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183 心意気とは

劉を倒したさくらは……


昼に投稿を予定していましたが、『なろう』のサーバーがダウンしていたようで、投稿できませんでした。待ってきた読者の皆様には、ご迷惑をおかけいたしました。

 司令部に戻ってきたさくらは……



「さくらちゃん、おかえりなさい」


「フィオちゃん、ただいま……」


 劉を倒して戻ってきたさくらちゃんを、フィオちゃんたち3人が出迎えてくれたよ。でもねぇ…… 肝心の手掛かりを失ったさくらちゃんは、手放しで喜べない現状なんだよ。



「さくらちゃんにしては、珍しく元気がないわね」


「実は…… 警察署の窓から逃げた劉という男なんだけどねぇ……」


「なんだか、いつもに比べて歯切れが悪いわね。手掛かりは得られたのかしら?」


「うーん、それがねぇ…… 何にも白状させないうちに、気が付いたら倒れて死んでいたんだよ」


「気が付いたらって…… いつものように遣り過ぎちゃったんじゃないの?」


 やっぱりフィオちゃんは踏み込んでくるよねぇ。当然といえば当然なんだけどね。



「なんだかなぁ…… せっかくカンフーの使い手と戦えると思って楽しみにしていたのに…… やっぱり東京音頭が不味かったのかなぁ? 合いの手が入るタイミングが絶妙過ぎて、ついつい、いい感じに拳を叩き込んじゃったんだよねぇ……」


「東京音頭? それは何の話?」


「ああ、こっちのことだから、気にしなくっていいよ」


 さくらちゃんとしても、意外過ぎて理解が追い付かないんだよ! 東京音頭とカンフーがこれほど相性が良かったなんて、全然知らなかったからね。ほら、世の中には予想外な効果を引き起こす組み合わせがあるって言うよね。プリンにしょう油を掛けるとウニの味になるとかね。


 まあいいか、それよりもフィオちゃんたちの経過を聞いておこうかな。



「フィオちゃんたちは、あれからどうしたのかな?」


「そうねぇ…… さくらちゃんが警察署の窓から飛び出して行ってから現在まで、国防軍の手で署内の捜索が継続中だけど、いまだにこれといった手掛かりは発見されていないようね。署長への取り調べでも、アフロディアに関する自白は得られなかったわ」


 どうやらこれで、完全に手掛かりを失ったみたいだよ。これは色々と振り出しから始めないといけないようだね…… せっかくの苦労が水の泡になって、さくらちゃんとしても、虚しい気持ちが募ってくるよ。



「さくらちゃん! せっかく私が体を張って得た手掛かりを、無駄にしたんですか?」


 おや、横から明日香ちゃんが話に割り込んできたよ。それにしても、『体を張った』っていうのは、一体何のことだろうね?



「明日香ちゃん、駐屯地ナンバーワンのヘタレである君が、一体いつ体を張ったというのかな?」


「もう! さくらちゃんはすっかり忘れているんですね! 毎度毎度この調子だから、さくらちゃんはバカなんですよ!」


「なんだとぉぉぉ! こんなに賢いさくらちゃんに、バカとは実に失礼だよ!」


「そんなことはどうでもいいですから、さくらちゃん! よく聞いてくださいね。私が連れていかれたのは、実は作戦だったんです! 最初から警察が怪しいと睨んでいた私の勘は、正解でしたね!」


 明日香ちゃん、その主張は、あまりにも自分に都合が良過ぎないかな? さくらちゃんは、一瞬耳を疑ってしまったよ! 以前から記憶を都合よく書き換えると思ってはいたけど、最近はどうやら捏造まで始まったようだね。色々と手遅れになる前に、一度お医者さんに診てもらったほうがいいんじゃないかな?


 お友達として、一応注意はしておいたほうがいいよね。毎回この調子だから、私も手を焼いているんだよ!



「明日香ちゃん、ずいぶん上から目線の主張だけど、逮捕された件は反省するべきだと思うよ!」


「あれは逮捕じゃないですから! さくらちゃんは、私の手柄をフイにしたんですから、この場で謝ってください!」


「パスポート不携帯の罪で前科一犯さん、どうもごめんなさい!」


「ムキーー! 全然謝っていないじゃないですかぁぁぁ! 誰が前科一犯なんですかぁぁぁ!」


 本当に面倒だなぁ…… 相手にしている時間はないから明日香ちゃんは放置して、フィオちゃんに話を振ろうかな。



「フィオちゃん! さしあたっての問題は、アフロディアのシッポをどうやって掴むかなんだよ!」


「警察組織を取り締まるだけではダメなのかしら?」


「相手はどうやら帰還者みたいだからね。肝心のボスを取り押さえないと、警察を潰してもまた新な組織を作り上げる可能性が高いんだよ」


「帰還者ねぇ…… 一般の人の中に紛れてしまうと、発見するのは困難よね」


 私が倒した劉という男は弱かったけど、それでも魔力を持った帰還者だったよね。劉は『ボスは強い!』と言い残したからには、アフロディアも帰還者だと考えるしかないんだよ。



「見つけにくい上に、一般の軍隊では敵わないからね。私たちがいなくなってから暴れだすと、せっかく占領した香港自体が危うくなるんだよ!」


「さくらちゃんに正論を述べられてしまったわ! 大賢者としての私の立場が、砂上の楼閣になってしまった気分よ!」


 どうも、フィオちゃんからは今一つ真剣味を感じない気がしてくるよ。というよりも、マフィアなんて一筋縄ではいかない相手に対しては、専門家である私にお任せといった態度だね。フォロー役に徹するつもりみたいだから、敢えて積極的な意見を述べる気がないんだね。確かに、貴族のお嬢様育ちのフィオちゃんには、マフィアの遣り口なんか想像が及ばないだろうからね。


 おや、今度はカレンちゃんが口を開くよ。



「さくらちゃん、マリアさんは今頃どうしているんでしょうね?」


「そうだったよ! マリアちゃんをすっかり忘れていたよ! ちょっと連絡してみようかな」


 カレンちゃんは、いいことに気が付いてくれたよね。マリアちゃんは、他の組織の幹部と連絡が取れて、運び屋の仕事を請け負うと言っていたんだよね。今どうなっているのか、ちょっと聞いてみようかな。



「もしもし、マリアちゃんかな?」


「こちらはマリアですぅ! さくらちゃん、ちょうどいいところだったですぅ!」


 電話口からは、無事な声が響いてきたよ。ということは、マリアちゃんは上手くやっているのかな?



「マリアちゃんは、今どうしているのかな?」


「仕事を請け負って、船に荷物を運び終わったですぅ! 中身は中華大陸連合の本土に密輸するお酒ですぅ!」


「マリアちゃんが船に乗って、お酒を運ぶのかな?」


「私は積み込みだけでお仕舞ですぅ! なんでも沖に出てから、迎えに来た相手側の船に積み替えるみたいですぅ!」


 なるほどねぇ…… これはいわゆる〔瀬取り〕という手口だね。監視が緩い海上で、積み荷を乗せ換えて運び込むんだね。密輸は犯罪だけど、お酒だったら大した問題はないから、このまま様子見でいいかな。



「もうしばらくは、その場で様子を見ていていいよ。何かあったら、連絡してよ!」


「了解ですぅ! もうちょっとしたら、ホテルに戻るですぅ!」


 フムフム、マリアちゃんは、大丈夫みたいだね。特にこれといった情報もないようだから、お任せしておこうかな。


 さて、これからどうしようかな……


 しょうがないから、しばらくは司令部でお茶でも飲んで待っていようかな。もしかしたら国防軍から、ガサ入れの結果が報告されてくるかもしれないからね。何かあったらすぐに動き出せるように、待機しておこう。


 ということで、フィオちゃんたちと連れ立って、司令部があるホテルのロビーに向かうさくらちゃんでした。







 

 

 九龍湾では、マリアが……


 倉庫から車で出発して、あっという間に貨物船が停泊している埠頭までやってきたですぅ。私たちが乗っている車も清掃会社のロゴ入りのワゴン車で、偽装工作は完璧ですぅ。



「今からあの船に入り込む。船員と話をしてくるから、車の外で待っていてくれ」


「わかったですぅ!」


 作業服姿で、他のメンバーと一緒にワゴン車の前で待っているですぅ。全員が掃除用具を手にしているので、どこから見ても船内清掃で集められた作業員ですぅ。



「許可が下りたぞ。船内に入ってくれ」


 戻ってきた男に続いて、船の中に入っていくですぅ。案内された場所は船倉の一角ですぅ。貨物がそこら中に山積みされているですぅ。



「ここに貨物を並べてくれ」


「わかったですぅ!」

 

 指定された位置に順番に木箱を並べていくですぅ。あっという間にお仕事は終わりですぅ。



「驚いたな。あれだけの量を、一人で簡単に運べるとは……」


「だから運び屋なんですぅ!」


「そうだな、専門の運び屋なんだから、このくらいは当たり前なんだろうな」


「仕事はきっちりとやるタイプですぅ!」


 私の仕事ぶりを見て、男たちは驚いているですぅ。異世界で生活していた時期を含めると、そこそこベテランの運び屋だから、このくらいは当然ですぅ。



「清掃員の姿で船に入り込んだから、すぐに外に出るのは不味い。しばらくその辺で休んで、時間をつぶしてくれ」


「わかったですぅ! 適当に時間をつぶすですぅ!」


 少し離れた場所にパイプ椅子が置いてあるですぅ。座って様子を見ていると、男たちは木箱を開けて、中身を確認しているですぅ。



「荷物にも異常はいないな」


「数もきっちり揃っていますぜ」


 当然ですぅ! 箱ごとそのままアイテムボックスに仕舞っていたから、中身もそのままですぅ。運び屋は、信用が第一ですぅ。でも、私の本当の姿は、れっきとした日本の公務員ですぅ! 安定万歳ですぅ!


 木箱の中を確認し終えた男たちは、何かを待っているようにソワソワして落ち着きがない態度ですぅ。でも、私は、詳しい話は全く聞いていないから、これからどうなるのか知らないですぅ。


 おや、電話が着信を伝えてきたですぅ。男たちに気付かれないように、コッソリと出てみるですぅ。



「もしもし、マリアちゃんかな?」


「こちらはマリアですぅ! さくらちゃん、ちょうどいいところだったですぅ!」


 電話の声は、さくらちゃんだったですぅ。仕事が一段落して、ちょうどいいタイミングですぅ。



「マリアちゃんは、今どうしているのかな?」


「仕事を請け負って、船に荷物を運び終わったですぅ! 中身は中華大陸連合の本土に密輸するお酒ですぅ!」


「マリアちゃんが船に乗って、お酒を運ぶのかな?」


「私は積み込みだけでお仕舞ですぅ! なんでも沖に出てから、迎えに来た相手側の船に積み替えるみたいですぅ」


 今の時点で分かっていることを、全部伝えるですぅ。男たちに気付かれないかと、ドキドキするですぅ!



「もうしばらくは、その場で様子を見ていていいよ。何かあったら、連絡してよ!」


「了解ですぅ! もうちょっとしたら、ホテルに戻るですぅ!」


 さくらちゃんとの連絡は、無事に終了したですぅ。


 男たちは、私の様子に全く気が付いていないみたいですぅ。それよりも、何か重大なことを真剣に話し合っているようですぅ。全くこちらには注意を向けていなかったですぅ。あれだけドキドキした私の気持ちを、返してもらいたいですぅ!




 しばらく待っていると、船倉に新魏会の幹部ワンともう一人若い女性が、連れ立って姿を現すですぅ。男たちは一斉に立ち上がって、その女の人に挨拶をしているですぅ。



「お嬢、お待ちしておりました」


「お嬢、いよいよですね」


「今は亡きボスが暗殺されて2年、待っていた甲斐がありましたぜ!」


 男たちの態度と話しぶりからいって、この女の人は亡くなったボスの娘という設定のようですぅ。


 それよりも『いよいよ』というのは、何のことですかぁ? 悪い予感しかしてこないですぅ!



「今日こそ16Kと決着をつけるよ! 狙いはアフロディアの首だからね! お前たちの命は預かったよ!」


「お嬢! 全員がお嬢に付いていきますぜ!」


 ちょっと待ってもらいたいですぅ! 全員が決死の覚悟で、これから戦争でも仕掛けるような空気ですぅ! 早く逃げ出したいのに、とてもそんな話を切り出すような状況じゃないですぅ!


 というよりも、みなさんは、すっかり私の存在を忘れているですぅ! ここに無関係の人間がいるですぅ! 強く主張したいですぅ! でも、面と向かって切り出す勇気はないですぅ! 


 仕方がないから、できるだけ巻き込まれないように、貨物の陰に身を隠すですぅ。何とか逃げ出すタイミングを窺うしかないですぅ!


 すると、そこに……



「お嬢! パトカーの大群がこちらの埠頭に押し寄せてきますぜ!」


「どうやら来たようだな。お前たち! 歓迎の準備だ!」


「「「「「おう!」」」」」


 男たちは、蓋を開けた木箱から次々に機関銃を取り出すですぅ…… えぇぇぇぇ! 箱の中身はお酒ではなかったですぅ! 騙されたですぅ! 大量の武器が入っているですぅ


 男たちは、マシンガンを手にして、ポケットには入るだけのマガジンを捻じ込んで、甲板に向かって駆け出していくですぅ。これから始まることを考えると、自然と体が震えてくるですぅ。


 うう…… 怖いですぅ! こんな事態になるんだったら、荷物を下ろした時に、トイレに行くふりをして外に出ればよかったですぅ! 今となっては後の祭りですぅ!



 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


 船倉にいても、銃撃の音が聞こえてくるですぅ! マリアはもしかしたら、人生最大のピンチを迎えてしまったかもしれないですぅ! こうなったら、神様に祈るしか道はない……



 あったですぅ! 絶対確実に助かる道が残っていたですぅ! 気が動転して忘れていたですぅ! こんな大事なことを見逃していたなんて、私は大バカですぅ!


 ポケットからスマホを取り出すですぅ!



「もしもし、さくらちゃんだよ」


「さくらちゃん、大変ですぅ!」


「うん? マリアちゃん、どうかしたのかな?」


「私が船に運んだ荷物は、お酒ではなくて大量の武器だったですぅ! 今、船の外では、新魏会と警察の銃撃戦が始まっているですぅ!」


 焦っているから、さくらちゃんにしっかり伝わったかどうか、不安ですぅ! 今、頼みの綱はさくらちゃんだけですぅ!



「マフィア組織と警察の銃撃戦が始まっているのかな?」


「その通りですぅ! 早く来てくださいですぅ!」


「場所はどこかな?」


「九龍湾の埠頭ですぅ!」


「よし、待っているんだよ! すぐに行くからね!」


「お願いするですぅ!」


 とっても頼もしいですぅ! さくらちゃんが来てくれれば、どんな危険だろうが、簡単に打破してくれるはずですぅ! 早く来てほしいですぅ! 待っているですぅ!






 甲板上では……


 

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!


 パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!


 甲板上から狙い撃ちする新魏会構成員に対して、警官たちはパトカーを盾にして拳銃で応戦している。だが、たちまちパトカーは穴だらけになって、ガラスやパーツが派手な音を立てて飛び散っていく。



 ドゴーン!


 1台のパトカーが、漏れ出したガソリンに引火して火柱を上げる。周囲にいた警官が、その衝撃に煽られて吹き飛んでいく地獄絵図が繰り広げられる。



「お嬢! こちらが圧倒的に優勢ですぜ!」


「気を緩めるんじゃないよ! この場の警官は皆殺しにするんだ!」


 なおも甲板上からは、マシンガンの掃射が浴びせられていく。弾倉が空になると、訓練された手際ですかさず新しい物と交換しながら、新魏会のメンバーは鬼のような形相でパトカーを次々にスクラップにしていく。


 それは、あたかも積年の恨みを晴らすが如くの光景だった。仮に、周囲にこの状況に立ち会う者がいたら、その音はマシンガンが奏でる葬送曲のように聞こえるかもしれなかった。



「お嬢、肝心のアフロディアは、姿を現しませんね」


「ヤツは絶対に来る! 密輸は16Kの独占事業だ。そこに新魏会が手を出す事態を、あの強欲が見逃すはずはない! 前もってある程度情報を流しておいたから、ヤツは絶対に食いついてくるはずだ」


「確かにお嬢が言う通りですぜ! アフロディアは部下を信じてはいないというのが、もっぱらの噂ですからねぇ。自分で出張ってくる可能性が高い。配下の連中が警察組織というのは、一見すると強力な権力ですが、俺たちのように命を懸ける忠実な配下がいないですから」  


 2年前にボスを暗殺された新魏会は、次々に16Kに下部組織を潰されて勢力を失っていった。だが、昔ながらのマフィア組織だった新魏会は、跡継ぎの娘を中心にして、コアになる勢力を必死で温存していたのだった。


 その目的は、たった一つ。暗殺されたボスの敵を討つという目的のために、彼らはこの2年間を費やして、必死になって準備をしていた。さらに……



「ワン、実はおまえにも教えていなかったが、もう一つ噂を流しておいたのさ。今回の取引には、私が直々に顔を出すってな。新魏会の跡継ぎが生きているのは、アフロディアにとってはさぞかし目障りだろうからな」


「お嬢! なんて危険な冒険に出たんですか! 自分の命を囮にしたというんですか?!」


「お前たちが命を捨ててくれるなら、私だってこの命を懸けてやるさ。それこそが、新魏会の心意気というもんだろう!」


「お嬢、ありがとうございます! 今の言葉を聞けただけで、俺たちは安心してあの世に旅立てます」


「ワン、死ぬのはまだ早いよ! まずは、アフロディアを仕留めるのが先だよ!」 


「承知!」


 清掃員の姿をしている5人と、船員に紛れ込んでいた5人の構成員、これが最後に残った新魏会の戦力だった。全員が決死の覚悟でマシンガンをぶっ放していく。現在の状況は圧倒的に有利だが、甲板から周囲を監視しているワンが、大きな声を上げる。



「あそこに一人で立っているのは……? 奴がアフロディアに違いないぞ!」


 ワンが指さした先には、銃弾の雨すら露ほども気なしない様子の人影が、貨物船に向かって一歩ずつ歩いて来るのだった。

埠頭に現れた怪しい人影は果たして何者か…… 続きは週末に投稿します。どうぞお楽しみに!


感想、評価、ブックマークを寄せいただいて、ありがとうございました。


さて、アメリカを中心にして、世界各国で株価が乱高下しています。これも新型肺炎の影響かと考えがちです。当然、感染流行の影響が多々あるのですが、実はもう一つ別な背景が存在します。


株価の下落のもう一つの背景には、産油国の減産交渉決裂という事態があります。サウジとロシアの交渉が不調に終わって、原油価格が1バレル=30ドルまで急落しました。


アメリカでは、シェールガスやシェールオイルの生産が行われており、実は現在世界最大の産油国となっています。ところが、このシェールオイルは、生産コストが高いのが難点で、1バレル=50ドル前後でないと、採算割れしてしまいます。


アメリカのシェール企業がこのままでは破綻する可能性があるのです。果たして、産油国同士のこの駆け引きがどのように転ぶか、原油価格の値動きも注目に値すると思います。


余談ですが、破綻するのはアメリカのシェール企業だけではありません。ロシアの国家財政も半分以上原油の輸出に頼っています。もしかしたら、ロシアが先に破綻するかもしれません。


いずれにしても、世界に大きな影響をまき散らしているコロナウイルス、早い時期に終息してもらえることを願うばかりです。皆さんも、健康にお気を付けください。


マスクが手に入らないぃぃぃぃぃ! 花粉症が辛いぃぃぃぃ!

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