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134 鬼の城

船内で美鈴たちは・・・・・・

 隠岐を発った美鈴たちは・・・・・・


 私とフィオは隠岐から連絡船に乗船して境港に向かっているわ。山吹と才蔵は2時の船に乗ったから2時間遅れで追跡する形ね。



「美鈴、念のために確認しておくけど山吹をどうするつもりかしら?」


「有無を言わさずに殺すわよ」


 レイフェンを黄泉に旅立たせた罪は命程度では贖えないんだけど、大魔王の寛大な処置に感謝するといいわ。私たちに手を出した愚かな行いを悔いながら死んでいくべきでしょう。



「一応情報は聞き出しておいてよ。今回の任務の大事な目的なんだから」


「そうね、相手が素直に吐くようだったら一応は耳を傾けてもいいかしら」


「素直でない場合は?」


「死ぬまでの時間が短くなるだけよ」


 今私の心には大きな暗黒が広がっているのよ。一歩間違うとこの暗黒が私の自我を飲み込んで世界中に災いを齎す大魔王が爆誕してもおかしくないわね。まあその辺は何とか自分でコントロールしているから今のところは心配はないわ。そう、今のところはね。


 こうして私たちは境港に到着してタクシーで米子駅に向かうわ。京都方面に向かう列車を待っているとコートのポケットから着信音が響いてくる。



「もしもし」


「才蔵です。山吹は列車を日吉で降りて車に乗り換えて北に向かっております」


「尾行は可能かしら?」


「難しいので車に発信機を取り付けました」


「そちらの方が難しい気がするんですけど」


「気配を消して近づけば可能です。これから発信機の電波を追いかけます」


「お願いするわ」


 さすがに車で直後を追跡するのは忍者部隊でも勘付かれるリスクがあるそうよ。だからってこっそりと発信機を取り付けるなんて荒業を行使するのもどうかと思うわね。通話を終えるとちょうど京都行きの列車がホームに到着するから、私とフィオは乗り込んでいくわ。



「美鈴、山吹は京都に何の用事で向かっていると思う?」


「そうね・・・・・・ 私たちを殺すように命じた親玉への報告とか、そもそもそこが山吹の本拠地とか、大体そんなところかしらね」


「まあそれが妥当な考えよね。その他で考慮に入れておくべきなのは新たな罠を仕掛ける可能性くらいかしら」


「その可能性もなくはないわね。隠岐で山吹が召喚した怨霊は私たちの手に余るものだったわ。鬼道の術者が操る術式は得体が知れないものが多い。相当な覚悟が必要ね」


 こうして私たちは京都府南丹市にある日吉という小さな駅に向かうのでした。






 その日の夜9時近く・・・・・・


 やっと日吉に到着したわ。それにしても京都といっても広いのね。市内の賑わいとは対照的に、ここは駅は小さいし周囲にはコンビにすらないじゃないのよ! こんな場所に1人で放り出されたら途方に暮れるかもしれないわね。才蔵が京都市内にある桂駐屯地に連絡を取って車を手配してくれたから助かったわ。中々気が利くじゃないの。



「日吉ダムに向かえとの指示ですがよろしいでしょうか?」


「ええ、夜遅くって申し訳ないけど向かってもらえるかしら」


「了解しました」


 こうして私とフィオを乗せた車は駅から見て東側の日吉ダムに向けて進んでいくわ。車が擦れ違うのがやっとの狭い道ね。富士駐屯地周辺も一歩山側に入るとこんな道はたくさんあるのよね。


 ダムの管理事務所の前にはタクシーが待っていて、そこから才蔵が降りてくるわ。かなり長時間この場で私たちの到着を待っていたから料金が大変なことになっていそうよ。まあ経費だから仕方がないわね。才蔵も私たちの車に乗り込んで、ここから更に山奥に入っていくわ。


 対向車なんか1台も見当たらない細い林道をうねうねと進むこと3時間、ようやく目的の場所が見えてきたわね。そこだけ山林を伐採して車が何台か駐車出来るように切り開いてあるのよ。才蔵が目撃した山吹が乗り込んだ車もこの場に停まっているそうよ。



「ここから先は果たして何処に行ったのかわかりません。辺りは真っ暗ですし道を外れると遭難の危険があります」


 時刻は深夜12時をすでに回っている、半月に照らされて朧げに木々の輪郭がわかるけど、獣道すら何処にあるのかわからない状態ね。でも私とフィオにはこの先何処に向かえばいいのかはっきりとわかっているのよ。その理由は極めて明確よ! これだけの魔力の気配なら私たちでも感知可能ね。



「この先にある結界が張られている場所に向かえばいいのよね」


「通常こんな山奥にわざわざ結界を張る必要はないわ。絶対に人目に触れたくない何かがあるのよ。フィオ、辺りを照らしてちょうだい」


「ええ、昼間のように明るくしましょう」


 フィオの手の平からバレーボールくらいの光のオーブが生み出されると私たちの周囲だけが昼間のような明るさに包まれるわ。これなら山の中に踏み入っても大丈夫ね。運転役の桂駐屯地の隊員はこの場に残して、才蔵を先頭にして私とフィオがその後に続いて辛うじて人が通った跡がある細い山道を登っていく。



「これだけ大きな魔力を使用した結界なら1キロ先からもはっきりとわかるわね」


「相当大掛かりな何かがある筈よ」


 忍者の才蔵にとっては山道を歩くのはお手の物ね。平地と全く変わりない足取りでスタスタ登っていくわ。私とフィオは異世界で馬車で移動する機会が多かったからあまり足腰は丈夫ではないのよ。2人とも魔法が専門だから聡史君やさくらちゃんのような体力の塊とは訳が違うわ。標準的な女子よりも少しだけ体力がある程度なんですからね。したがって2人とも歩き出して10分で息が上がっているわ。



「フィ、フィオ! あなたは大丈夫かしら?」


「そ、相当厳しいわよ! おまけに藪に服が引っ掛かって歩き難いのよ!」


 今後は駐屯地での訓練でもう少し体力的な面を鍛える必要があるかもしれないわ。だからって絶対にさくらちゃんには頼まないわよ! あの子と一緒に私が訓練をしたら3分で死んでしまいますからね! これは冗談ではないんですから!


 歩くこと30分、私たちは登り道に喘ぎながらようやく目的の地点に到着するわ。そこは人が立って楽々と内部に入れる大きな洞窟だったの。入り口は人目に止まらないように視認阻害と進入を阻む結界で覆われているわね。



「フィオ、すぐに中に入れるかしら?」


「もう少しだけ息を整えさせて!」


 私とフィオはアイテムボックスからカレン特製の回復水を取り出してゴクゴクと飲み干すわ。普段は魔力と体力をそれ程大幅に消耗する機会がないから初めて飲んでみたけど、この水の効果って劇的なのよ! 本当にビックリしたわ! あっという間に体力を回復した私たちは洞窟の前に張られている結界に向かう。



「かなり頑丈な作りの結界ね。力技で壊してもいいけどどうしましょうか?」


「美鈴、この場は大賢者に任せて!」 


 フィオは自信たっぷりな様子ね。下手に壊すと内部の術者に勘付かれるリスクがあるけど、一体どうするのかしら?



「アナザー・ディメンション!」


 フィオは結界の一部に重なるようにして極薄の亜空間を召喚すると、大きく広がっている結界の人が通る分だけを自らが作り出した空間で切り取ってしまったわ。そこだけポッカリと結界に穴が開いているの。よくこんな方法を思いつくわね。



「大賢者は細かい魔法の制御に秀でているのよ。大魔王のように力任せに極大魔法を振るわないの!」


「確かにこういう精緻な部分の魔法運用に関してはフィオに軍配が上がるわね」


 私とフィオの魔法の違いは性格に基づいている可能性が高いわね。豊富な魔力に任せて大魔法を放つ私と技巧派のフィオとの違いでもと言うべきかしら。もちろん魔法解析をはじめとした細かい技法は私にも可能だけど、性格的に向いていないから精神的な疲労感が大きいのよね。その点大魔法を放つのは気持ちがスッキリするの!



「才蔵も私たちに付いて来なさい。万一周辺に伏兵を配していると不味いわ。私とフィオが一緒の方が安全ですからね」


「承知しました」


 私たちは切り取られた結界から洞窟の内部に侵入していくわ。私が先頭を務めてフィオが続き、一番後ろに才蔵という布陣よ。才蔵は後方の気配を気にしながら私たちに付いてくるわね。


 内部は壁にロウソクを灯して明かりが確保してあるわね。高さは随分と余裕があって天井まで3メートルはあるわ。しっかりと整備された通路が奥に向かって50メートルは続いている。これはどうやら人工的に掘られた通路のようね。一体誰がこんな山奥に立派な地下施設を作り上げたのか疑問が湧いてくるわ。



「どうやらこの先に何かありそうよ」


「いかにもという感じの扉が設えてあるわね」


 なんだかダンジョンのボス部屋のような雰囲気がしてくるわ。そっと入り口を開いて・・・・・・



 この大魔王がそんな面倒な手間をわざわざ掛ける筈ないでしょう! 



「インパクト・ブリッド!」


 手の平から無属性の魔力弾が嵐のように飛んでいくわ。駐屯地で開発した魔力銃とよく似ている術式よ。頑丈な木製ドアに着弾した魔力弾は爆発して扉を粉々に破壊していくわ。



「美鈴、私がこっそりと結界に穴を開けた意味は?」


「フィオ、こっちの方が大魔王的には調子が出るのよ! いかにも悪役を滅ぼす正義の味方のような登場でしょう!」


「山賊の襲撃にしか見えない!」


 フィオったら失礼しちゃうわね! 大魔王を掴まえて山賊扱いは酷いでしょう! そんなことはどうでもいいのよ! ここから恐怖の蹂躙を開始するわよ!


 跡形もなくなった扉があった場所を抜けると、そこは山中を大きく繰り抜いた思いの他広大なスペースが広がっているわ。



 ヒューン! ヒューン! ヒューン!


「無駄よ!」


 私たちに向かって3連発で炎の塊が飛んでくるけど、あらかじめ展開してあったシールドに阻まれて手前で爆発して消える。炎が飛んで来た方向に顔を向けると、そこには大勢の鬼を引き連れた山吹が立っているわ。



「どうやら怨霊を調伏したようだな。相当強力な怨霊だった筈なのによく無事に戻ってきたと褒めておこうか」


「ええ、それはもう強力な怨霊だったわね。おかげでこちらは大きな対価を払ったんだから、その分も含めてあなたの命で贖ってもらうから覚悟しなさい」


「馬鹿め! 丹波の鬼の城に自ら入り込んだ意味に気が付いていないようだな。ここは鬼族の本拠地だ。俺たちが本当の力を発揮する場にのこのこやって来たことを後悔するんだな」


「鬼族? 山吹とやら、そなたは鬼なのか?」


 あらあら、また大魔王モードが発動してしまったわ! 私の後ろにいるフィオが面白がってニヤニヤしているじゃないの!



「お前たちは何もわかってはいないんだな。鬼を従えて使役する術者こそが鬼の王だ! 平安の昔に世を騒がせた酒天童子から脈々と受け継がれてきた術者の血統だ。そして現在の鬼の王こそがこの俺だ」


「ほう、それは面白い話だ。太古より伝わる鬼道を用いて鬼を支配する人間という訳だな。我に手向かいしはそなたの独断であるとは思えぬ。背後でそなたを操るは何処の者か申してみよ」


「鬼道を知っているとは国防軍も中々侮れないな。俺はその鬼道の最高位に立つ人物の指示で動いている。まあどうせこの場でお前たちは死ぬのだから、こんな話を聞いても無駄に過ぎないだろう」


「なるほど、鬼道の最高位なる者が国防軍の動きを牽制しておるか。その人物は卑弥呼にも連なる者、差し詰め武内宿爾辺りであろう」


「何故それを知っている! あの方の秘密は我らの内だけで語られたもの! 外に漏れる筈はない!」


「愚か者が! この大魔王に知らぬことはない!」


 本当は以前聡史君から聞いていた話を思い出して鎌を掛けただけよ。この山吹という男は相当な単細胞ね。ポロッと自分から白状しているじゃないの。それからフィオ! クスクス笑わないでよ! 一旦発動すると大魔王モードは自分から止められないんだから!



「我らの秘密を知られたからにはこの場で死んでもらうぞ!」


「それでよいのか? 自ら死地に飛び込むのはそなたであるぞ」


「鬼共! こいつらを遠慮なく八つ裂きにしろ!」


「笑止なことなるが、掛かってくるがよかろう!」


 山吹が使役する鬼が一斉に私たちに襲い掛かってくるわ。その数は100体程度かしらね。さくらちゃんがいれば大喜びで片っ端から殴り倒すでしょうね。でもこの場は洞窟の内部ということもあるから、フィオに任せましょうか。



「フィオよ、そなたに任せるぞ」


「今は無理だってば! 笑いが止まらないからもうしばらく待って!」


 この役立たずの大賢者が! 自分のお腹を抑えて笑い転げているじゃないの! 仕方ないからフィオが正気を取り戻すまではシールドで鬼を阻んでおきましょう。



「鬼共! 相手は奇妙な結界によって行く手を阻んでいるぞ! 結界を叩き壊せ!」


 山吹の指示に合わせて鬼たちが私のシールドを取り囲んでコブシを叩き付けてくるわね。あらあら、1枚割れてしまったから5枚ほど追加しておきましょうか。それにしてもこの場にいる鬼たちは駐屯地の地下通路に出現する連中よりも力が強いわね。私のシールドが時折破れる音が響いてくるわ。それよりもフィオは早くしてよね!



「はー、山道を歩くのよりもダメージが大きかった! さてお待たせしました、大賢者が邪魔な鬼たちを根こそぎ駆除して差し上げるわ。スターエクスプロージョン!」


 これはもうお馴染みの魔法よね。相当高度な魔法なのにフィオが使用するとまるで実家にいるような安心感で見ていられるわ。ほら天井には無数の星が煌いてシールドに取り付いている鬼たちを虎視眈々と狙っているわよ。



「はい、一斉に落下して!」


 結果は最初からわかっていたけど見事なものね。鬼たちの頭上から落下した光が着弾と同時に爆発を繰り返してその体バラバラにしていくわ。この光景を見ていた山吹は一気に余裕を失って相当焦った表情に変わっているわ。いい気味よね。



「フィオよ、中々良き仕事であった!」


「もう止めて! 私を笑い殺す気なの?!」


「後始末は我に任せよ! ヘルファイアー!」


 鬼の残骸はきれいに燃やして灰にしましょう。燃え残った灰は換気を兼ねて風魔法で洞窟の外に押し出したらお掃除は完了ね。



「さて山吹よ! この場は大魔王が力を振るうにはいささか狭い故に少々我に付き合ってもらおうか。空間転移!」


 洞窟の内部ごと御殿場でバチカンの騎士を倒したあの場所に招待したわ。ここならば大魔王が遠慮なく力を振るえるんですから。山吹は見慣れない風景にキョロキョロと辺りを見渡しているわ。



「ここは何処だ?!」


「我が仮に創り出した空間、そなたは以前転移の術式を用いたと聞いておる。果たしてその術でこの場から逃げられるか試してみよ」


「何だと! 馬鹿な、転移が封じられている!」


「当然だ。そなたにはこの場の座標も元いた場所との関係もわからぬ。仮に転移が成功しても宇宙空間に放り出されるだけと心せよ」


「ということは、お前を倒さないとここから出られないということだな」


「術者を破れば術が解けるのは道理、そなたが生き残るには我を倒すのみ」


「いいだろう、覚悟が決まったぜ」


 山吹が私を睨み付けてブツブツと何かをつぶやいているわね。



荒御魂あらみたま由羅由羅戸ゆらゆらとふるいたまう御魂みたまの御力おんちから 八竜はちりゅうここに顕現けんげんなしたまえ


 あらまあ、これは中々面白い術ね。上空に8体の炎の竜が出現したわ。山吹は全ての魔力をこの術に注ぎ込んだようで肩で息をしているわね。



「一斉に襲い掛かれ!」


 上空の竜は私を目掛けて急降下してくるわ。でもこの程度の術式は大魔王にとっては子供の玩具ね。



「凍火!」


 パリン! パリパリパリパリン! ドスドスドスドスドスドスーン!


 たったの一言で炎の竜は凍り付いて地面に落ちたわ。これは炎のみを凍り付かせる術式なの。異世界で山火事の鎮火用に軽い気持ちで創り出したのよ。



「そ、そんな馬鹿な・・・・・・ 俺の最強の術が・・・・・・」


「ようやく我との力の差を理解したようだな。どれ、このような感じでよいのか?」


 大魔王としては山吹をただで死なせはしないわ。レイフェンがいなくなってしまった分、より深い絶望を味わってもらわないと気が治まらないのよ。結構な魔力でヘルファイアーを大量に召喚して、それをドラゴンの形に作り上げるわ。なんだかアメ細工をしているような感じね。細かいディテールにもしっかりと拘りましょうか。よし、いい感じに出来上がったわ!



「暗黒から生み出されしドラゴンよ! その場にいる男を焼き殺すがよい」


「ギュオーーーン!」


 上空にはヘルファイアーで形作った、翼を広げると差し渡し100メートルを超える巨大なドラゴンが大地を轟かせる咆哮を上げているわ。どうかしら、自分の術式をコピーされた上に、それを大幅に上回る威力を見せ付けられた感想は? どうやら聞く間でもないわね。山吹は真っ青な顔でガタガタ震えているわ。


 ドラゴンは滞空したまま一瞬のタメを作る。そしてその顎門あぎとが大きく開かれると、ヘルファイアーのブレスを吐き出す。



「止めろぉぉぉぉぉ!!」


 山吹の悲鳴は長くは続かなかったわ。ほんの一瞬で全身を灰にされて消え去ってしまったから、何も抵抗のしようがなかったわね。これが大魔王に手向かった者の末路よ。死んでからも魂が慄くといいわ。



「相変わらず美鈴は派手な魔法を好むわね」


「面白いから今後も使おうかしら」


「それはいいけど、早く京都に戻りましょう」


「ええ・・・・・・ あれ、消えない?」


 盛大な魔力を込めた影響で炎のドラゴンがキャンセル出来ないのよ! このまま燃え尽きるのを待つしかないわね。



「ということで、ドラゴンが燃え尽きるのを待つわ」


「なにが『ということ』なのよ! 意味がわからないじゃないの!」


「たぶん2時間くらいで燃え尽きるから」


「何で美鈴は毎回やり過ぎるかなぁ? いい加減学習して欲しいわ、このポンコツ大魔王!」


「ポンコツとは何よ!」


 こうして私とフィオが言い争っている横では才蔵が口から泡を吹いて気を失っている。亜空間に連れてこられてこんな炎のドラゴンを見せ付けられたら、常人では意識を保っていられないのが当然ね。すっかり存在ごと忘れていたわ。影が薄すぎるのよ!


 上空を羽ばたく巨大なドラゴンの姿を眺めながら、醜い争いが無駄だと気が付いた私たちは2時間程この場でボケッと待っているのでした。




これで美鈴たちの任務は完了です。次回は舞台が再びヨーロッパに移ります。バチカンが怪しい動きを・・・・・・ 投稿は週の中頃の予定です。どうぞお楽しみに!


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