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新たな大型感染体


―――パンッパパパッパンッ

銃声が絶えずして鳴り響く。この狭い部屋の中に銃弾が次々と飛来し、壁に穴を開けていき、味方の命の炎を吹き消していく。

「ま、不味いわね・・・」


只今、私こと由香里姉さんが忍び込んでいる所は中華人民国軍所有の原子力潜水艦である。

今は侵入してザカエフが由香里の指示通りに核ミサイルを発射したところだ。

動力室に爆薬を仕掛けて、脱出のところで敵の増援が現れ、足止めを喰らっていた。


『部隊03壊滅!』

『04、06も壊滅!』

「ブラック!味方部隊が続々壊滅しています!」

「急ごしらえの部隊じゃプロにはじゃなわないよな。しかも奴ら、僕達を逃がすつもりはないみたいだね」


「グレネード!」

由香里が叫び、敵が投げてきたフラグを掴み、投げ返したが由香里より離れた位置で弾けた。

爆風で由香里は飛ばされ、背後にあった機材にぶつかった。

「カバー!」

エルフが叫んで由香里の下にMP5を乱射しながら近づく。

由香里を遮蔽物に隠すと服を脱がせ、背中の傷を診た。

幸い、打撲をしているだけの様だ。口からの吐血もないようだから今のところは内臓に問題はないだろう。


「ゴホッぐ・・・・ごめん。」

「動けるか?うん、無事ならいい。この分は後で働いてもらうわよ!」

「・・・・・・生き残ったらね・・・」

由香里は頭を下げながら腕だけを遮蔽物から出して、MP5の銃弾をばら撒いた。


「フラッシュバン!」

エルフがピンを抜いて、フラッシュバンを部屋の外に向って投げた、全員が顔を伏せ、強烈な光から目を守った。

由香里、エルフとジョンが部屋から出た。

ジョンがベルギー製のミニミ機関銃で5.56mmの銃弾をばら撒いた。


「チッ、弾切れか・・・・・・」

エルフがナイフを抜き、目を潰されている兵士の首を刈った。

その時、エルフは由香里が此方に銃を向けているのを見た。

咄嗟にしゃがむ。由香里のMP5からマズルフラッシュが見えた。背後で誰かが倒れた音がした。

どうやら、背後を取られていたようだ。


「借りは返せたかしら?」

由香里はそう言って、新しいマガジンをエルフに投げた。

「よし、上に上がるんだ!間もなく爆発するぞ!」

ブラックが叫んだ。


重く厚い扉を開いて、由香里は外に出た。

空にはヘリが飛んでいた。ハインドだ!ライトが由香里たちを照らすとそこから銃弾が飛来した。

由香里たちを狙った攻撃。

全員が走り出した。

背後で一人が倒れた音と肉を貫く嫌な音が聞こえた。


由香里は振り向かなかった。

「ジョンがやられ!・・・・・・」

ザカエフがジョンが死んだことを知らせようと叫んだが自身も撃たれて地に伏した。

由香里たちは走ったが行く先に敵部隊が待機していた。


(くっ、無念!!!)

由香里は唇を噛んだ。そこから血が出てきた。

口の中に鉄の味が広がった。

その時、前方に大爆発が起きて、敵兵が吹っ飛んで、海に落ちたり、地に叩きつけられた。

空にはMH-6『リトルバード』が飛んでいた。


≪ブラック、援護に来たぞ、乗れ≫

MH-6が沈み行く原子力潜水艦の横でホバリングする。

……今度はリトルバード?どこにそんなコネがあるのよ!?ま、とりあえず……

「飛び乗るわよ!」

ブラックと由香里がヘリに向って飛び乗った。

振り向くとエルフは湧いてきた敵の相手をしていた。



「エルフ!ちょ、何で?戻って!操縦士!」

「予定範囲外へと離脱しろ。ニックと合流だ。」

ブラックが操縦士に話す。


「エルフは!?」


「あきらめろ!見ろ……」

船上には対空砲装備の部隊がFIM-92をリトルバードに向けて撃った。

リトルバードはフレアで避け、高スピードで範囲外へと逃れた。







事態は急転していた。


横沢や美月や葵と総一郎と生き残りの一団は屋上に逃げてきていた。

原因はゾンビという名の絶賛この町に蔓延る化け物のせいである。

「横沢っ!!おまっ、感染しているかも調べてなかったのか!?莫迦ヤロー!!!」

「黙れ!こっちだってしっかり仕事しとんじゃい!!」

総一郎の怒声に対して横沢は怒鳴り返した。

屋上へと続くドアを必死に塞いだ。

どっかの詳細不明の化け物莫迦(森)のせいで持ってきた装備の大半を使ってしまった。

ここから感染者の団体さんを相手取るのは不可能だろう。たとえ、装備が完全でも奴らの殲滅は難しい。


「いいか!絶対にここだけは死守しろ!」


その時、空にヘリが二機、目視できる位置に確認できた。

「救助のヘリか?」

「やった!」「助かるぞ!」

ここまで横沢とやってきた避難民が叫ぶ。

総一郎がフレアを灯して位置を知らせる。


その時であった。




「放せ!やめろ!」

避難民の一人が叫んだ。総一郎が向くと避難民の二人が取っ組み合っていた。

横沢が89式小銃を向けて止めに入るが一歩だけ遅かった。

片方がもう片方の首に喰らい付いた。おびただしい量の血が噴出した。


「ゾンビか!」

総一郎も其方を向くと銃、MP5を向けた。


しかし


突如、背後から掴まれた。

その犯人はゾンビであった。

「ぐっ」

総一郎は足掻いた。感染の危険性はまったく持って皆無だが首を食い千切られないかが心配である。

そこに葵がドロップキックをゾンビにした。

ゾンビはそれでも離れない。


ライトが総一郎を照らした。

リトルバードが飛んで来ていた。

屋上の横にペイブロウがホバリングしている。


「総一郎!何をやってんだ!?」

由香里が降下して屋上に降り立った。


「情けない…それでも弟子か!」

M9拳銃を向けると同時に引き金を引き、総一郎を掴むゾンビの頭部を撃ち抜く。

「由香里さん!」

総一郎は笑顔を向けるが横沢の事を思い出す。


「噂の横沢君か…どうも、総一郎の師匠の由香里です。」

そう話しつつ、生存者を全員射抜いた。


「何をやっているんですか!?」


「感染者よ。ヘリからサーモで見たら異常に高温の体温だった。」


「何なのよ?」

状況が分かっていない美月や篠崎は困惑していた。

「とりま、この人は味方だ。説明は後……」


ガガガ...バーン!!!


強烈な音が屋上に響き、総一郎の声を遮った。

屋上の扉をゾンビたちがぶち破った。



「篠崎、葵、美月はペイブロウに飛び乗れ!でかい方だ!」

三人は総一郎の言ったとおりに転落防止の柵を乗り越え、跳んだ。

これで総一郎の中での要救助者はOKだ。

後は自らも脱出するだけだ。



総一郎たちの真上を飛ぶリトルバードの様子に変化が現れた。

「おいおい、大丈夫なのか?」

いつの間にかに総一郎の横に来ていた横沢が89式小銃で屋上に上がってきたゾンビを迎撃しながら言った。

よく見るとリトルバードには黒点が幾つもくっ付いていた。

―――あれは……?



その時



リトルバードに向って複数の黒い野球ボールのサイズほどのものが飛んでいった。

それがローターに当たるとローターがへし折れた。

リトルバードはそのまま、地上へと落ち、爆発した。


「「なっ!」」

総一郎と横沢が絶句していると由香里が叫んだ。

「ニック!一時、撤退しろ!この無線は使用可能だ!」

≪了解……幸運を祈るぞ三人とも……≫

ペイブロウが旋回する。その時、屋上に箱が投下された。

そのまま、ヘリは離れて行った。


「くそ……ここは屋上だからな…逃げようにも一本道だ。」

「待て、総一郎。箱にロープがある。ホラっ弾薬だ。」

総一郎はMP5のマガジンを二本、受け取った。

それをポーチに入れる。そして、落下防止用の柵にロープをくくりつけた。

「横沢でもラペリング位できるよな?」

総一郎はそう言うと降下を始めた。


「舐めやがって……由香里さん、でしたっけ?どちらが先に行きます?」

「由香里でいいわよ。横沢君が行きなさい。何、大丈夫よ。クレイモアを仕掛けた来たからゾンビの時間も稼げる。」

そして、何事もなく全員が地上に降り立った時であった。


「近くに攻撃した感染体が居るはずだ……」

横沢がソレを警戒したのか低い声で言った。その顔は恐怖で脂汗が滲んでいた。


≪由香里、本部と連絡が取れた。援軍が来る。安心しろ、ハートマンの生き残りの奴らを掃討するのがメインの目的だ。≫

ニックからの連絡だ。

「何故、本部が……『アイギス』が動き始めたんだ?」

「さあ?汚名返上のチャンスよね。あんな奴らを組織内に居るのを見逃すなんて」

「待て、アレは何だ?」



ザザザ...ザザザザザと大きな足音が聞こえた。

しかし、総一郎は見てしまった。その音の主を。大きな足音を立て、此方に走ってきている巨大な四速歩行の生物を。

細い胴体、黒い色の毛並み。耳が尖った顔。

しかし、こんな動物は見たことがない。


「に、逃げろ!」

由香里が叫ぶ。冷静な雰囲気が消え、焦った様な顔をしていた。

背後では黒い毛を振り回し、化物が吼えた。

それと同時に走り出す。


「速いぞ!」

その化物の速さは凡そ熊と同じくらいに思えた。

最近は良く熊を見かけるから分かるが同等かそれ以上だと総一郎は判断した。

「こっちだ!」

横沢が路地に入った。

二人はここは由香里や総一郎よりも土地勘のある横沢に付いて行くほうが良いと判断した。


「この先には乗馬クラブがある。馬に乗れば逃げれる。」

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