世界最強
近くにいた監視員らしき人にダウビンさんから預かった招待状を見せると、すぐに案内してもらえた。
「この先、会場となっております。ごゆっくりお楽しみください。」
扉を開くと、キラキラ輝くドレスを着た女性や、黒や灰色のスーツを着た男性が会場いっぱいになるほど集まっていた。天井には大きなシャンデリア、テーブルの上にはワインなどがびっしりだった。
ここにいるほとんどが異能者なのか。ハユンはどこだ?そもそも顔を知らないから見てもわからないな。とりあえず適当に誰か聞いてみるか。
「あの、少しお話よろしいですか?」
近くにいた男性に声をかけた。
「えーと、あなたは...?」
「あ、失礼しました。ダウビンの代理で来ました。ヤマトと申します。」
「あぁ!ダウビンさんとこの代理か!私のことはヘヴンと呼んでくれ。ヤマトさん、よろしく。」
名前言うだけですぐにわかるなんて、ダウビンさんって有名人なのか?
「よろしくお願いします。」
「それでお話って?」
「ハユンさんという人は今この会場内にいらっしゃいますか?」
「どうだろうか...」
ヘヴンさんは会場内をぐるっと見回した。
「今はまだいらっしゃらないみたいだ。でも今日はこの会場にいらっしゃる予定だそうだから、もう少し待っていたらお会い出来ると思うよ。」
「本当ですか?教えて下さりありがとうございます!」
やっぱり今日ここへ来るのか。緊張するな。すんごい怖い人とかだったらどうしよう...。話しかけずらいな。
そんなことを考えながら入口の方を見張っていると、後ろから声をかけられた。
「失礼、あなたはダウビン叔父さんの代理でいらっしゃったと言うヤマトさんですね?」
叔父さん...?てことはこの人がダウビンさんが言ってた甥っ子か。
「そうです。あなたはダウビンさんの甥っ子さんですよね?」
「やっぱりそうでしたか。はい、ダウビンおじさんは私の父の弟です。」
少しダウビンさんに似てる気がする。やっぱり血は争えないな。
「お名前お伺いしても?」
「そうでしたね、失礼しました。私はクラウンと申します。」
さっと差し出してきた手を握り返した。
「クラウンさん、よろしくお願いします。」
そういえば、最初声をかけてきたときどうして俺がダウビンさんの代理だってわかったんだ?俺の顔は知らないはずだよな?
「それにしても、ダウビン叔父さんから『俺のスーツを着た若い男を代わりに向かわせたからよろしく』って連絡がきていたんだよ。そのスーツは私の父が昔ダウビン叔父さんに贈った物だからすぐにわかったよ。」
なるほど、そういうことだったのか。このスーツ、高そうだと思ってた。
「そうだったんですね。びっくりしましたよ。」
そんな話をしていたその時、入口の扉が開き1人の男が入ってきた。その途端、突然会場内がざわめきだした。真っ黒なシワひとつないピシッとしたスーツに、ブロンド髪。一際目立つ美しさ。
俺は瞬時にわかった。この男が、世界トップの異能者、ハユンだと。