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脱出 ミッションコンプリィィィィィィィィィト!!!


「倒したか・・・」

「そのようね。」

二人は倒れていた。今、この街はゾンビや他のとてつもない感染体で溢れているのでこうもしていられないのだが二人の体は限界を迎えていた。


「此方、由香里よ。恐らく、リトルバードを攻撃をしていた大型感染体を倒した。回収地点はどうだ?」

≪此方はクリアだ。早く来い。置いてくぞ!≫

「了解といいたいけど・・・動けないわ。横沢が足を持ってくるといいけど」

総一郎は一発特殊な銃弾を空に向けて放った。照明弾というやつだ。

これで横沢に居場所を教える。


五分後に横沢は米軍の兵を連れてやってきた。

彼らは軍用の車両を使ってやってきた。

「お前らは化物かよ。」

横沢が先ほどまで自分を追っていた化物の死体を一瞥するとそう言った。

「お褒めの言葉、ありがとう」

総一郎は笑顔で返事をすると横沢の肩を借りて立ち上がった。


そこに一人の米兵と思しき人物が近づいて来た。

「SEALsチーム5、マイケル大尉だ。久しぶりだな。総一郎。」

「マイケル?マイケルじゃないか!久しぶりだな?万里の長城で会った時以来か?」

総一郎は話し相手が誰か分かったので顔を明るくした。

彼は以前に中国に以来で向ったときのクライアントだ。実際は米大統領がアメリカでの作戦のときの成果で再び雇ってくれたようであった。

「そうだな・・・あの時は助かった。」

「何、あの時は依頼を全うしたまでだよ」

「そうか、でもお前には祖国でも活躍してもらったしな」

そこに由香里が横槍を入れてきた。


「久しぶりなのはいいけど、積もる話は後よ。マイケル、状況は?」

「とりあえず、被害はこの街だけだ。北海道全体がパンデモニックというわけではない。我々が来たのはワクチンの存在を知ったからだが・・・」

「フッ、それはこいつのことかい?」

総一郎はワクチンの入った箱をマイケルに見せた。


「こいつは・・・どこで?」

「話すと長くなるから要約すると・・・俺の昔のツレに裏切り者がいたんだ・・・そいつを辿って行って手に入れた。」

「そうか・・・こっちも中国の南京にあった研究所を制圧してきたんだ。それで、ワクチンのこともわかった。抗ウイルス薬の方はなかったか?

「いや、なかったな。ソレらしき資料もなかったな・・・ここにあるのか?」

総一郎はマイケルに問うが彼はわからないと答えた。

ワクチンがあるなら抗ウイルス薬もあるだろうと考えていたらしい。とりあえず、研究所の座標情報を教えておく。

「お前には世話になりっぱだな・・・」

マイケルは頭を掻きながらそう言った。頭を掻くのは彼の癖である。


「お互い、目的は達成のようね。脱出しましょう。回収地点はここよ」

由香里が地図を見せる。

「ああ、了解した。ケイザー!他のチームに連絡しろ!ワクチンは回収した!あと・・・ローガンのチームを研究所に送っとけ!」

「了解!」

ケイザーが無線で話し始める。

総一郎たちは装甲車に乗って出発した。







回収地点へは10分足らずで到着した。

そこは広い工事現場のような場所であった。

かなり大きなショッピングセンターでも作るつもりだったのか建物の鉄骨部分がある場所だけではなく空いたスペースが沢山あった。



ペイブロウが停まっていた。


「遅い、死んだかと思ったぞ!」

ニックが総一郎に文句を言った。

「すみません、連絡ぐらい入れればよかったですね」

総一郎は片手で謝る素振りをした。


「乗れ!とっとと、帰ろうぜ」

横沢に肩を借り、総一郎はヘリに乗り込んだ。

中には美月と葵、篠崎がいた。


「無事でよかったわ」

美月が嬉しそうに手を伸ばし、ヘリに総一郎を乗せた。

その手を掴み、総一郎はヘリに乗り込んだ。

「無事に見えるか、これが」

総一郎の服はボロボロで今は自らの力では歩くことも叶わない。

ズボンは破けて、上着もボロボロなので最早、上着は捨ててしまった。

だから今はTシャツ姿である。

「・・・以前より筋肉質になった・・・」

葵がそう言ったのでもちろん、鍛えたからなと総一郎は答えた。

「つーか、左腕、大丈夫か?」

横沢が心配そうにする。

――おいおい、そんな目で見るなよ。

大体、既に止血は終えているので失血することはないだろう。



「エイブラハム大統領。回収しました。ええ、例の『アイギス』の部隊が活躍してくれました。」

マイケルが無線で連絡していた。

―――連絡先は大統領か・・・。

マイケルって実はスゲー奴なんだなと思わせられる。


由香里も横沢の手を借りて、ヘリに乗り込んだ。

すっかりリラックスしている総一郎を一瞥すると口を開いた。

「コラッ、油断をするな。帰るまでが遠足だと教えたでしょ。」

―――何よその教え・・・

美月はそう思っていた。

「・・・何?この女は?」

葵が敵意ある視線を由香里に向けた。

それに戸惑う由香里。


「やめろっての。この人は俺の師匠だよ。」

総一郎は止めに入るも葵は鋭い視線を飛ばし続ける。



もう一言、葵を止める言葉を放とうとした時に事態は起きた。


爆音と共に

装甲車の一つが潰された。


その光景を見てではなくその下手人を見て総一郎は絶句した。

「も、森・・・だと」

そこにいたのは数時間前に殺したはずの森であった。

先程よりも巨大化していた。

腕は成人男性ぐらいに膨れ、それに合わせて体中が肥大化していた。

しかし、ビルの崩壊のダメージのせいか右腕が折れていた。骨が肉から突き出ていた。


SEALsのメンバーは各々銃を構えた。


「くっそ、タイラ0トかよ!」

横沢が89式小銃を構えた。


「ニック、飛ばせ!」

「了解!」

由香里がニックに言うと同時にヘリは上昇した。


「おっと、俺はこっちだ!」

横沢はヘリから降りた。

「横沢!」

「舐めるなよ総一郎!?」

横沢はガッツポーズをすると森に向って近づいていった。


「バカヤロー!お前にどうにかできるか!」

総一郎が叫ぶも虚しく響くだけであった。


「ニック、武装は?何かないのか!?」

「生憎、このヘリは人の輸送にしか使ってないからな!!!」

由香里はニックに問うがしかし、いい返事は返ってこなかった。


「総一郎、横沢なら大丈夫よ。あいつも戦闘員よ」

美月が総一郎を静ませる様に言った。

「そうですよ!横沢さんなら大丈夫ですよ」

篠崎が明るい声を出すが顔は少し曇っていた。

「(何話ぶりの台詞だよ・・・)」

総一郎は場違いなことを考えつつ、それを押さえて横沢の方を見た。


他の戦闘員も戦っているが先ほど同様。銃弾程度では撃破は難しそうであった。


そもそも、SEALsというのは特殊部隊であり、そういった部隊の主体は隠れること隠密などにある。

今回も戦闘は研究所内での室内戦を想定した作戦であったらしい。

その為、装備は比較的軽いものなのである。

総一郎たちも同様の装備である。


「RPGでもあればいいんだが・・・」

あるゲームのラスボスには必ずといっていいほど出てくる装備。

総一郎は考えるもここにはそんな物はない。

たしか、自宅には2,3発あったと思うがここは北海道だ。


SEALs隊員が自衛隊の装甲車に乗り込んでMINIMIを撃った。

森は折れた右腕で機関銃の弾丸を頭への直撃を防ぐ。

「ガ、ガガガ・・・ガァァァァァ」

森は咆哮を上げて、装甲車へと走って行き、蹴っ飛ばした。

装甲車はボールのように転がっていった。


「化け物が!!!」

横沢はその光景を見て、歯噛みしながらチャンスを覗った。


―――何か、弱点があるはずだ!

総一郎は必死に森を観察した。

この戦いを勝つために、全員で生還するために、横沢を生かす為にそして、自分が強くなった理由を守るためにも。


「何か手段はありませんか!?」

由香里に尋ねるが返事はない。

「由香里さん・・・・?」

「ごめん、ムリ!!」

由香里が言った。

この人もノープランかよ。ま、横沢の独断専行だがいいんだが。

総一郎は再び、横沢のいる戦闘場フィールドを見た。

―――それでもわからないな・・・

自分の不甲斐なさに苦笑いしつつ観察を続けた。

そして、ここで口を挟むのは総一郎たちのウィキペディアこと葵であった。

ヘリのローター音がうるさいので大声で二人は会話を始める。


「・・・あの腕はどうやって折ったの!?」

「ビルの倒壊に巻き込んでやったんだ!」

総一郎は横沢達を見ながら答えた。


「それならもう一度やれば・・・倒せるかも!」

「そんな装備もビルもねーよ!!」

―――だがあの腕は折れたままだ。再生はもうできないのかもな・・・銃でもダメージを蓄積すれば倒せるな!

そして、気が付いたのは森は折れた腕を使い、確実に頭部への銃弾の直撃を回避していることだ。

森の背後にマイケルの部下のケイザーが上手く回って、頭部に照準を合わせた腰撃ちをしたが森は折れた腕を巧みに使い全て避けきっていた。


「ゾンビと同じで頭部を撃たれたら死ぬのか?」


総一郎は無線を使って叫んだ。



「総員、奴を囲んで頭部に射撃をするんだ!!!」


「了解!!!」

マイケルとその部下が森を取り囲んでM4、MP5を使い頭部への集中射撃をした。

森は腕を使い防ごうとするも全方位からの攻撃を防ぐことはできなかった。


そこで見ていた者は皆、これでこの戦いは終了するかのように思われたがそこで終わる奴ではなかった。



「オレェハコンナトコロデ・・・シナナイ!」

森はそう叫ぶとその巨大な腕を振り回して周りを取り囲む戦闘員を薙ぎ払った。

「これでもダメなの!?」

美月は思わず叫んだ。

このままでは横沢がかつての総一郎のようになってしまうと。

総一郎も歯噛みした。


―――思ったよりもしぶとい


「・・・横沢が・・・」

葵が呟き心配そうに見つめる先を総一郎は目を凝らしてみると横沢が建物になる予定だった鉄骨の上に乗っていた。

「ハーッハハハ!!!おしまいだぁぁぁぁぁ!」

「あの馬鹿!!!」

横沢はナイフを片手に飛び降りた。

総一郎はロープを降ろすと痛みを堪え、本当は動かない身体に鞭を打って降り立った。

一方横沢は自らの体重も重ねた一撃を森にかました。

しかし、森は首を逸らすことでその一撃を肩に当て、頭には当てさせなかった。

森は肩に乗った横沢を振り落とそうと暴れた。

総一郎は腰からGLOCK17を抜いた。装填は完了している。

しかし、狙いを定めても森が暴れているせいで誤射の恐れがあった。

その時、横沢がナイフを森の首に突いた。

森は絶叫を上げて動きが止まる。

総一郎は走って近づきながらGLOCK17を撃った。


森は此方に顔を向けると雄たけびを上げて、横沢を掴んで投げると走ってきた。

総一郎は森が動き出したことに驚き、反応が遅れて押し倒された。

GLOCK17が弾き飛ばされ、総一郎から離れた所に落ちた。

森は総一郎を喰らおうとしているのか醜くなった顔を近づけてきた。

嫌な口臭が総一郎の鼻を突いた。


しかし、総一郎は笑っていた。

これで横沢が終わることを知っていたからだ。



一発の銃声が響いた。

そこには銃を持つ者はいなかった。

マイケルも起き上がり唖然としている。


総一郎の腰から煙が上がる。

「クックク・・・ハッハハ!俺の勝ちだな!」

総一郎はゆっくり覚束無い足で立ち上がった。

総一郎が腰に付けていたベルトは只のベルトではなかった。

バックル型拳銃。

ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に開発したものを総一郎が米国の某企業に由香里を通して作ってもらったオーダーメイドの銃だ。


運よく森が喰らおうと美味しく頂かれるところであったのは腹だ。

総一郎は咄嗟に牽制目的で撃ったつもりだったがクリーンヒットして森の頭を貫いたのであった。


「はぁはぁ、ふぅー。これで終わりだな」


ペイブロウが降下してくる。

美月に葵、篠崎が手を振っていた。

それに笑顔で手を振って返す。


横沢がヨタヨタと歩いてくる。

総一郎は横沢に拳骨をする。

しかし、横沢も笑っていた。

「終わったな・・・」

「ああ、だがこれからいそがしくなるな」

総一郎は先を考えると思いやられた。

抗ウイルス剤の捜索に見つけてもそれをあの化物となった奴らに打たないとならない。

しかし、立ち止まっても何も始まらない。

―――こいつらとならできるかもな・・・

総一郎はペイブロウに乗り込んだ。

森の死骸が目に入る。

マイケルたちは死体を持ち運ぼうとしていた。

―――森・・・お前は何がしたかったんだ?

ペイブロウは飛んで北海道から離れていく。

総一郎の今の住処へと

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