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二話



「………………これでもう五村目ですよ」


会議室のような場所で、王とその他のものは頭を抱えていた。


「……対処しようにも相手が何者かわからないどうしようもないな、クソッ」


三十代くらいの右目から頬にかけて傷が入っている男が悪態をつく。


「だがこのままでは不味いぞ、民たちが不安がっている、早急に解決せねば」


「……なら国周辺の兵増強、陸路、空路での偵察機をするしかあるまいな」


「いっそのこと爆撃を行うというのはどうだ?」


「――ならぬ」


議論がかわされるなか、王が最後の言葉を否定する。


「それでは国周辺の村々、下手をすれば我が国までも被害あってしまうではないか」


「――それだ!」


国王がたしなめるように告げた時、一人の軍人めいた男がひらめいたように声を荒げる。


「やつらは周りの村々を時計回りに潰していっている、なら次の村に防衛戦を敷き、迎撃すれば良いのだ!」


「ならばただちにそうせよ。それからお主のところにも力を貸してもらうぞ――カザマ・タイショウ(大将)」


「分かりました」


カザマ大将と呼ばれた軍人は敬礼をしてから直ぐに動き始めた。









――――――――――――


「ほらこっちだ! さっさとしろ!」


「第一分隊から通達、各分隊以上はないか?」


「第二分隊、異常なし」


「第三分隊、異常なし」


「第四分隊、異常なし」


「第五分隊、異常なし」



村を壊滅させたやつらが次に来ると予測される場所――ナナ村に王国軍はやって来ていた。そして着々と準備を進めていた。


「騎士隊、魔法隊、各自布陣を整えろ!」


「――ったく、ここまで用意周到ならオレらいらねぇじゃねえか」


「そんなこというなよガイン、もしもの保険だろ」


王国軍騎士、魔法隊、カザマ大将率いる新成NATO国家、第十五分隊が一組、魔族から獣人が四人――――くしくも不神大戦の時と同じ人獣連合軍であった。



それぞれの組が混じりあった軍隊は談笑を始める、しかし気は緩めず警戒していた。



――――そして、何も異常はなく夜がやって来た。

最低限の明かりを灯し、第十五分隊は暗視装置(サーマル・ビジョン)を装着し備えていた。




「…………あ゛ぁ゛、に゛お゛う゛な゛…………や゛づら゛の゛に゛お゛い゛だ」



「…………?」


第三分隊に配備されていた集音マイクが何かの音を拾う。

人とも獣の唸り声ともにつかないものに聞いていた一人は眉を潜める。


「こちら第三分隊、集音マイクにて不審な音を拾った、警戒され――」


「――――うわぁぁぁぁぁぁっ!」


各隊に忠告をしているときに闇夜をつんざく悲鳴が響き渡る。


『――総員、迎撃体制!』



第十五分隊全員が命令を聞き、チャージングハンドルを引いて弾がいつでも発射できるように構え、王国軍騎士隊は剣を抜き、盾を構え、魔法隊は魔力を練り上げ、いつでも援護ができるようにする、獣人は力を溜め、見つけ次第に飛びかかれるように、『狂獣化』して一気に殺せるようにしていた。




『ぐぁっ!?』


『何ッ!!』


『う、撃てぇーーっ!!』


第二分隊から悲鳴と発砲音が響く。


すでに第一、三、四、五分隊は王国軍、獣人がいる村の入り口に集まっていた。


第二分隊が襲撃を受けたのは村の入り口の前方であったのでそこに集まり、油断なく臨戦態勢を取っていた。


やがて発砲音が止み、第一分隊隊長が第二分隊に連絡を繋ぐ。


「第二分隊、報告されたし、どうなった? 何と交戦したんだ?」


『――――』


だが、第二分隊は応答せず沈黙が帰ってくるばかりだった。


「くせぇな、血の臭いだ」


獣人たちが顔をしかめ、呟く。

もう一度繋ごうとしたとき、何故か前方の闇夜の道から「ザリッ」という音が全員に聞こえた。




――そして、全員が息を飲んだ。




――――ザリッ、ザリッ。


――現れた十一の人の形をした何かに。


「――殺せ」



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