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誰もが愛を求めている  作者: 天邪鬼(あまじゃき)
第2章  魔法学校フィラウティア
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第2章4話  履修登録




 このふざけた魔法使いをどうしてやろうか。


 俺たちに何かかける言葉はないのか。なんでこいつは遊んでるんだ。


 花を出して、何か球を取り出して、お手玉をしながら花を自分の周りに咲かせているこのふざけたやつを、殴ってもいいのだろうか。


 尊敬する『七人の使徒』とか、もう知ったこっちゃないんだけど。


 「はっはっは〜!いやぁ、アナトリカ王国とは毎年留学生を受け入れるほど友好的に接しているんだ、そんな目で見ないでおくれよ〜。」


 なぜそんな目で見られるのか、考えてほしい。


 「君たちのことは、『聖女』様から送られてきた伝書でおおよそは把握している〜よ!半年で総合評価Aを取るんだってね〜、まぁ頑張りたまえ。見たところ優秀そうだ〜、真面目につまらなく授業を受けていればみんな達成できるだろう〜さ。だが、それはつまらないよ本当に。」


 急にお手玉をやめて、目つきを変えた。


 「ここは魔法の全てを学ぶ場所だ。君たちは進んで、あらゆる授業を取ることを勧める〜よ!ここは教師が時間割を組むのではない。君たち自身が、学びたい授業を、取りたいだけ、取るのさ〜。」


 なんて自由な制度なのか。イロアスは学校というものを知らないが、てっきり孤児院のような、取るべき授業が決まっているのだと思った。


 「取る授業は一つでもいいし、全部でもいいし、なんなら一つも取らなくてもいい。君たちが、これから先の戦いで何が必要なのか、しっかり考えて取るといい〜さ。今日1日は時間割を組んでみるといい、時間があるなら探検をしてもいいだろう〜。ぼっく自ら、君たちを一度寮まで案内しようか。」


 そして悠々と魔法陣の上にのり、俺たちを待たずに転移してしまった。


 置いていかれないように、みな続々と魔法陣の上に立ち、転移する。


 鉄扉を出たところで、『魔導王』ダスカロイ=フィラウティアは待っていた。


 「寮は最上階だ。ホールが突き抜けな理由を教えようか〜な。」


 そして、ダスカロイは七人の新入生を、風で持ち上げ、一気に最上階である5階に浮遊した。なるほど、浮遊の魔法が使える人のために、突き抜けにしているのか。


 「これは・・・」


 「いや、エナ団長よりも・・・」


 同じ風を扱うイロアス、ミューズ、リアの三人の団長、エナ=アソオスの風移動よりも、繊細で、優しい風魔法だった。


 「君たちの寮の扉はここだ。入ったら女子部屋と男子部屋で別れているから安心してね〜。この階は全部寮だから、他の生徒も就寝時間は全員この階の別な部屋にいるよ、友達も作ってね。」


 そこを開けると、広い談話室のようなものがあり、左右に扉がついている。左が女子部屋で、右が男子部屋。


 「君たちを迎えに来るのはエルくんだと聞いている〜よ。ここにいる間に、少しでも彼に近づけるような履修を組むことを期待している。じゃあね〜。」


 そう言って、寮の入り口を閉じ、ダスカロイは下に降りていった。


 「エルくんって誰だ?」


 最後に残していった名前に素朴な疑問を感じる。


 「あんた、本当に何なら知ってるのよ。」


 リアが呆れたような顔をしている。心なしか、ずっと俺の肩にいたセアも呆れているような気がする。


 「『冠冷』のエルドーラ。アナトリカ王国騎士団副隊長にして、世界最強を謳われる『闘神』と肩を並べる男よ。」


 式典に参加しなかった副隊長。確かに、1ヶ月間の訓練でも、一切姿を表すことはなかった。


 「今は任務にあたって、メディウムにいるわ。だから帰りに向かいにきてくれるのでしょうね。」


 気になる。世界最強と肩を並べる男。そして何より、世界最強と謳われる『闘神』が気になる。


 「『闘神』もわからないって顔だね、イロアスくん。」


 さすがはミューズ、なんでも知ってるな、俺のこと。


 「おいおい、マジで言ってんのか?てめぇ、逆に何を知ってるんだ。」


 物知らずのイロアスに対して、いよいよ堪忍袋の緒が切れたアストラが突っ込んできた。


 「そんな言い方はないんじゃないか?アストラくん。」


 「なまぬりぃなぁ。オレァ仲良しごっこのために騎士団に入った訳じゃねぇよ、亜人。」


 友を侮辱され、亜人と蔑まれたミューズの眼に、多少の怒りが隠る。


 「あら、いつから自分がその輪に入れていると思って?裏切りの家系の嫡男坊?」


 なぜか少しだけ怒りを募らせているリアが、アストラに思いもよらぬ暴言を吐く。その言葉に、アストラの眼に、誰よりも深い怒りが宿った。


 「まずいであるぞ、我が親友よ!止めなくては!」


 「む、無理だよ。ぼ、僕たちじゃ止めれないよ、ね、ねぇ、君がアストラ様を止めてよ。」


 慌てふためくカンピアと、怯えるフェウゴの視線の先にいたのは、傍観すらせず、ただ時間割を組んでいるサンがいた。


 「サンの知ったことじゃない・・・サンも、仲良しごっこのために騎士団に入った訳じゃない・・・」


 知らんぷりを続け、騒がしくなりそうだからという理由で、サンはとっとと寮から出てしまった。


 その間で、リア、ミューズ、アストラが火花を散らしているが、そもそもバカにされたイロアスはと言うと、


 「まぁ落ち着けよみんな。仲良くはできなくても喧嘩は良くないぞ。」


 「あら、大人の対応ね。」


 そんなイロアスの態度を見て、セアが誉める。


 だが、


 「・・・てめぇ、そーゆーやつかよ。気持ち悪りぃな。」


 イロアスの何かに気づいたのだろうか。アストラはやる気を削がれ、さっさと寮から出ていってしまった。


 そのアストラの発言に、誰もが理解を示さなかったが、ただ一人、セアだけがその意味を理解した。しかしそれすらも、セアは隠した。


 いつか自分で自覚する時が来るかもしれない、その日を待って。


 「さぁ!気を取り直して、履修を組むのである!」


 静まり返ってしまっていた状況を脱しようと、カンピアが声をかける。その声に反応し、皆が履修を組む準備を始める。


 「イロアスくん、君はどうするつもりだい?」


 イロアスは悩んでいた。


 魔法学基礎・応用、属性適応学炎・水・風・雷・土・光・闇、魔法実技、魔法薬学、生物学、錬成学、歴史学、古代文字学、軍用訓練。


 本当は全部取ってみたいけど、流石に無理だ、卒業できなくなってしまう。それに、週に2回ある授業もあるので、全てを取ってしまったら、


 かなり悩んだが、イロアスは履修を組んだ。


 魔法学基礎・応用、属性適応学炎・水、魔法実技、魔法薬学、生物学。


 それで履修を組んでいると、セアが一言突っ込んできた。


 「へぇ〜、歴史学は受けないんだぁ。ロアはこの世界のこと何も知らないのに〜?」


 ・・・勘のいいやつ。


 「精霊様の言う通りだよ、イロアスくん。受けないとダメだ!君はどうもこの世界について疎すぎる!」


 「ミテラ叔母さんの歴史の授業を全力で寝てるからそうなるのよ。」


 2人の厳しいお言葉を受け、イロアスは歴史学を受けることにした。


 「ふーん、イロアス、歴史学受けるのね。」


 そうリアが呟いたのは、内緒にしておく。


 その後、ミューズ、カンピア、フェウゴも無事に履修を組むことができた。授業は明日から半年間。これからの学校生活が、かなり楽しみになってきた。




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