続・独り言
足も楽だし(高いヒールのパンプスで立ちっぱなしは結構辛いのだ)
乾いた喉も潤せる(実働4時間休憩なし。店内はタバコの煙でモクモク。喉はイガイガ。葉巻なんて吸われた日にはたまったもんじゃない。)
お酒は飲まなくたっていい。トレンチ持って動き回らなきゃいけないから、断っても怒られることはない。ジュースを頼めば担当のおねぇさんだって会計つくから喜ぶし。
あ、担当ってその人のお客さんってこと。担当になればお客さんが使ったお会計の何割か(店によって違ったりするみたい)はそのホステスさんの懐に入る。だからみんな必死なのね。
そのうえ、社交辞令でも、お世辞でも、褒められたら気分もいいじゃない?
「いやぁ、バニーちゃんは若くてかわいいねぇ」
それほど若くもないけど、厚化粧にしっかりセットの頭のホステスさんに比べれば若くは見えるんだろう、おじさまたちには)
「スタイルいいねぇ」
(そりゃ、あんなハイレグなんだもの、スタイルよく、足だって長く見える)
よって私は、席についている方が楽だ。
じゃあ、何でホステスをやらないのかって?そんなのズバリ、面倒くさいからに決まってる。
ドレスを着て美容院で髪をセットし、夕方には客に営業電話とメール。
同伴の約束を漕ぎ着け、寄った客のアフターにつき合い、疲れ果てて家に帰り、化粧も落とさず寝る。なんて面倒くさい。
バニーちゃんなら、同伴、アフター強制なし。店に出ている時だけ愛想を振りまいていればよい。だけど、同伴もアフターも全くない訳ではない。
何かとよくしてくれるホステスさんに頼まれれば、そこは恩返し。アフターにもお供する。筑紫ー代だって貰えるし、おいしいご飯はごちそうになれるし、アフターにつき合えばまた良くしてくれるという打算も含まれているけど。
銀座は女の世界だ。ボーイさんに気に入られるより、常務に気に入られるより、客に気に入られるより、ママやホステスさんに気に入られたほうが、ずっと働きやすい。
そんな打算なしに慕っているホステスさんもたくさんいるけれど。