147 ダッシュするんだよ!
泉州で暴れ回るさくらたちは・・・・・・
空軍基地に突撃したさくらたちは・・・・・・
うーん、どうもここはすでに退避が完了して、ごく少数の守備隊がいるだけだったみたいだね。管制塔や格納庫はあらかじめ遠距離攻撃で破壊しておいたから、あとはレーダーサイトと滑走路を使用できないようにしたらもうお仕舞いだよ。
「ボス、滑走路破壊用の炸薬をセットしました!」
「それじゃあ全員こっちに退避するんだよ!」
「了解しました!」
親衛隊が走って戻ってくるね。これも経験だから特殊部隊の皆さんの指導を仰ぎながら爆弾をセットしたんだよ。何でも指向性プラスチック爆弾とHEATの組み合わせらしいけど、詳しい説明はおやつを食べていて華麗にスルーしたからよくわからないんだよ。薄っすらと聞いた範囲では、地面に向かって爆発して舗装してあるアスファルトを溶かして大穴を空けるということだけだね。
なんだったらこのさくらちゃんが滑走路を殴りつけた方がもっと大きな穴が開くんじゃないかと思うんだけど、まあこの場は特殊部隊に花を持たせようという私の心遣いだよ。皆さん張り切って爆薬をセットして回っているから、これはこれでいいんじゃないかな。
「退避完了! 音響並びに閃光に備えろよ! カウントダウン10で爆破する! 10,9・・・・・・ 2,1、、爆破!」
ドドドドドカーン!
おお! これはまた派手な音が滑走路のあちこちで響いているよ! 土煙が晴れると、そこには確かに大穴が開いているね。この分なら補修を終えるまで当分使い物にならないんじゃないかな。香港攻略が完了するまでここが使えなくなるだけでいいから、それほど大したダメージでなくてもいいんだよ。
「それじゃあレーダーも壊しておくよ。あそこのアンテナみたいな鉄塔でいいのかな?」
「お願いします」
擲弾筒で鉄塔の根元に狙いをつけて3発発射したら、ガシャーンと音を立てて倒壊したね。これで空軍基地の襲撃は完了だよ。残っているのはミサイル基地だけだね。
「それじゃあミサイル基地に向かおうか」
「さくら訓練生、ここからミサイル基地までは2時間近くかかりそうだ。すでに1500を過ぎているから、どこかで一晩過ごして明朝向かうのはどうだろうか?」
うーん、私一人で襲撃するのなら別に構わないんだけど、親衛隊に夜間戦闘はちょっとハードルが高いかもしれないね。私も実に丸くなったもんだよね! 異世界にいた頃は時間なんか関係なく突撃していたけど、こうして全員の安全を考えるようになったんだからね。仕方がないからどこかで一晩過ごそうかな。おあつらえ向きに、どう見ても人が住んでいなさそうなマンションがいっぱいあるから、適当に一晩明かす場所には困らないね。
「それじゃあ無人の建物を一晩借りて夜営するよ」
「なるべく人目につかない建物を探します」
「任せるよ」
長野中尉に全部お任せに限るよね。こういう場合専門家に従っておけば、一番安全な場所を探してくれるんだよ。そもそも私にはこの辺の地理なんてチンプンカンプンだからね。それから装甲車は空軍基地にあった車両に乗り換えるよ。漁港から乗ってきた車は燃料が少なくなっているし、こっちの方が性能が良さそうという話だからね。
こうしてミサイル基地に向かって30分くらい進んだ所で、明かりが1棟丸々消えているマンションらしき建物に入り込んで、一晩過ごすさくらちゃんたちでした。
翌朝・・・・・・
「主殿、やはりキツネうどんがないと我はどうにも気が乗りませぬ」
「これ、そなたは贅沢を申すではないのじゃ! 妾のように何でも食すのじゃ!」
「タマは甘い物ばっかり食べているよ! もっとお腹に溜まる物を食べないと元気が出ないんだよ!」
「主殿、妾は一月ほど何も口にせずともなんともないのじゃ! こうして口に合う物を食すのが幸せなのじゃ!」
タマは朝からハチミツをたっぷりかけたパンケーキを食べてホクホクしているよ。甘い物だったら何でもいいみたいだね。ポチの方はどうやらキツネうどんの禁断症状が出ているようだね。富士に帰るまでの我慢だからね。さて、お腹がいっぱいになったところで出発しようかな。
「それじゃあ、装甲車に乗ってミサイル基地に向かうよ!」
「了解しました!」
こうして夜営を終えて、私たちは出発するよ。道路は車が少なくて、移動は順調だね。国中でガソリンが不足しているから、自家用車は殆ど見ないよ。走っているのはトラックとバスだね。時々警察の車両と擦れ違うけど、装甲車に『止まれ!』なんて言ってこないよ。まさか乗り込んでいるのが日本の国防軍だなんて、外見からは判断できないからね。もし何か言ってきたら、遠慮なく擲弾筒の餌食にするところだったけど、皆さん私たちに声を掛けなくて良かったね。
1時間半ほど走るとミサイル基地が見えてくるね。街外れにあるビルの陰で装甲車から降りて様子を窺っている最中だよ。ここは他の基地とは違って市街地からはかなり離れた場所にあるみたいだね。周辺には建物がなくてどこにも身を隠せないから、装甲車から降りて突撃するしかなさそうだよ。
「基地まで2キロくらいはあるね。ここから走って突撃しようかな」
「ボス、さすがにこれだけの距離を走っていたら狙い撃ちされそうです」
「そうかな? 30秒ぐらいで正門に辿り着けるよ」
「時速300キロで走れるのはボスだけです! 私たちは5分以上かかりますよ!」
そうだったね。すっかり忘れていたよ! みんな私のように速く走れないんだったよ!
「それじゃあ私が先に突入しているから後から来るといいよ。基地の中が混乱していれば外には注意が向かないでしょう」
「さくら訓練生は一人で大丈夫なのか?」
長野中尉が心配しているね。特殊部隊の人たちはまだ私の実力がよくわかっていないから、こうして心配するのも無理はないかな。でも安心していいよ! 私がある程度基地の守備隊を片付けておくからね。
「大丈夫だよ! あとからゆっくり来ればいいよ! 装甲車は私がアイテムボックスに仕舞っておくからね」
「ボス、この場はお任せします」
それじゃあ準備も整ったから、突撃を開始しようかな。擲弾筒の装着具合を確認すると、私は街外れの建物の陰から一気に飛び出していくよ。思いっきり加速すると、景色が後方に流れるように見えてくるね。あっという間に基地の正門が私の目の前に近づいてくるよ。このまま一気に突入だよ! 門を警備をしている一個小隊には擲弾筒を向けてと。
バシュ!
ドカーン!
基地のフェンスを薙ぎ倒しながら哨戒小屋が爆発したね。警備していた兵士はあっちこっちに吹き飛ばされているよ。そのまま敷地に入り込むと、擲弾筒を乱射していくよ!
バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ!
ドドドドドドドドカーン!
建物から炎と煙が上がっているね。慌てて兵士たちは外に飛び出してくるけど、こんな連中は私から見ればいいカモだからね。次々に擲弾筒の餌食にしていくよ。
でもこいつらに構っている時間はないんだよ! 肝心のミサイルを叩き壊しておかないといけないからね。見たところ正門から3キロ以上離れた場所にミサイルらしきシルエットが見えてくるね。でも50基くらいあるミサイルが全部上を向いているのはどういう訳だろうね? もしかして打ち上げを開始するつもりだったのかな?
私が正門の付近で大暴れをしていると、ようやく親衛隊たちが追いついてくるね。ポチや特殊部隊の人たちも一緒に到着したよ。みんな全力で走ってきたから息が切れているね。タマは走るのが苦手だから、まだこっちに向かっている最中だよ。
「取り敢えずこの一帯は制圧したよ。あっちにあるミサイルはもしかしてこれから発射しようとしているのかな?」
「明らかに発射の兆候ですね。機体を破壊するか、管制施設に乗り込んで発射を停止するしかなさそうです」
ふむふむ、長野中尉の意見は当然だね。どっちがいいのかな?
「弾頭に何を搭載しているかわからないですね。もし核を搭載しているとしたら、下手に破壊すると放射能をばら撒くことになります」
「それはさすがに不味いね。それじゃあ管制施設に乗り込もうかな」
「それがいいでしょう。おそらくミサイルが並んでいる手前の建物です」
ようやくタマも追いついて、私たちは一塊になって基地の奥に進んでいくよ。時折守備隊が銃を構えて出てくるけど、私が何も言わなくてもポチや新入りが片付けてくれるね。手間が省けていいよ。それにしても広い基地だね。警戒しながら進んでいるから、中々目的の管制施設に辿り着かないよ。
「この先が発射場だね。あと一息で目的の管制施設だよ!」
「ボス、建物の影から人が大勢現れました! ナイフを構えてこちらに向かってきます!」
うん、確かにその通りだね。でもなんだか様子が変だよ。その時私は魔力の気配を捉えて、建物の屋上に視線を向けるよ。そこにはマントを羽織った黒尽くめの男が立っているよ。
「よくここまで来たな。私は中華大陸連合の帰還者、七龍のうちの五龍。日本の帰還者よ! この場が貴様らの死に場所になるのだ。死こそが最大の喜び! 死に包まれて最期を迎えよ!」
なんだか不気味なやつだね。死が喜びとかバカなことを言っているよ! ご飯を食べるのが一番の喜びに決まっているのにね! 死んだらご飯を食べられないよ!
「主殿、どうやらあやつは反魂の術を操るようですぞ。目の前に現れた人の姿をとる者たちは、須らく死んでおります」
「ほほう、死者を操っているという訳だね」
「教官殿、自分も異世界で耳にしたことがあります。ネクロマンサーと呼ばれる死者を操る術者がいるそうです」
なるほど、私が感じた違和感の正体は目の前に現れた兵士たちが死者だったということなんだね。ゾンビが大量に現れるなんて、このさくらちゃんでもさすがに気分が悪いよ。建物の影から続々と現れるゾンビたちは次第に数を増やしていくね。目の前が動く死体で埋まっていくのは、普通の人間にとっては本能的な恐怖を齎すみたいだね。精神を鍛え上げている筈の特殊部隊の皆さんが真っ青な顔をしているよ。
「ボス、後ろからもゾンビがやって来ました!」
「さっき倒した連中がもう生き返っちゃったんだね。どうやら前後を挟み撃ちにされているよ」
美鈴ちゃんがいたら魔法で一気に燃やしてもらえるんだけど、この場にいないのは残念だね。さてと、こうして黙って見ている訳にも行かないから、討伐を開始しようかな。
「ポチは後ろ側のゾンビを炎で焼き払うんだよ! 新入りも魔法で対処! タマはカマイタチで切り刻め! 他のメンバーは魔法銃で対処するんだよ!」
「承知いたしました」
「教官殿、盛大に焼き払ってやります!」
「妾も頑張るのじゃ!」
ポチの狐火が大量に飛び出していくね。新入りの魔法も中々効果があるよ。タマのカマイタチはゾンビをバラバラにしていくね。さすがに体を切り刻まれたらゾンビはもう動けなくなっているよ。他のメンバーも一斉に魔法銃を発射して、着弾したゾンビは体が四散していくね。
「ハハハハハ! 少しくらい倒したところで無駄だ! 沿海州で死んでいった兵士の死体を全て集めてあるのだ! 全部で百万はストックしているぞ! 全ての死者を倒せると思うなよ」
言われてみればロシア兵の死体も混ざっているよ。この帰還者は戦場で死体を集めて回っていたんだね。よくそんな気持ちの悪いことをするよ。このままじゃしばらくご飯を食べたくなくなっちゃうよ! その間にもゾンビは着々と増えていくね。
「ゾンビが百万いようが全部倒してあげるよ! それからゆっくりと相手をしてやるから、そこで待っているんだよ!」
「いいのか? あまり手間取っていると、日本に向かってミサイルが発射されるぞ。50基の核ミサイルを全部迎撃するのは不可能だからな」
やっぱりミサイルを発射するつもりだったんだね。これは本当に不味いね! 富士の魔力砲がどのくらい打ち落とせるのかわからないけど、どうやらここからミサイルを発射させる訳には行かないようだね。
「ポチ! 後方のゾンビは焼き払ったかな?」
「主殿、こちらは終わりました」
「それじゃあこの先の建物に向かって真っ直ぐに炎を飛ばしてよ! ゾンビが手薄になったら、私が建物に突入するからね」
「御意」
ポチが狐火の方向を変えて撃ちだしていくと、炎に巻かれて次々にゾンビが倒れていくよ。私はダッシュに備えて身構えると、後ろから声が掛かるね。
「さくら訓練生、一人で管制施設に行っても、ミサイル発射の解除方法がわからないだろう」
「適当にぶっ壊せばいいんじゃないのかな?」
「発射管制コンピューターシステムにアクセスする必要があるぞ」
「そんな難しい話は私には無理だよ!」
「私も一緒に向かおう。これでも元ミサイル部隊の出身だ」
「わかったよ! 一緒に行くよ! 私の後ろをついてくるんだよ!」
こうしてさくらちゃんは長野中尉を引き連れて前進を開始するよ。ポチが狐火で穴を開けた場所に突っ込もうすると、その穴を埋めようとするゾンビが左右から湧き出してくるね。右手で衝撃波を撃ち出してふっ飛ばしながら進んでいくよ。ゾンビが面白いように空高く舞い上がっていくね。
こうして何とか道を切り開きながら管制施設の入り口に辿り着いたね。五龍はゾンビを生み出すしか攻撃手段がないみたいだね。私たちが施設に突入するのを黙って見送ったよ。と思ったら、施設内もゾンビで溢れ返っているんだね。なんだかウンザリして来るよ。
建物の中で擲弾筒は使用できないからね、右手で衝撃波を放ちながら前進していくよ。長野中尉が後方から追いかけて来るゾンビを魔力銃で処分してくれるから助かるよ。
厳重にロックしてある扉があるけど、左拳の一撃で吹っ飛ばして先に進むよ! ありゃー! こっちにもまだゾンビがいるよ! ほんとうにしつこいったらありゃしないよ!
「さくら訓練生、管制ルームはおそらく地下にあるはずだ」
「そうなの?」
「爆撃にも耐えるように設計されているのが普通だからな」
「なるほど、それじゃあ地下に向かうよ!」
長野中尉は何でもよく知っているね。中々頼りになるよ! エレベーターを発見したから地下に降りていくよ。たぶん一番下の階だよね。扉が開くと、またまたゾンビたちの出迎えだよ! それっ、衝撃波を食らうんだよ! 吹き飛んで壁に叩き付けられたゾンビは動きを停止するね。
時々現れるゾンビを駆逐しながら先に進むと、頑丈な扉が出現してくるね。どうやら拳の威力では破壊できそうもないよ。身体強化を掛けてから右足を一閃!
ガシャーン!
大きな音を立てて扉が倒れたね。さくらちゃんの前ではどんな頑丈な扉も意味を成さないのだ! 施設の内部にはアラーム音が響いているけど、生きている兵士は誰も出てこないね。全員ゾンビにされちゃったのかな?
「さくら訓練生、ここが怪しいぞ!」
「よーし、ここも壊して中に入るよ!」
扉を蹴飛ばすと、中はコンピューターとモニターがいっぱい並んだ部屋だったよ。どうやら目的の管制室みたいだね。
「コンピューターへのアクセスを開始する。しばらく時間を稼いでくれ」
「大丈夫だからゆっくりしていいよ!」
長野中尉が端末の操作を開始するね。私は全然わからないから入り口でゾンビがこないか見張っているだけだよ。しばらく時間が経過すると、長野中尉が諦めた声を出すね。
「ダメだな。パスワードがないとシステムに侵入できない。色々と回避する方法を探ったが、これ以上は無理のようだ」
「それじゃあミサイルを止める方法はないのかな?」
「あとは物理的にシステムを壊すしかないだろう」
「それだったらこのさくらちゃんにお任せだよ! この部屋を壊せばいいのかな?」
「ここは端末しか置いていないから、ダメだろうな。どこかにメインサーバーがある筈だ」
「よし、そこを探すよ!」
なんだかよくわからないけど、それを壊せばオーケーなんだよね! さくらちゃんがバッチリ壊してあげるよ!
「この部屋に間違いないだろう」
「ふむふむ、それじゃあ擲弾筒をお見舞いしようかな。中尉は危険がない場所まで下がってよ」
部屋の内部は同じ様な機械がいっぱい並んでいるね。ここがメインサーバーでいいのかな? まあ何でもいいか! 擲弾筒をぶっ放せばいいからね。
バシュ!
ドドーン!
室内で魔力弾が盛大に爆発したよ。ゲホゲホ! 煙が凄いね! おや? アラームに混ざって警告する音声が聞こえてくるよ。
「メインサーバーが破壊されました。発射データは全て破損しました。予備サーバーのデータを優先して読み込みます。この施設はあと30分で自爆します」
なんだって! 敵の手に渡るくらいだったら施設ごと爆破しちゃおうという罠だったんだね! これは脱出しないと不味そうだね!
「さくら訓練生、不味いことになったぞ!」
「急いで脱出するよ!」
来た道を引き返して、出てくるゾンビを討伐しながら管制施設の外に出ようとするよ。でもエレベーターが使用不能になっていて階段を探したり、建物の入り口付近にいた大量のゾンビを排除したりして、貴重な時間をだいぶロスしてしまったよ!
「全員撤収だよ! 基地の出口に向かって全力で走るんだよ!」
「ボス、一体どうしたんですか?」
「何でもいいから撤収するんだよ!」
「教官殿、先程裏からヘリが飛び立ちました。帰還者が逃げ出したものと思われますが、放置してよろしいでしょうか?」
「今は構っている場合じゃないから、とにかくゾンビがいない場所まで走るんだよ!」
理由も言わずに親衛隊や特殊部隊の皆さんを追い立てるように走り出すよ。私が先頭で衝撃波を放ちながらゾンビを吹っ飛ばして、入り口方向に向かうよ。
ようやく入り口に到着した時には残り時間がもう15分を切っているね。大急ぎで装甲車に乗り込むと、全速力で発進だよ!
「なんだって! ボス、基地が自爆するんですか?!」
「だから大急ぎで逃げるんだよ!」
2台の装甲車は少しでも基地から離れようと速度を上げて道路を進んでいくよ。ノロノロと走っている車なんか追い越して、交差点の信号も無視しながら突っ込んでいくよ。横から来た車が急ブレーキを掛けたり、時には装甲車に衝突するけど、この際お構いなしだね。
「仮に核爆弾が基地で爆発した場合、熱と衝撃が及ぶ範囲は半径20キロ程度と思われます」
「今どのくらい離れているのかな?」
「まだ5キロですね。残り時間は約5分です」
「これは相当不味いね」
すでに市街地には入っているけど、こういう場合はどうしたらいいのかな?
「装甲車よりも頑丈な建物の地下の方が安全だと思われます」
「それじゃあビルの地下まで行くよ!」
時間はあと3分、これはもうギリギリだね。さすがに私も生身で核爆発の威力に耐え切れる自信はないからね。どこか安全な場所に避難するしかないよ。
「あのビルにしましょう!」
「急ぐんだよ!」
装甲車から降りると全員がダッシュでビルに向かうよ。私は2台の装甲車をアイテムボックスに納めると、みんなの後を追うよ。時間はあと1分30秒!
「急げ! こっちだ!」
先頭を進む長野中尉が階段を発見して大声で呼んでいるね。全員が飛び込むようにして階段を下りていくよ。その時・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴ! ズズズーーーン!
これは今まで聞いたことがないような爆発音だよ! 地鳴りのような不気味な音が地中から響いてくるね。ちょっとでも下の階に向かうんだよ! 全力ダッシュだよ!
その直後、泉州ミサイル基地を中心にして、ヒロシマ型原爆の10倍の威力を持った核爆発が、周辺一帯を2千度に及ぶ熱と激しい爆風に包むのだった。
核爆発に巻き込まれたさくらたちの安否は・・・・・・ この続きは週末にお届けいたします。どうぞお楽しみに!
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