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誰もが愛を求めている  作者: 天邪鬼(あまじゃき)
第2章  魔法学校フィラウティア
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第2章5話  勉学の1日目




 履修登録を済ませ、授業を受ける初日。


 朝9:00、3階の教室にて。1時間目は魔法学基礎。


 「これはみんな受けるみたいだな。」


 イロアスはそう呟く。隣にはミューズとリアが当たり前のように座っている。そして机には精霊セアがゴロゴロしている。

 後方には、サンとアストラがかなり距離を空けて座っている。前方には、カンピアとフェウゴが座っていた。


 他にも数名の生徒がいるが、何やらヒソヒソ話している。笑い声すらも聞こえる。


 勢いよく教室のドアが開くと、その嫌なヒソヒソ話は聞こえなくなり、教室は静まり返った。


 なぜか、それははっきりとわかるだろう。この授業は、ギオーサ=イリキオメルという先生が担当するはずの授業だ。だが、なぜか現れたのは、


 「は〜い!みんな大好き、『魔導王』ダスカロイ=フィラウティアだ〜よ!」


 ・・・いくらなんでも、絶句した。


 「ギオーサ先生には今日だけはどいてもらったよ〜、なんせ記念すべき留学生の初授業だ。ぼっくが担当しないとね〜!さぁ、教科書を配ろうか!」


 朝から絶対に担当してほしくない先生ランキング1位を簡単に飾った。朝からうるさいのだこの人は。


 恐らく風魔法と思われる力で、教科書がみんなの手元に配られた。


 「その教科書は代々の『魔導王』が記したものだ〜よ!落書きは禁止さ、アナトリカの留学生は半年後、ディコスの生徒は一年後には回収させてもらうからね。何せ貴重な資料なもんでね〜。」


 補足の説明をしよう。


 ここでは、魔法に関するありとあらゆる事象を学ぶ。魔法学、属性適応学はもちろんながら、魔法の歴史、錬成学、生物学など魔法が関与するあらゆることを学ぶことができる。


 しかし、その学ぶ量は決して多くはない。なぜならば、魔法とは実践あるのみだからである。座学がメインとなるこの学校に通う期間は、短く設定されている。


 この学校に通う期間は通常1年である。故にディコス王朝から来ている生徒はここに一年通うことになる。


 それにしても、この教科書は相当分厚い内容になっている。本当にこれを半年で終わらせるのか?


 「それは応用でも使うから、よろしくね〜。さぁ、始めようか〜な!」


 そうして淡々と始まってしまったこの授業はもう終わったものだと思っていたが、さすがは『魔導王』と呼ばれるだけの授業であった。


 なんともわかりやすい。


 「まず、魔法とは何かという話から始めようか。さぁ、ミス・プラグマ。いかに答える?」


 イロアスに振られてたら、絶対に答えられなかった質問だろう。


 「魔法とは、女神テディアが全生命に施した祝福です。世界を構築する五大元素を操り、光と闇に適応させるために与えられた加護そのものです。」


 「とても素晴らしい回答だ〜ね!でも、残念ながら少し足りない。」


 素晴らしい回答であったと思ったのに、一体何が違うのか。それは、隣で悩むミューズですらわかっていない。


 貴族は、幼少の頃から英才教育を受ける。リアはその教えのまま答えた。それはいわゆる模範解答という奴だった。


 「確かに祝福であり、加護そのものだ。だが〜、足りない。付け加える言葉はこうだ。魔法とは、世界そのものである。」


 「あら、あの『魔導王』とやら、本当によくわかってるじゃない。」


 なぜか上から目線で語るセアに、ゲンコツをしておいた。なんかむかついたから。


 「正確には、魔法はこの世界そのものに与えられているんだ〜よ。そして我々はその世界の力を使うことができるように祝福を受けた。故に世界を構築する炎・水・風・雷・土の五元素を操り、世界を覆う光と闇の力を使える。」


 「しかしその話だと・・・」


 「いい疑問だ〜よ、ミス・プラグマ。そうとも、女神は2度、加護を与えた。1回目は世界に、2回目は生命に。これが魔法の正体だ〜よ。」


 その説明は初めて聞いたが、すんなりと頭に入った。目の前でゲンコツを喰らって怒っているセアの喚き声など耳に入らぬほど、『魔導王』ダスカロイ=フィラウティアの話に魅了されていた。


 「さて、これが教科書の1ページ目に書かれていることだ、聡明なる初代『魔導王』のお言葉であり、我々はその魔法の在り方に一切の疑いを得ない。」


 教科書の記念すべき1ページ目には、今の説明をさらに具体化した文が載っていた。そして最後に、


 「初代『魔導王』スコレー=フィラウティア・・・」


 「偉大なる初代は、自身の名をこの学校に与えた。そして、我々『魔導王』は代々その名を受け継ぐ。故にぼっくと初代の名前にはフィラウティアなのさ〜。どうかな?ミスター・イロアス。」


 イロアスが疑問に思ったことを的確に読み当て、わかりやすく説明をしてくれる。喋り方や態度はふざけていたが、授業になるとこうも真っ当な教師になるのか。


 「さて、今の説明で、なぜ我々が扱える属性は7つなのかというのも網羅してしまったね。では、次の話に移ろうか。」


 そしてみな、勝手に次のページに移っていた。それは、ダスカロイが風魔法で促したせいだろう。どこまでも繊細な魔力操作に、イロアスは惚れ惚れとした。


 そして同時に、そのページに書いてあることに、興味を持った。


 「一体どうやって、魔法を使っているのか。その原理について語ろうじゃない〜か!」


 イロアスが、ここにきて最も知りたかったこと。自分が一体どうやって魔法を使えるようになったか、一体なぜ10歳まで魔法を使えることができなかったのか。そのために、まず魔法の原理について知りたかった。


 「我々には魔力回路が体内に必ず存在する。これには例外などない。この千年以上の人類史において、魔力回路のなかった生命は存在しない。」


 ・・・俺にも、確かにあるのだと実感する。今この瞬間にも、魔力が流れている場所がある。


 「ぼっくたちは、必ず存在する魔力回路に、魔力が流れることで魔法を扱うことができる。魔力については、今は置いておこうか〜な。今大事なのは、魔力回路についてだか〜らね。」


 イロアスは真剣に話を聞いた。この17年間で、彼がこれほどまでに真面目に授業を聞いたことがあっただろうか。いや、ない。


 故に目の前に座る精霊は、その光景に涙を禁じ得なかった。


 「魔力回路は、人によって違う。魔力回路が全く同じ人間などあり得ない。それはなぜか、さぁ君はどう答える?ミスター・ロダ?」


 名指しされたミューズが、はっきりとした声で答える。


 「遺伝子に刻まれているからです。」


 「イェスだ、ミスター・ロダ。魔力回路は遺伝子情報に刻まれている。全く同じDNAを持っている生命などいない、それと一緒さ。そして、この魔力回路には、必ず色がついている。さぁ、全部で何色か答えてごらん?ミス・サン。」


 「サンは知らない・・・」


 その一言で、周囲がざわめいてしまった。馬鹿にするようにヒソヒソと、やかましいな。


 「そうかい?アナトリカ王国の入団試験には魔力測定があると聞いたが、君の水晶の色は何色だったか〜な?」


 「青・・・」


 「そうとも、それが魔力回路の色だ。属性を表す色で全部で7色。炎は赤、水は青、風は緑、雷は黄、土は茶、そして光が白で闇が紫。」


 イロアスはその言葉に衝撃を受けた。


 そして、その衝撃のままに、ダスカロイに向かって、疑問を投じた。


 「『魔導王』、黒は!黒は一体・・・!」


 衝動のせいで、うまく喋れなかったが、ダスカロイは理解してくれた。


 「まずは、ぼっくのことは先生と、ダスカロイ先生と呼ぶといい。ぼっくは今『使徒』ではなく、教師として君たちの前に立っている。いいかい?ミスター・イロアス。」


 イロアスは無言で頷いた。興奮状態であったのだ。自分の疑問の一つを解消する時が来たからだ。


 騎士団入団試験の際、イロアスももちろん適性検査を受けた。水晶に手をかざし、その属性と魔力量を測る。


 イロアスの水晶は、漆黒に光だした。


 先ほどの、どの属性にも当てはまらない漆黒。しかし、自分は炎魔法を使えて、現在水魔法を習得している。


 これを疑問に思わないほど間抜けではない。それを、解き明かしに来たのだ。


 「さて、おそらくミスター・イロアスの言っていることは、無属性のことだろうね。とてもいい質問だ〜よ、じゃあ答えていこうか。」


 隣にいたミューズも興味津々だった。魔力測定の時、ミューズは隣にいたからだ。彼も少なからず、イロアスの変化に驚いているのだ。


 「君たちは、複数の属性を持つ者を見たことがあると思う。現にぼっくもそうだしね。そんな生命は、異なる色の魔力回路を持っている。普通は一本の魔力回路だが、2本持っているものもいれば、3本、4本、はたまたそれ以上。そして、その複数の魔力回路は通常交わることはない。」


 みな真剣に聞いていた。その教室は、ダスカロイの説明のみが、響く。


 「7色7本の魔力回路を持つものは、全属性を扱うことができる。そんなことができる生命は、調停機関の『観測者』や、初代『魔導王』くらいなものだ。希少も希少だ、あまりにも例外。」


 一体それが無属性と何の関係があるのか、イロアスは気になって仕方がなかった。


 「しかし、通常1本1色の魔力回路が7本7色もあるとすれば、その回路同士の幅はもちろん狭くなる。そして、その魔力回路が、何かしらの変異で、複雑に混ざり合ってしまったら、どうなると思う?」


 それが、答えだった。


 「回路は混ざり合い、色も混ざり合う。全ての色が混ざり合う時、その色は漆黒に変化する。そして同時に、複雑に絡み合った魔力回路はところどころに異変を生じ、塞がる。すると何が起きるかな?ミスター・ヴァサニス。」


 「・・・ま、魔力を通さなくなる。」


 「そうとも〜、正解だ。それが無属性の正体さ。全属性の素質がありながら、それを成し得なかった者。魔力回路がありながら、魔力を通せずに魔法が使えない者。」


 「せ、先生!だとしたらーー」


 「落ち着きたまえ、ミスター・イロアス!君の事情もある程度聞いてあげたいが、それは授業後にしようか。」


 興奮状態のイロアスを、的確な言葉で冷静に戻す。


 「以上が、我々がどうやって魔法を使っているかという話だ。続いて、魔力について話していこうか。」


 魔法を使うにあたっての、魔力回路の話が終わり、次に魔力回路に通す魔力とはという話になった。


 「まず大前提として、生命の心臓部分に魔力炉があるのだ〜よ。我々生命は、その魔力炉から魔力回路に向かって魔力を流し、体内から体外に魔力を放出することで、それは魔法としての形を成す。言っても難しいから、人体模型を使って話そうか〜な。」


 そう言って、ダスカロイは魔法で人体模型を作り出した。その人体模型には、血管のような細かすぎる線がいくつも張り巡らされていた。


 「みんなが見やすいように今回は赤色で見せるが、これが魔力回路だよ。血管のようだろう?このように魔力回路は人体の全てを巡っている。」


 曰く、遺伝子に魔力回路の情報が刻まれていて、魔力回路自体は血管のように体中を巡っている。


 「血液で例えるのが最もわかりやすいかもしれない〜ね。出血は、心臓をポンプとして、血管に血液が流れ、傷口から外に出たもの。魔法は、心臓の魔力炉をポンプとして、魔力回路に魔力が流れ、経穴から外に出たもの。」


 経穴とは、人体にある無数の穴のようなものと思っておけばいい。


 「さて問題だ。我々には魔力炉が確かに存在するが、魔力はどうやって生み出されているかな?ミスター・ミルメクス?」


 緊張しているカンピアが、言葉を震わせながら答える。


 「は、はい!世界に存在する魔素を取り込み、魔力炉で魔力として生み出しているのであります!」


 「正解だミスター・ミルメクス!自信を持っていい〜よ。そうとも、世界から発生している魔素と呼ばれるものを吸収し、魔力炉によって魔力に変換する。」


 この魔素と呼べれるものは、世界が発しているいわば、魔力の粗といったところだ。それを炉に入れて、魔力として復活させる。


 そうやって魔力を生み出しているのだ。


 「さて、この魔力炉だが、魔力回路と同じで人によって違う。その大きさも、効率も、一度に流せる魔力量も。その違いが、魔法使いとしての才能にあたる。では、これは鍛えようのないものなのかな?ミスター・プロドシア?」


 「・・・いいや、ちげぇ。」


 「その通りだミスター・プロドシア。これが今日の中で最も大切なことだ。魔法は鍛えることができる。使えば使うほど、炉の大きさも、回路をめぐる速さも、その出力も、今よりも大きなものになる。凡人でも、ぼっくと同じほどにまで卓越した魔法使いになれるの〜さ。」


 キーンコーンカーンコーン


 チャイムが、こんなにもワクワクした授業に終わりを告げる。


 イロアスは、初めて授業を最後まで寝ないで聞いた。孤児院では常に爆睡であったが、イロアスは初めて完全に目が覚めた状態で授業を終えた。


 魔法が面白すぎて、楽しすぎて、寝る暇などなかった。


 「ここにきて最高だよ、セア。」


 その言葉に、セアは涙を禁じ得ないままだった。


 「では今日の授業はここまでだ〜よ。また会おう、君たち〜!」


 そう言って、ダスカロイは次々と教室を出ていく生徒を見守っていた。イロアスはたまらずダスカロイの元へ走り出し、授業中に遮られた質問を投げる。


 「先生、聞きたいことが。」


 「よろしい・・・と、言いたいとこだが〜、すまないね。今日はこの後多忙なんだ。明日の午後は空いてるかな?」


 「空いてます!」


 「では正午に、鉄扉の前に来たまえ〜や。待っているよ、ミスター・イロアス。」


 そして、イロアスと肩に乗っているセアも、他の生徒と共に教室を出た。


 「・・・君も何か質問があるのかい?ミス・サン。」


 教室にただ一人残っていた彼女を気にかけ、話しかける。


 「みんなが出ていくのを待ってる・・・サンは、人混みが嫌い・・・」


 「そうか〜な。人混みというより、人が嫌いなのではないかな?」


 「・・・否定はしない。」


 「では、人であるぼっくも、教室を出るとしよう。」


 ダスカロイは、魔法陣なしに転移をした。


 そして、教室には、サンただ一人となった。




※※※※※※※※※※※※




 教室を出たイロアスは、衝撃の展開を目にする。


 リアと、名前も知らない生徒が、ガンを飛ばしあっている。


 「ここは亜人のいていい場所じゃねぇんだよ。それに、成金貴族もいらねぇ。純潔なる家系こそがこの学校にふさわしい。」


 「何言ってるのよ、そんなくだらない思考で国をどう支えていくのよ。」


 「我が国ディコス王朝はすでに完成した国なのだ。支えていく必要もない。亜人如きが、我々と同じ空気を吸えているだけで光栄と思うべきだ。」


 「その態度を『魔導王』の前でも貫ければ見事だったわね。陰でこそこそしか喋れない低俗さがこの国の品位を落とすわね〜。」


 リアの恐ろしい煽り文句に、相手がブチギレて、魔力を練り始める。それに呼応するように、リアも魔力を練る。


 こんな場所でそんなことすれば・・・


 「何をしているのですか?」


 現れたのは、イロアスたちを最初に案内した老女だった。その厳格な眼に、誰もが押し黙ってしまう。


 「もう一度聞きましょう。何をしているのですか?」


 「ま、魔力を比べていたところですよ?」


 名前も知らない生徒が咄嗟に思いついた言い訳をする。それを嘘と見抜きながらも、その老女はリアの方を見た。


 その眼に屈せず、リアは押し黙った。怯えたからではない。自分が悪いことをしていないのだから、何も屈することはないと胸を張っている。


 「・・・そうですか。では早く散りなさい。ここは通路です、次に授業でもなく修行でもなく魔力を練れば、内申点に響きますよ、カケ=ドューレ。」


 そう言い放つと、名前の呼ばれた態度の悪い生徒はトンズラをこいた。


 イロアスたちも皆退散して行った。


 少し歩いた通路の先で、アストラがため息を吐く。


 「・・・なっさけねぇなぁ。あのババァの前では何も言えねぇのか。」


 「はぁ?」


 亀裂が走る。


 「てめぇもだよ、亜人。言われっぱなしで情けねぇ。さらに庇ってもらうなんてよ。」


 「・・・」


 ミューズは黙ったままだった。確かに、喧嘩の原因は亜人差別であったように見える。


 「彼が黙っていたのにも理由があるし、アタシが黙っていたのにも理由がある。考えなしの愚か者は黙ってなさい。」


 黙っているミューズの代わりに、リアが苦言を呈した。亜人嫌いのリアが、ミューズを庇い、ミューズのことを彼と呼んだ。


 イロアスはそれに驚き、感動した。一緒に1ヶ月もの間、『青鬼』団長のもとで苦楽を共にした甲斐があったなと、そう思った。


 別な理由で、リアには心境の変化があったのだが、それはイロアスには秘密の話だ。


 今の問題は、イロアスが感動している場合ではない状況だ。


 「何だと・・・」


 「人に攻撃ばかりして、何がしたいのかしらあなたは。」


 瞬間、アストラの握った拳を、ミューズが止めた。


 「女性だぞ。」


 「しらねぇのか、女が一番信用ならねぇってことを。」


 一触即発のその空気を、カンピアが崩す。


 「そこまでにするのである!我らは仲間であるぞ!喧嘩は良さないか!」


 アストラがミューズの制止した手を振り払う。


 「仲間?くだらねぇ。オレァには必要ねぇ。」


 そう言って、背を向けてアストラはイロアスたちから離れていく。


 イロアスには、その背中がとても寂しく見えた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 アストラとは喧嘩別れをし、サンは単独で行動している。


 イロアス、セア、ミューズ、リア、フェウゴ、カンピアの6人は共に行動し、2階にある大食堂であり得ないほど豪華な食事をした。


 13:00、3階の先ほどと同じ教室。


 魔法学応用の授業に臨んでいた。そこにサンとアストラの姿はなかった。


 そして、魔法学基礎の授業後に、喧嘩を売ってきた生徒たちの姿はそこにはあった。


 しかし、再び言い争いをすることはなかった。


「授業を始めます。教科書は校長からいただいていると思いますので、ページの123を開いてください。」


 厳格な老女の教師が、応用を担当していたからだ。


 彼女は、ギオーサ=イリキオメル。本来魔法学を担当している教師で、教師歴は長いそうだ。先ほど、校長から問答無用で授業を奪われ、少し不機嫌になっている。


 先ほど廊下で生徒が喧嘩をしていたせいで、さらに機嫌は悪くなる。


 「先ほどの授業では、魔法の仕組みについて、魔力回路と魔力炉について学んだかと思いますが、この授業の初回は魔法外のことを学びます。」


 そして、ギオーサの口から発せられた言葉に、セアが少しだけ反応した。


 「『権能』と呼ばれるものについて、学んでいきます。」




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