表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

オーバーキル

一つの生物相手にビル倒壊させるのはやはり、オーバーキルですかね?



「総一郎・・・」

葵が呟く。心配なのだろう。私も同じだ。何より、三年間、死んだと思っていた総一郎が生きていたのだ。

シャッターの外から銃声が聞こえた。


「おい!美月!葵!舞!居るのか!居るなら返事しろぉぉ!」

横沢の声が聞こえた。

「居るわ!」

シャッター越しに叫び、シャッターを開いた。美月は総一郎の残したM1906を構えた。

横沢が立っていた。

「急げ!こいつ等の再生力は高いぞ!」

ゾンビが立ち上がった。横沢は89式を撃ってゾンビを倒した。


「急げ!安全地点まで移動するぞ!」

横沢は三人を銀行から出すとついて来るように言った。

「横沢!総一郎が・・・・・・!」

「ああ、分かってる!この先の研究所の体育館が避難所になっていて自衛隊も居るはずだ!」

横沢は返事をした。


地響きが聞こえてきた。

「何、コレ!?」

篠崎が言った。

「急げ!」

横沢が焦る。

何か居るのだろうか?三年前の化け物のようなものが。

その時、目の前の車が突如、私たちのところに飛んできた。


「止まれ!何なんだ?」

横沢が叫んだ。

葵も木の枝を構え、美月はM1906を構えた。

車を投げたのは先ほどの巨大な化け物であった。


「わっぶね!バカヤロー!」

そして、男の声が聞こえた。

「総一郎!!!」

葵が叫んだ!


「ん?バカ!何で来てるんだ!うわっ」

総一郎は跳躍した。足元に標識が突き刺さった。

「避難所に誘導中だ!この化け物の気を逸らせ!」

「たくっ!面倒なことを・・・・・・!」

総一郎はMP5で化け物の急所を狙っていく。


化け物は血を流すがふらつきもせずに総一郎の元に駆けて来た。

「化け物め!」

隙を突いて、葵たちは逃げたようだ。


「さて、やっぱあの廃ビルがベストかな?」

そして、目的地へと向う。


「総一郎、諦めろ!」

総一郎は驚いた。化け物の呂律がハッキリとしてきた。

柱の辺りに化物が立った。

総一郎はフラグのピンを抜いて投げた!

柱は吹飛び、化け物も吹っ飛んだ。が腕もどこもなくなっていなかった。


「畜生め!」

『ギガス』の時と同じような耐久力。本当に嫌になってくる。

「総一郎!諦めろ!俺は完全に同一化を済ませた!これで勝ち目はないぞ!」

「同一化?」

総一郎は問うが聞いていないのか答えはしなかった。


総一郎は走って、近くの柱にC4をセットした。

そして、射撃で化け物・・・・いや、森を誘き寄せる。

「おい、バカ!コイツをくらいな!」

スイッチを押し、C4を起爆した。


柱諸共、森は再び、飛んで行った。

森は瓦礫を払いのけ、立ち上がる。右腕が吹っ飛んで転がっていた。


「ハハハ!!!流石、C4だな!」

《ダマレェェl!!!はあぁっぁぁぁぁ!!!》

森が低い声で叫び、もがき始める。

すると右腕に白い骨のようなものが突起してきて周りに肉が集まった。

3分掛からないうちに腕は再生された。


「厄介だな。」

外はもう夕日で真っ赤に染まっていた。街灯が点く気配がない。

通信機でまだかとニックに連絡したが通信機が使えなくなっていた。

「くそっ、何故だ?」


ニックとの最後の会話を思い出すと答えが見つかった。

なるほど・・・高高度核爆発かな?由香里さんらしい。恐らく、中国の原子力潜水艦を使ったのか・・・・。

お陰でライトも使えない!


暗くなる前に終わらせねぇとな!!!

総一郎は勝負に出た。

C4を柱にセットしていき、同時に爆破してビルの下敷きにする。大型感染体でもビルのような巨大な建造物の下敷きになれば動けないはずだ。


しかし、それも難しくなってきた。

森が突如、目の前に現れた。

先回りをしてきたようだ。・・・・小ざかしい!

フラッシュバンを投げて一旦、退く。


そして、走っていると今度は瓦礫が飛んできた。

当たりこそしなかったが当たっていたら下手したら死んでいただろう。

他にも壁を突き破ってきたりなど無尽蔵な巨大な力を容赦なく使ってくる森は脅威であった。


そうこうしている間にも日は落ちている。


総一郎は再び、柱にC4を仕掛けた。

轟音と共に土埃が舞い込んでくる。と同時に大きな影が忍び寄る。

「もう、走るのはおしまいかぃ?」

森は総一郎がしゃがんでいるのを見るとそう言った。


「黙れ!」

MP5を撃ちこみ、再び、走り出した。

「俺には鉛はきかぬぞぉぉぉ!フーッハハハ!!!」

「・・・・・いちいち、うるせーヤローだ」


総一郎は瓦礫の山を乗り越え、残った柱にC4を仕掛ける。

ちょうどその時、柱に瓦礫の一部が飛んできた。

柱が崩れ、上の階の床が落ちてきた。

総一郎は慌てて、近くのテーブルに滑り込んだ。そこで難を凌ごうとしたが森がテーブルの横に立っていた。

「やはり・・・ここに滑り込んできて瓦礫から避けようとしたか・・・」

森が静かに言った。


読まれていたのか!?感染体になってもなお、冷静さが残っているのか!?

知ってはいたさ・・・。

コレまでの戦闘で気付いていた。

ゾンビたちも知識を持っていたがソレとは違うことは分かっていたさ。


「おーわぁーりぃーだぁぁぁぁぁ!」

森はテーブル目掛けて足を振り落とした。

「うおぉぉぉぉ!」

総一郎は転がってテーブルから脱出して足から逃れた。

「あばよ!」

森が言った。今度はまるでパイプ椅子のような大きさの拳が迫ってくる。


無念!!!もう、お終いだと思った瞬間。銃声が聞こえた。

空薬莢の落ちる音がバラバラと聞こえた。

「うあらぁぁぁぁ!なにしてやがるぅぅぅぅ!」

そして、怒声が聞えた。

総一郎がスモークグレネードを取り出すと投げて身を晦まし。銃を撃っていた人物の元へと急いだ。


「何故、戻ってきた?」

横沢に静かに聞いた。

「うっさい、三人は避難所に置いて来た!」

「嘘吐け!こんなに早く戻ってこれるもんか!」

「黙れ!三人、俺も含めて、お前が大切だから!手伝いたいんだよ!」

「・・・・・・・・・・・」

「お前はいつもだ!いっつも、一人で背負おうとする!」

「分かったよ。言いたいことは・・・なら、足を引っ張るなよ!」




横沢が囮となる。

89式小銃を森に向けて放つ。

「邪魔だ。横沢!!!」

銃弾の嵐の中を森は走って突っこんでくる。

「なっ、何故、俺の名前を!!!」

総一郎によって森の目の前にフラグが投げ込まれ、爆発する。

「油断するな。そいつの言うことは気にするな!」

横沢に向けて忠告した。


「なんだ?どういうことだ?」

「お前はビルから出て、葵たちの援護に行け。俺はコイツと話がある。」

「・・・・・お前の策は抜かりないよな?」

「当然!」

総一郎はにやりと笑った。


森と向かい合う。

「ほう、覚悟が出来たようだな・・・目が違う」

「化け物に堕ちた奴に目とか言われたくねーよ」

「クックク・・・化け物?俺は悪魔だ!」

「つまんね」

森を嘲笑ってやった。

すると相手は怒ったのか襲い掛かってきた。

「そーいや、そのウイルスは新型か?」

森の攻撃を避けて聞く。ファイティングナイフを攻撃してきた腕に刺す。

ソレを抜き、素早く、森の間合いから脱出した。


―――あと・・・少し、もう一歩こっちに来い。

「うあがががが!!!」

「っち!うるせぇ!喋れるだろ!」

MP5を撃つ。すると森が一歩、此方に近づき、威嚇をした。


―――今だ!

総一郎はスイッチを押した。

すると各柱に仕掛けたC4が爆破する。

ガラガラと音を立てると上の階の床が崩れ、窓が割れ、森の上に瓦礫が落ちてきた。


―――やったか?

しかし、確認する間もなく上の階は現在進行形で崩れてきている。

這う形で外へと出ようとしたが行く手を瓦礫で阻まれ、ビルからの脱出ができない。

真横に瓦礫が大きな音を立てて落ちてきた。


もう、ここで死ぬと覚悟を改めてした。・・・今更、かもしれないが。

しかし、赤い光が差し込んできているのが見えた。隙間が開いている。

―――あそこからなら出れるか?

総一郎は匍匐前進で進む。赤い光へと向って。


―――もう、あと少し・・・

その時、瓦礫が左腕に落ちてきた。

一瞬、状況が飲み込めずに腕が潰れる様をボーっと見つめた。

「があああああ!!!」

激痛と共に叫び声が口から漏れてきた。


更に瓦礫が落ちてくる。このビルが長持ちしないことを教えてくれる。

右腕を使い、身体を前へと動かす。

ガクッと身体が動けなくなる。足が何かに捕まれたようだ。

「お、お前も道連れだ!」

森が叫ぶ。サイズが小さくなって、元の人間の姿へと変わっていた。


「総一郎!大丈夫か!?」

横沢が隙間に気がついたのか、そこから此方を覗き込み、叫ぶ。

その時、横沢がぐしゃりと地面に倒れた。

「くっ!化け物め!」

どうやら、接近されていたようだ。


「大丈夫か!?」

しかし、此方も足を掴まれていて、どうしようもない。

総一郎はMP5を使おうと考えたが狭くて取り出すことは不可能だ。

ホルスターからGLOCK17を取り、撃とうとする。

右腕で構えた。そして、照準を合わせ、引き金を引いた。

銃弾は発射されたが森の頬を掠めただけでヘッドショットとはならなかった。


―――もう一発だ!

引き金を引いたが銃弾は発射されなかった。

銃を見ると弾が詰まっていた。

「う、嘘だろ?」

「ど、どうやら、お前もおしまいのようだな」

森が喜びを露にした。


「うわぁぁぁ!」

横沢が悲鳴を上げた。隙間からでは様子をよく見ることができなかった。

「どうやら、あっちもか・・・・フフフ・・・」




ご意見御感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ