいだろう、その言葉を後悔するなよ! 奥義〔聖虎爪牙拳〕!」
4大聖獣の一つである白虎の爪と牙が相手に襲い掛かる、拳聖の必殺拳だ。総計50弾に及ぶ連続した突きが、上段中段問わずに襲い掛かり相手を切り裂いていく。拳の威力だけではなくて、拳から生み出された衝撃波も、同時に敵にダメージを与えるのだ。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!
「これは中々歯応えがあるよ! どうやら東京音頭だと、間に合わないみたいだね! こうなったら、遠慮なくいつものリズムに戻すよ!」
なんだとぉぉぉぉ! このガキは、敢えて動きを遅くしていたというのか?! それが証拠に、全ての動きが一気にスピードアップしているぞ! 俺に合わせて、簡単にギアを切り替えやがった! まるで底が見えないとは、このような相手を指すのだろうな。
「いいだろう! まだ俺もガキだと思って舐めていた。食らえ! 真聖虎爪牙拳!」
「これは、これは! さらにスピードが上がっているねぇ! さくらちゃんも頑張るよぉぉぉ!」
ガガガガガ! バリバリバリバリ! ガガガガガガガガガ! バリバリバリバリバリ!
こうして、人間の限界を超える速度の拳の応酬が、果てしなく繰り返されていくのだった。
さくらとアフロディアの戦いを、近くで見ているフィオは……
「フィオさん、二人の動きが速すぎて、残像しか見えません!」
「明日香ちゃん、安心していいわ。私にもさっぱりだから」
「ところでフィオさん、私、あの人に見覚えがあるんですけど」
「あら? 一体どこで出会ったのかしら?」
「それが、どうも思い出せないんですよねぇ。確かにどこかで見掛けた顔なんですけど……」
明日香ちゃんは見覚えがあると言っているけど、私には記憶にないわね。一体どこで出会ったのか、早く思い出してくれると、助かるんだけど。
すると、その時……
キーーン! パリン!
二人の戦いの余波で、衝撃波が飛んできたわ。周囲に展開していたシールドが、まとめて10枚くらい割れてしまったようね。ドンとまとめて、50枚ほど追加しておくわ。
「フィオさん、今のショックで、喉まで出掛かっていた記憶がすっかり消え去りました!」
「明日香ちゃん、焦らずにゆっくり考えてね」
「はい、わかりました! それよりも、さくらちゃんの戦い方が、なんだか普段と違うような気がするんですけど、私の気のせいでしょうか?」
「言われてみれば、そんな気もしないではないけど、さくらちゃんには何か考えがあるんでしょう」
「そうですね! きっと大したことは考えていないと思います! 長年の友人である私の勘が、そう告げています!」
大したことは考えていないって…… 明日香ちゃんは、毎度毎度さくらちゃんに対して遠慮がないわね。きっと、それだけ信頼しているということなんでしょうね。
ああ、これは、いい意味での信頼感を持っているというお話よ。血を分けた兄妹である聡史が、口ではとやかく言いつつも、さくらちゃんを信頼しているように、明日香ちゃんも長年の友人として、頼りにしているんだと思うわ。もちろん、私も同じよ。
さて、お話はこれくらいにして、さくらちゃんの戦いぶりに注目しましょうか。相変わらず、どんな動きをしているのか、さっぱり目で追えないんだけど……
アフロディアと対戦しているさくらは……
いやいや、これは楽しいよ! 自分の本来の動きは封印して、カンフーで応戦しているんだけど、やっぱり初心者入門編のDVDしか見ていないからね。相手はカンフーを極めているみたいだし、現状は防戦で精一杯だよ! カウンターを決めるまで、中々持っていけないんだよね。
でも、楽しいから、もうちょっとだけカンフーで応戦しちゃうよ!
それ、アチョォォォ! ハアァァ! ハッ!
それにしてもアフロディは、大した腕の持ち主だよ! 攻撃力は、さくらちゃんにかなり迫っているか、ほぼ互角のようだね。こんな強い帰還者がいるなんて、全然知らなかったよ。
相手が強ければ強いほど、さくらちゃんは燃えてくるからね! こんな戦いができるんだったら、カメラを回しておけばよかったね。絶対に〔燃えよ、さくらちゃん〕というタイトルの映画を作れるよ!
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「チョロチョロ動きやがって! 逃げ回っているだけでは、この俺を倒せないぞ!」
「もうちょっと遊んであげるよ! どんどん必殺技を出すんだよ!」
「いい覚悟だ! 真奥義〔聖凰飛翔拳〕!」
アフロディアは、両手を広げて大きくジャンプしたね。空中高く舞い上がって、上から襲い掛かるつもりだね。
よーし! さくらちゃんも飛んじゃうよ! それっ、アチョオォォォ!
空中で交錯した拳が、巨大な衝撃波を生み出して、周辺に爆音を轟かせているよ。停泊している貨物船がグラグラ揺れているね。カレンちゃんがしっかり守っているから、転覆することはなさそうでよかったよ!
スタっと着地した二人は、再び拳を交えていくよ! アフロディアの上段の突きを体を屈めて避けると、今度は下から蹴り技が飛んでくるね。空気を切り裂くような強烈な蹴りだよ!
でも、兄ちゃんの前蹴りに比べると、威力は落ちるね。左手で脛の辺りを目掛けて手刀を落としていくよ。私の意図に気が付いたアフロディアは、膝を曲げて受けようとするね。それと同時に、左手から強烈な突きを繰り出してくるよ。
さくらちゃんは咄嗟に体を半身にして突きを避けると、前蹴りに向けていた手刀の軌道を変えて、アフロディアの腹目掛けて打ち込もうとするんだよ。でも、これは読まれていたみたいで、しっかり右手でガードされたね。
さて、それじゃあ、そろそろもう一段ギアを切り替えて、攻勢に出てみようかな。ガードされた左手を引っ込めると、お得意の瞬間移動の開始だよ! 一気にアフロディアの右側に回りこもうとするよ!
おや! どうやらこれも読まれていたようだね! アフロディアは、回り込む動きに合わせて左足の中段蹴りを見舞ってくるよ。これはちょっとまいったね! スピードに乗ったところで、回避が難しいよ。
唸りを上げて迫ってくる左足! さくらちゃんは、体に当たる直前に大きく踏み切ってジャンプすると、顎を目掛けて膝蹴りを狙うよ! それっ、アチョォォォ!
顎に迫っていく膝蹴りを、アフロディアは体を反転させて避けようとするね。でも、さくらちゃんの華麗な空中戦は、まだまだ続くよ! 体を捻って姿勢を変えると、今度は反対の足で後ろ回し蹴りに移行するよ! 空中で放った回し蹴りだから、威力はそれほどなかったね。でも、さくらちゃんが衝撃波を生み出すのは、拳だけとは限らないんだよ!
本気で放てば、蹴り技だって、軽く音速を超えているんだからね。
キーーン!
「なんだとぉぉぉぉ!」
ほら、アフロディアが慌てた表情をしているよ! 至近距離でまともに食らったら、簡単に吹き飛ばされちゃうからね! さあ、衝撃波を避けるのか、それとも、遅れて飛んでくる回し蹴りに対応するのか、早く決めるんだよ!
「させるかぁぁぁぁ!」
これは驚いたよ! アフロディアは、時間差をつけて左右の連打を放ってくるよ! 最初の一撃で衝撃波を粉砕すると、2発目で空中にいる私の背中に掌打を叩きつけるつもりだね。
さすがにこれは不味いね! まともに浴びると、今度はさくらちゃんが吹き飛ばされる番だよ! 空中では大きく避けられないから、体勢も不利だね。
ガキッ!
ヒューーン!
さくらちゃんは、大きく後方に飛ばされたんだよ! でもね、一瞬の変化で、アフロディアの掌打に回し蹴りを合わせたから、派手に吹っ飛んだ割には、ダメージは全然ないんだよ!
スタッ!
勢いのままに飛ばされて、華麗に着地すると、ダッシュしていくよ! いつもなら、さくらちゃんがダッシュした時点で、相手はその姿を見失うんだけど、アフロディアにはしっかりと見えているようだね。
「クソッ! 上手く合わされたか!」
「まだまだ行くんだよぉぉぉ!」
再び地に足を付けての、拳の応酬だよ! 飛んでくる何十発もの突きに、自分の拳を合わせて行くよ!
おや、今度はアフロディアのほうから下がっていったね。一体何をするつもりなんだろうね?
「このままでは埒が明かないな! 一気に決着をつけるぞ! ハアァァァァァ!」
アフロディアの体から、大量の魔力が吹き上がるね。どうやら身体強化を掛けたようだよ。体全体から、青いオーラが立ち上っているね。これは、さくらちゃんも対抗するよ!
「面白いね! 決着をつけるよ!」
さくらちゃんの体からも、真っ赤な魔力が吹き上がるよ! オーラをまとったさくらちゃんは、無敵だからね!
「覚悟するんだな! ハアァァァ!」
「ドンとこいだよ! アチョォォォ!」
オーラと衝撃波と拳のぶつかり合いが始まるよ! 周囲に飛び散る衝撃波が、さっきまでよりも強力になっているようだね。フィオちゃんが、青い顔をしてシールドを大量に追加しているよ。カレンちゃんは、貨物船全体を天使の領域にして、現実世界から切り離しているようだね。さっきまで船体がグラグラ揺れていたのに、今はピタリと揺れが収まっているよ。さすがだね!
「しぶとい奴だな! 真奥義〔聖龍破砕拳〕!」
衝撃波が竜の形をとってさくらちゃんに迫ってくるよ! これは相当にヤバイ威力を持っていそうだね。さて、そろそろカンフーで戦うのは限界みたいだから、いつものスタイルに戻そうかな。
「ご臨終パンチ×100!」
ふふふ、どうかな? さくらちゃんの必殺パンチが、100連発で襲い掛かる威力は? 〇斗百裂拳にも匹敵する、恐ろしい技だよ!
「なにぃぃぃぃ! 俺の聖龍破砕拳を突き破ってくるだとぉぉぉぉ!」
やっぱり、さくらちゃんの拳の威力が勝っていたね。ここまではずっとカンフー縛りで戦っていたけど、もうハンデなしの状況だからね。
「真奥義〔聖玄金剛想!」
むむむ! 体中に強力な気を集中させて、硬化させているようだね。両腕を十字にクロスさせる、守りの構えみたいだよ。聖龍破砕拳を突き破った、さくらちゃんの必殺技を、硬化した体で受け止めようという魂胆だね。
でも、ご臨終パンチは、そんなに甘くはないんだよ! まだまだ続くよ! それそれっ!
「うぐっ! ごへっ! ぐわっ! ぼへえぇぇぇ!」
さすがにこれだけのご臨終パンチがまともに入ったら、いくら防御を固めても相応のダメージがあるよね。100連発を食らったアフロディアは、口から血を吐いて、体を支えるのがやっとの状態だよ。
「まだ負けぬ! 我が、最後の一撃を受けてみよ!」
「ほほう、これだけダメージをもらっても、戦おうというんだね。好きなだけ掛かってくるといいよ!」
アフロディアは、体内に残っている気を、全て右の拳に集めているみたいだね。それじゃあ、さくらちゃんも、気を練ってみようかな。
「我が生涯、最後の一撃! その身で受けてみよ!」
どこかの世紀末覇者の最期みたいだよ。もったい付けずに、さっさと打ってくればいいのにね!
「究極奥義〔四聖天頂拳!〕」
「迷わず成仏波!」
奥義には奥義で返さないと失礼だよね! 久しぶりに、裏さくらモードになって、奥義で対抗しちゃうよ!
ゴワァァァァァ!
強烈な衝撃波を伴って、物凄い勢いで迫ってくるアフロディアの拳を掻い潜ると、さくらちゃんの右手の掌打が胴体のど真ん中に入っていくよ!
ドパアァァァァン!
「うぐわぁぁぁぁ!」
体を突き抜けるさくらちゃんの気が、アフロディアの体内を破壊し尽くして、背中から突き抜けていったよ。こいつは、本当に強かったね。さくらちゃんをして『強い!』と、言わしめるなんて、そうそうはいないよ。
「もはや、これまでか…… 最後に貴様のような強者に見えたのは、我が生涯最高の喜びであった。弟よ、これでお前と共に……」
なんだか悪い奴ではなかったみたいだね。純粋に強さだけを求めたかったその気持ちは、さくらちゃんにもよくわかるよ。運命のイタズラで、こうして戦うこととなったけど、違う出会いをしていたら、カンフーを教えてもらいたかったよ。
何はともあれ、これでアフロディアは仕留めたね。16Kも、たぶん組織としては瓦解していくんじゃないのかな。その辺は、イギリス軍にお任せしておけばいいよね。南無南無……
「ああ!」
動かなくなったアフロディアに念仏を唱えていると、急に横から大きな声が上がったよ!
何かと思って振り向くと、明日香ちゃんが声を上げているね。
「フィオさん! 思い出しました! この人は、女人街で私を逮捕したお巡りさんです!」
「なんですって! 明日香ちゃん、それは本当なの?」
「間違いありません! あの時は制服を着ていたからすぐに思い出せなかったけど、あの時のお巡りさんです!」
「そうだったのね…… まさか明日香ちゃんが、そんなに早い時期にアフロディアと出会っていたとは……」
なんだって! これはさすがに、さくらちゃんもビックリだよ! 明日香ちゃんは、いきなり核心に迫っていたというのかね!
ちょっと待つんだよ! そうか! なるほどねぇ…… 16Kの秘密が理解できたよ! アフロディア自身は、目立たない交番にいて、本署にいる弟を介して、組織を支配していたんだね。だから、署長を締め上げても、ボスの正体を知らなかったんだよ。
まさか、交番勤務のお巡りさんが、組織のボスだなんて、誰も考えつかないからね。
それにしても、明日香ちゃん! 君は本当に凄い人だよ! ここまでトラブルに愛されている人は、広い世界を探しても、絶対に見つからないだろうね。
まあいいか! 後始末をしたら、もうこの件はお仕舞でいいね。香港司令部に連絡を取って、諸々の片付けをしてもらおうかな。
こうして、マフィア組織16Kの壊滅作戦は、幕を下ろすのでした。めでたし、めでたし……
無事にアフロディアを倒したさくら、次回は後日談を経て、舞台が富士に戻る予定です。どうぞ、お楽しみに!
感想とブックマークをお寄せいただいて、ありがとうございました。大変励みになります。(断じて、ハゲ身ではありません! 大事なことなので) 今後とも、読者の皆様の応援を心からお待ちしております。
ここで宣伝です! 作者は、複数の小説を同時に投稿しております。その中で、【非公認魔法少女が征く ~話はあとで聞いてやる、ひとまずこの拳で殴らせろ!】を、久しぶりに更新しました。まだあまり知られてはいない作品ですが、中々面白く仕上がっております。
まだご覧になっていない方、ご興味のある方は、広告下の作者マイページというアイコンをクリックしていただくと、作品一覧が表示されますので、よかったら目を通していただくと、大変に嬉しいです。
話は変わりますが、衝撃的なニュースが飛び込んでまいりました。あの、志村けんさんが、お亡くなりになったそうです。武漢肺炎で闘病していたとは聞いておりましたが、まさかの出来事でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。
この報道を巡る様々な論調の中には『日本政府の感染症への対応に問題がある!』という声が上がっているようです。確かに、中国からの訪日客の締め出しなどに関しては、歯痒い対応がありました。
ですが、怒りの矛先を向けなければならない本当の敵は、果たして日本政府でしょうか?
私見で申し訳ありませんが、最も責任が重いのは、武漢肺炎を昨年11月から約2か月に渡って放置、隠ぺいした中国政府ではないでしょうか。
批判の矛先をすり替えるのは、中国政府…… いいえ、共産主義者の典型的な手口です!
国民の怒りを自国の政府に向けて、中国自体は責任から逃れようという目的のプロパガンダが、マスコミを通して実行されています。
もう一度繰り返します! 真の巨悪は中国政府です! 絶対に騙されないでください! 日本政府の対応に対する批判も、当然あるでしょう。ですが、それ以上に声を大きくして、中国政府を批判するべきではないでしょうか。
現在、本腰で中国政府と戦っているのは、トランプ大統領だけのような気がします。日本政府も、かの大統領と同調して、批判を強めていただきたいものだと、考えております。
ここまで肺炎騒ぎが大きくなると、中国政府は本当に世界の敵になります。行きつく先が、果たしてどうなるのかは、誰にもわかりません。
可能であるならば、現実世界がこの小説のような戦争にならないように願うばかりです。
普段はもう少しオブラートに包んだ表現をするのですが、あまりにショッキングな出来事だったために、我を忘れて荒れた文章になってしまいました。もし、作者の意見で気を悪くされた方がいらっしゃったら、申し訳ないです。
よろしかったら、皆様のご意見をお聞かせください。




