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#36 Sleeping Beauty

 此処は…どこ?

 私は公園にいたはず。

 それなのに、机と椅子に囲まれた此処はまるで教室の様に見える。


 頭がボーっとする。身体も動かない。なんで?

 そう思っていると黒板が割れて誰かが入ってきた。

 月のように美しい銀色の長い髪を振りかざしているその女性の背には羽が優雅にはためいていて、その様はとても綺麗で、あぁ此処は天国だろうと漠然と思った。


 銀髪の天使は軽やかに私の前に立ち、優しく微笑んだ。


「久しぶりになるのかしらお姫様。私の愛する人の望みで、仕方がなく不本意ながら、嫌々助けに来たわ」


 え? 久…し…ぶり? あれ…? 何処かで会った気がするけど、思い出せない。それに凄くしんどい。頭も上手に働かない。


 彼女は私の狼狽など何処吹く風、実にどうでもよさ気な作り笑いで無遠慮な視線をくれる。


「あら、辛そうね。この手錠のせいかしら?」


 彼女は私の背後に回り込み、ガチャガチャと何かをいじくっている。手錠?そう言えば手も動かない気がする。


「『彼』の呪いの類かしら? まぁ、私の髪の前では無力だけれども」


 そう呟いた直後に寂しい教室に硬質な音が響いた。…手が動く。

 結構万能なのね私の『ハズれ』方。

 彼女は更に独り言を付け加えると、右手を私に差し出す。


「大変不本意だけど、掴まって。外に出るわよ」


 たすけてくれるの?


「出来ることならば、私情としてはここで殺しておきたいわね。そうすればライバルが確実に一人減るのだから。でも残念ながら御主人様があなたの無事をお望みなの」


 よく分からない。言ってる意味が解らない。


「しっかり掴まってね。少し荒っぽいわよ」


 彼女は悪戯っぽく笑う。絵画のように綺麗な笑顔。


 窓ガラスが砕ける硬質な音を背に飛び立つ。

 前を向く。外界には、夜と朝の狭間で展開される地獄。狭間で笑う王子がいた。

 何処かでみたような雰囲気も持った人のような気がしたけど、私の幼馴染みであるアイツはあんな風じゃない。


 私の知っている、長い時間を一緒に過ごした『彼』は、もっと……。

 朦朧としていた私の意識はそこでパチンと『また』途切れた。


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