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蔓延するウイルス


―――どうする?・・・脱出の手段・・・ないのか?

「くたばれぇぇぇ!」

横沢の怒声が響く。それと同時に銃声が八発鳴った。

それから外の方では沈黙が続く。

総一郎は森の手を外そうと手を蹴りつける。

「うぐっ!」

左腕が痛み、足に力が上手く入らなかった。

「無駄だ!無駄だ!」

森は手を放さない。それどころか総一郎の身体を引き寄せてくる。


「はなせぇ!」

次はレッグホルスターのM1906を引き抜こうとする。狭くて、動くことが困難で取ることが出来そうにない。

森の居る場所は少しだが広そうである。

―――あそこでなら、レッグホルスターから銃を抜けるか?

しかし、あそこへと引っ張られたら森の攻撃が来るだろう。今は人間の身体に戻っているが攻撃のときは化け物に戻ってしまうかもしれない。



「くっ、そういちろ・・・」

横沢が再び、隙間から現れた。

何故か頭部から出血をしていた。

―――横沢、噛まれたわけじゃあるめーな

感染していないかを心配しながらも無事だったことに安心する。

「それどころではないな・・・」

「そーいちろー!!!」

横沢の方を再び見る。その間に身体が一気に引っ張られる。


「うけとれぇぇぇぇ!」

地面を拳銃が回転して滑ってくる。

総一郎はソレを受け取った。9mm拳銃だ。

―――さぁ、お前の拳か俺の引き金か。早かった方が勝つ。

横沢の腕が肥大化する。どうやら、殴るのに特化した形態のようだ。

9mm拳銃を森に向けた。頭は未だに人間のままだ。どうやら、腕だけを変形させたようだ。


総一郎は引き金を引いた。

銃弾は森の額に当たった。

「うっぐぐぐぁ・・・・」

森がうめき声のような声を口から漏らす。

総一郎は9mm拳銃を捨て、レッグホルスターのM1906を出し、森へと向ける。

「お前もあんなことをしなきゃな・・・」

呟くとマガジンを撃ちつくすまで撃った。

後に残ったのは森の無残な死骸であった。


総一郎は這って、外へ出ようとした。

隙間から手が伸びてきて、総一郎は空の下へと引っ張り出す。

「お互い無事のようだな」

横沢がニッと笑った。俺の顔も少し綻んだ。ほんの僅か前まで命の危機に立たされていた。


「てか、葵たちは!?」

「大丈夫だ。すぐ近くの避難所に置いて来てる。自衛隊も到着してたから、問題ないだろ?」

「ふ~ん、そうか・・・・。避難所はどこなんだ?」

総一郎が横沢に問う。その答えは予想外の場所であった。


「近くの研究所の体育館だ。」

「け、研究所・・・?」

森が出てきた場所を思い出した。


「その研究所に案内しろ。」

「どうした、急に・・・。」

「説明は移動しながらだ!」

横沢が走り出したので付いていく。


「あの研究所に森は潜伏していた。もしかしたら、あそこで実験が行われていた可能性が高い。生物研究所らしいしな・・・・。研究員はいたか?」

「いや、全員で情報の移動を行うための準備をしていた。」

「奴ら、逃げるつもりか。研究員を狩にも行くか・・・」


突如、ゾンビが地面から現れた。

その手が総一郎の左足を掴んだ。

----やべぇ!

右足を使い、ゾンビの手を引き剥がし、総一郎は下がった。

てかこいつ等、コンクリートから腕を出したぞ!

地面から続々と腕が生えてくる。


「うへ、気持ち悪いな!」

「任せろ!」

総一郎はフラググレネードを地面から生えてきた腕に握らせた。

「下がれ!」

横沢が慌てて、一歩下がった。

すると比較的、小さな爆発が起き、コンクリートに穴が出来た。

コンクリートから生えた別の腕がぶらぶら揺れる。

爆発で頭とかにダメージを与えられたのか?


「逃げるぞ!」

「へ?倒さないのか?」

横沢が意外そうに言った。

「奴を倒す手段は今はない!」

「そうか・・・・」

走るにつれてゾンビの数が多くなっていく。

その度に曲がったり、路地に入ったりするのだがキリがないほど多く、とてもじゃないが進めなかった。

けど、これは生存者が集まっている証拠であった。


遂に二人は路地から出られないほどのゾンビに囲まれた。

大通りのところには3m歩くごとにゾンビを複数体相手にしなければならないほどゾンビで埋まっていた。

「チッ、戻るも地獄行くも地獄ってやつか・・・」

「覚悟するか」

「フン、俺と来るならそれなり覚悟はしてこいや」

総一郎は口の端を吊り上げて言った。


「俺がこの路地飛び出て左側の建物の壁から右を撃つ。お前は逆から左を撃て。」

「了解」

横沢は89式の弾を詰めなおして、銃の状態を確認した。

総一郎はゾンビが来ないかを角から覗っていた。


「よし、3カウントだ」

「OK」

横沢は返事をするとカウントを始めた。総一郎はMP5を構えて、カウントを唱えるのを待って、外へ飛び出た。

総一郎は中腰の状態で射撃をした。

進むべき道の敵を倒していった。


「横沢!!!退路は開けた!移動を開始する!」

「横沢、了解だ。」

総一郎が最初に走りながら邪魔なゾンビを掃討する。

強引に敵の動きを止めて、動くことによって研究所の入り口が見える位置まで来た。

総一郎は息を呑んだ。

ゾンビが研究所内へと押し入っていたのであった。


「おい、自衛隊はどうなってやがる!?」

「さっきはいたはずだ」

「くっそ、だから日本は甘いんだよ」

「あ、おまっ、バカにすんなよ」

「とにかく行くぞ。体育館の位置を教えろ」

横沢が案内を始め、総一郎がそれに付いていった。


「アレが体育館か」

自衛隊の隊員と一部の市民や警官が防衛線を敷いていた。

「おーい!人間だ!撃つなよ!?」

横沢が89式小銃で背後のゾンビを撃ちながら叫んだ。

二人は防衛戦へと入るとゾンビへの射撃をした。

マガジンを撃ちつくすと周りの人間を無視して、横沢を引っ張り中へと入った。


「横沢、三人を探しに行け。」

「お前はどうするんだ?」

「研究所内に用がある。」

総一郎はそう言うと研究所へと向った。


横沢は一人となって館内を捜し歩く。

避難民は横沢をまじまじと見る。

―――ま、銃火器を持ってるから当然のことか


そして、間もなく、三人は見つかった。

今、この空間では横沢は銃を持っているということで明らかに浮いていた。異質のものであるかのように。

そのお陰もあって、三人は横沢を見つけることが出来た。


その時、横沢は悲鳴を上げた男が居るのを見つけた。

「あの男は・・・?」

「わからないわ」

美月が心配そうな顔で言った。


「・・・・待てよ。嫌な予感がする。」

その男は苦し紛れに自分の服を裂いた。

――――凄い力だ。

しかし、そんなに悠長なことも言ってられないことが露になった。


服の下から現れたのは幾つもの噛まれた後であった。

―――マジかよ!?検疫とかしてねーのかよ!

横沢は三人を連れてその場から離れようとしたか周りの人間も状況を飲み込んだのか大騒ぎになった。

そうしているうちにその男はゾンビへと変化した。

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