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十三話『我道正志vsベイリス・マグナ』







 「――貴殿か。今更何のためにここまで来たのか」


 抜き放った剣を構えながらベイリス・マグナは問う。


 「――――そんなものは決まっている。お前たち(裏切り者)を殺すためだ」


 我道正志は旗槍を持ちかえながらかえす。


 「……分からんな」


 「お前たちはどうせ殺すんだ。分からなくても変わらない――」


 直後、ベイリスの剣が我道の眼下に迫る。

 それを上体を倒して避ける。間髪入れずに振るわれる剣を体捌きだけで避けていく。


 「ならば――」


 連撃を繰り出しながら片腕を伸ばす。すると小さな魔法陣が現れ、一本の剣が出現する。

 それを抜き、我道に斬りかかる。二刀になったため、体捌きだけでは捌ききれず旗槍を使って剣撃を逸らしていく。


 「――ふん」


 遠心力も使い、神速の刃がベイリスの剣に当たり、砕ける。そのまま威力を殺さずにもう一本の剣も破壊する。


 「――っ」


 胴体を切り裂かんとした刃にすんでのところで気づいたベイリスは半歩下がり回避することに成功する。

 続けて襲いかかる刃に飛びのいて回避行動をとる。


 「……化け物だな、その見た目と同じ」


 ベイリスはさきほどと同じように魔法陣から剣を出現させ、手にしながら言う。


 「お前たちを殺すのに見た目を気にすると思うか?」


 槍での一線、それだけでまたも二刀の剣を砕く。


 「――『夢幻流、双』」


 ポツリ、とベイリスが呟く。

 瞬く間に出現した剣はハサミのように交差して我道の首に迫る。


 「――ふん」


 槍を手にしていない手で裏拳を交差しているところに当てる。それだけで剣は粉々になる。


 「――『夢幻流、雷』」


 二刀で唐竹の攻撃、だがそれは届く前に防がれ、剣を壊される。


 「――『夢幻流、孔』」


 飛び込みような突きが放たれる。しかし、さきほどのリプレイのように防がれ、壊される。


 「――『夢幻流、白』」


 「――『夢幻流、玲』」


 「――『夢幻流、跎』」


 「――『夢幻流、火布』」


 ――――――――――――――


 どれくらい斬りあったか、砕いたか分からないほど長く二人は戦っていた。


 技を繰り出し、剣を振るい、壊され、攻撃、防ぎの繰り返し。

 お互いの攻撃が幾度となく交わされた。

 両者の攻撃が入ることもたびたびあった。


 「――……はぁ、はぁはぁ…………」


 しかし、ベイリスが消耗しているのは誰が見ても明らかであった。


 ベイリスの攻撃は剣を使った隙を埋めて攻撃はを自在にするもの。しかし、攻撃自体は単調で、ただ切るだけ。

 それに比べて我道の攻撃は強かった。

 槍で切り裂き、殴り、蹴る。たったそれだけのことなのに、当たれば深々と斬れ、抉られる。

 ありえない威力にさらされて思わず声が出る。


 「――化け、物め」


 「地獄で言っていろ」


 我道は地面に刺さっている手斧を抜き、ベイリスの方を見る。


 「――さて、終わりにするか、元帥の方も気になる。仲間の鎮魂も行いたいからな」


 「…………ぬかせ」


 ――ダンッ!


 踏み込んだ大地は陥没し、亀裂を生む、我道の姿が見え搔き消えるが、ベイリスはそれに反応してみせた。

 剣を出現させ、防御するように構える。


 一拍置いて、手斧が二本の剣を捉え、砕く。


 「――くっ、おおぉっ!」


 続いて突きが迫る。刺されば死ぬ、そう瞬間的に思ったベイリスは体全体をひねり、直撃を逸らし、剣を出して少しでもずらす。


 刃先は脇のそばを掠り、肉を切り裂き、骨を削った。


 「――ぐふっ」


 避けたと思った時、ミシッという音とともに苦痛が全身を駆け巡る。

 蹴られたのだと理解したのは地面を無様に転がって我道を見た時だった。


 「――っ」


 ゆっくりと動いていたはずなのにいつの間にか目の前にいた我道は手斧を振り下げている途中だった。


 「ッ! 『Iatgs(アイアス)』!!」


 ベイリスはとっさに短略化した魔法を発動させ、自分と手斧の間に半透明の膜のような防御壁を張る。

 防御力はそれなりにあったはずだがやすやすと破壊しベイリスへとせまる。しかし、少しでも時間が延びたため、開始することに成功する。

 その時間を利用し、避けるように跳びのき、大きく距離をとる。


 「――夢幻流、凪」


 距離をとったのは一瞬で、今度はその距離を詰めるように接近する。

 二刀を横に薙ぐように振るう。だが、当たり前のように破戒される。


 破壊されてもなお剣を取り出し、同じくように斬りつける。しかしそれも手斧の一撃で砕かれる。


 「――我道正志が以下二個大隊全員に捧ぐ」


 ベイリスが先ほどのように魔法を発動させておけば少しは良かったのかもしれない。

 抉るように突かれた槍はベイリスの右脇腹を貫通する。刃先が身体に突き刺さると、柔らかいものをついた時のように肉が崩れ、思い出したかのように血が噴き出す。


 痛みに顔を歪め、傷を見たのは一瞬だった。その一瞬が自身の命運を左右したのかもしれない。

 視線を我道に戻すと目の前に旗槍の穂先があった。

 視界が白黒に変わり、ゆっくりと動いている景色に変わる。避けようとしたが、避けられるはずもなく右眼窩に突き刺さる。


 眼球を切り裂き、押し潰して体内に強引に侵入した穂先はその威力のまま脳に達し、破壊しつくす。


 びくんと身体が跳ね、力なく足元から崩れ去る。だが、地面に倒れることはなかった。


 我道が旗槍の柄を持って固定するように止める。

 そして、手斧を振るい首を切り裂く。


 槍に突き刺さった頭部を引き抜くと髪を掴んで投げる。

 ベイリスの頭部は建物の鋭利な突起物に突き刺さる。


 それはこの国にある宗教――教会と似た建物で、十字架のようなそれを冒涜するように血で汚していた。


 

 


 


 

また投稿します。

今度は12時頃には。

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