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人生の分岐

草臥れた疲れた男が家に着く。

この日、男は、仕事をクビになった・・・。

家に妻は、いない。

恐らく、情夫と楽しんでいるのだろう・・・。

彼には、娘と息子がいるが・・・、娘の姿もない・・・。

妻同様、娘もおそらく見知らぬ男といるのだろう・・・。

息子もいない。何年も前に亡くなった。

男は、暗い部屋に独り立ち、スーツを脱ぐ。やがて、ソファーに座り込むと、うとうとしだし、眠り出した。

それからまもなくして、自分を横から映し出す鏡に賎しい男が現れた。

妖しい男の声は、確かに離れているのに眠っている男の耳元できこえだした。

「妻は、お前に飽き、家を出て、娘は、知らぬ男をつれ回し、息子は、幼くして、いなくなった。お前は、何ために生きるんだ?」

斜に構え話す男は、問う・・・。草臥れたリーマンは、おもむろに寝ぼけ眼で、立ち上がり、息子が使っていた部屋で置いてあった水鉄砲を持ち出し、ペンキを塗り出した。

鏡の中の男は、暗がりの部屋からこう言った。

「そうか、黒く塗って、銀行を襲うんだな!MR.フォーリーダウン(堕落)!オレが力を貸そう!」

くたびれた髭の男は、ただ、黙っていた・・・。



次の日も草臥れるた中年は、お喋りな鏡の中の男に話し掛けられた。

誰もいないはずの部屋で独り寂しくソファーに座りながら、彼は、話をきいていた。

「なぁ、くそみたいに不味い上に写真と違う薄っぺらなバーガー、くそみたいにコンプレックスをつついてくる上司、乏人には、おあつらえ向きだと言わんばかりのくそみたいな仕事!お前は、それで満足なのか?」

怒鳴り散らす男は、問う?

それを聞くなり、草臥れた親父は、立ち上がり、寝室にある聖書を持ち出し、キッチンで燃やし出した。

鏡の中の男は、暗がりの部屋からそれを見て、こう言った。

「そうだ!まずは、手始めに神の冒涜からだ!MR.フォーリーダウン(堕落)!」

草臥れた生真面目は、ただ・・・、黙っていた・・・。



翌日、草臥れた独りぼっちは、何か、を持って帰ってきた。

「ソイツは、何だ?なんに使うだ?」

悪魔の男は、問う。

暗がりの部屋では、よく見えなかったが・・・、やがて、白いレインコートだと、気づいたのは、間もなくだった。

草臥れた聖者は、それを着て、息子の愛銃を取り出しこう言った。

「お前を黙らすためのモノさ!」

聖書の灰を溶かした聖水が銃から放たれ、鏡にかかる。

「グうぅぁぁぁぁぁぁ・・・。MR.フォーリー・ダウン・・・。」

浅ましい男の断末魔が鏡から聞こえ、やがて、吹き割れる。

「・・・私の名前は、・・・ホーリー・タウンだ・・・。」

彼は、そう言葉を残し、手にした息子の愛銃を見た・・・。

「Papa,strong !!」

彼は、家を去って行った・・・。

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