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誰もが愛を求めている  作者: 天邪鬼(あまじゃき)
第4章  箱庭を蝕む天使
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第4章16話 嗤う僧侶に天は罰を与える




 天高く、天高く、それは全てを見つめ、全てを監視する。


 この呪われた大地にいる全てを監視する。


 「でもねでもね、目が足りないよね。」


 そう言うと、それは身体が変貌する。さっきまでは気味の悪い肉の翼を生やしたいたいけな少年少女の格好をしていたのに、それはあまりに異様な姿へと遂げる。


 身体から肉が暴れだし、分離し、目玉に翼が生えたような分離体が何十とも作り出される。


 「あは、あはは、あっはっはっは!!ゾエが見れないところはないのね!!全てが、ゾエの視界の中!!」


 『不殺』の権能は、その者の前で殺生を行う者はその生命を枯らす。


 その権能を孕んだ最悪の目が、地上にばら撒かれたのであった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 「・・・最悪でさぁ。」


 そう呟いたのは、世界最強という肩書きを持つオフィーリア本人であった。この状況を打破できる可能性を持つ男が零した本音は、この状況がどれほど追い込まれているのかを物語る。


 「師匠、こいつらは屍じゃないのか。」


 「いや、俺の全感覚がそれを告げている。こいつらには、魂がある。」


 誰も気が付かなかった。オフィーリアもそれを感覚でものにしているに過ぎない。誰か想像しえるかだろうか。この目の前の屍兵が、魂を持って生きているかもしれないなどと。


 「・・・話が違うぞ、ルダス!!お前は、知っていたのか!!」


 その雄叫びは、オフィーリアにも何も知らされていないことを明白とさせた。


 「師匠、あいつがいるってことは、俺たちはもう・・・」


 『不殺』の権能が、自由を縛る。

 目の前の敵を相手にしながら、その命を奪うことを不可とする。無限に復活する屍兵だが、それは1度死んでから復活するのか、そもそも死ぬ事の定義はなにか、それすらも不明。


 その剣が止まる。止めている暇など無いはずなのに、その手が止まる。


 そして、絶望はそれを覆い尽くすかのように、次の手段を問わずに襲いかかる。


 廃城が突如崩壊する。元々ハリボテではあり、いつ崩れてもおかしくないほど劣化していたのは間違いない。だが、原因は劣化などでは無かった。


 「嘘だろ・・・」


 「何が起きてやがる・・・」


 目の前には、廃城が崩れ落ちるほど、雪崩のように飛び出してきた屍兵の群れであった。その数は万を超え、それでもなお増え続ける。


 殺せない、死なない軍団。

 最悪の敵軍の完成である。


 ーーーさらに最悪は重なる。


 「こいつら・・・どこに向かってやがる・・・」


 廃城の目の前、最も近い敵は間違いなくオフィーリアとイロアスであった。それでも、彼らはその軍団にのまれることは無かった。


 イロアスが、それが異常と気づくまで数秒、そして、脳内で地獄絵図を描くまでに数秒。


 「・・・!!ふざけるな!!」


 それは、世界調停機関メディウムへと、その足を進めていたのであった。世界を調停するために生まれた機関は、全ての砦。崩れれば世界は崩壊する。


 事態は最悪。しかし、最強は、冷静であった。


 「前進だ、イロアス。」


 「ふざけんな師匠!!ここでこいつらを止めねぇと!!」


 「元凶を断つ。それで全てが解決する可能性がある。『不殺』がいる限り、俺達に地上でできることは無い。ならば、地下にいるはずの元凶を叩く。」


 「元凶ってなんだよ・・・」


 「ルダスめ、だから迷わず行けと言ったのか。どこまでも人の心が分からないやつめ。」


 「一体この先に、何があるってんだよ!!師匠!!」


 「この世全ての元凶だ。そしてこれは俺たちにしか成しえない。心しろ、今日ここで起きる全てがここから先を大きく左右する。」


 崩れ落ちた廃城のその下に、湧き出た屍兵たちのその下に、奥へ奥へと続く道がある。

 そここそが、オフィーリアもルダスも辿り着くことの出来なかった道の入口。


 そこへ歩みを進める。


 天へと舞う『不殺』を誰かがどうにかすると、そう信じる他ない。根拠などありはしない。しかし、オフィーリアは知っている。


 「奴に人の心はない。しかし、何よりも物語を好むあの男が、人の物語を黒く塗りつぶすお前たちの理不尽な権能を許すはずがない。」


 イロアスもまた、信じるしかないのだ。


 全てを勝利に収めて、またあそこで飯を食うために。


 図らずも、この最奥にいる存在こそ、イロアスが世界を救うために必要であるのだ。


 彼はまた、英雄覇道を進むのみ。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 世界を覗き見るその権能をもってして、ルダスは事態がより深刻であることを知っていた。


 屍兵の群れは、想定外であったからだ。


 ルダスが把握しているのはあくまで呪林地帯に這う屍のみ。それが魂を『疫病』によって縛られていることは把握していた。だが、それ以上の数をどうやって溜め込んでいたのか。


 自分自身も出られないように細工したあの場所から、一体どうやってーーー


 それを、考える暇は、もはやルダスにも無かった。


 「ルダス!!」


 「わかってる。」


 既に会議は終了し、中央の準備は万全であった。


 『調停の盾』または『国境』と呼ばれるアリシダ=アンドロを先頭に、既に万を超える小人族と巨人族が隊をなして北方へその睨みをきかせる。


 「つくづく後手に回ってしまうが、ここからは武力を信じる時間だ。君に『闘神』を取られるのは痛いが、こちらの布陣もまた完璧だ。」


 乱れ一つなく、見事に統制された隊を見る。さらに、それはそれは美しく貼られた結界を見る。


 そしてーーー


 「ようやく、お見えかな。」


 『観測者』という立場が与えたものでは無い。元より女神より与えられた権能『現世を映す瞳(パノプテーノス)』ーー別名、『現世の千里眼』によって、この布陣は完璧に見えていた。


 空を黒い翼が覆う。無数に集められた魔獣を引連れて、彼らはやってきた。


 「『沈黙』『純潔』そして『敬神』。私の読み通りだ。」


 「卿に期待していることはそれだけだ、やってくれなきゃ困る。」


 「おやおや、手厳しいね。」


 「さて、彼女らが来たのは予測できたが、どう戦いが展開されるかは混沌だ。まずは、どうやって結界を破壊してくれるのか見物だな。」


 千年間、世界調停機関メディウムには結界が張り続けられている。その結界は代々アンドロ家が維持を継いできた。今代もまた、『国境』の2つ名まで引き継ぎ、その比類なき才能は受け継がれていた。


 千年間で結界が破られたのは二度ある。一度は『原罪』の誕生とともに千年前に破壊された。二度目は『純潔』によってその隙を疲れた時。


 「成功体験のある『純潔』は来ると思っていたさ。そして戦力として『沈黙』と『敬神』は申し分ないね。」


 「あの二人が本気を出せば破られると?」


 「いやいや、本気を出すまでもないさ。あぁ、そういえばさっきの会議で言ってなかったや。」


 やばいやばいと、そう言いながらルダスは宙を飛んでアリシダに聞こえる声ーーというよりかは、全体に聞こえる声でこう言い放った。


 「結界、私が細工をしてしまったから、ショックを受けないでおくれよ〜。」


 「「「・・・は?」」」


 瞬間、結界を素通りする一団が、悠々と結界内に現れる。聖なる力も込められた結界に大きくダメージを受けるものもいるが、その殆どは結界をすり抜ける。


 「テメェ!!!何のつもりだ、ルダス!!!」


 先頭でその怒りを露わにするアリシダを完全に無視し、ルダスは西の方向を観察する。


 「卿は何をやっている!!」


 「いやいや、この奇想天外な発想はあの『賢王』にも出来やしない。難攻不落の結界と言えば、誰もがその突破を第一に考えるだろう。ではそれがすんなり通ってしまったら?これを罠と考えるだろうか、無論罠ではあるのだが、この唯一無二の機会を逃すだろうか。」


 答えは否である。


 故にこそ、全ての魔獣は結界内に入り込み、いつよいつよとその滾る力を蓄える。


 「見たまえあの知性の欠片もない魔獣共を。彼らには『魔王』による洗脳が施されている。例え『不殺』が来てもその手を止めるなと。自分が死ぬことになろうとも、彼らはもはや止まることのない理性なき怪物だ。」


 「卿は一体何をーーー」


 「私が考えに考えなければならなかったのは、どやって『不殺』の目を逃れるか。そうなるとこうするしかない。」


 ルダスは杖を地面に一突きする。


 それは、結界が再構築される合図。全ての敵が結界内に入るその瞬間を、待っていた。


 「迂闊だね君たちは。ここにいるのは、狡くて穢く人の心を逆撫でするのが大得意な『観測者』ルダスだというのに。」


 結界は閉じられる。

 そこに込められた効能はーーー


 「『不殺』が入り込めない結界。そして、私の許可が降りるまで誰も外に出られない結界だ。」


 かつて初代『魔導王』スコレー=フィラウティアですら、その実力を測り切ることはできなかった。

 かつて『賢王』メルキオル=ガスパールですら、その知恵を測れなかった。


 女神すら手玉にとってみせるその狡猾さを、腹黒さを、誇りに思った。


 『観測者』ルダスーーー彼の存在こそ、敵が落とさねばならない絶対の要。


 「・・・久しい。実に久しいじゃないか、ルダス。」


 「そうかな、君とは何度も会ってるはずだけどね、『敬神』ファナ。」


 「そうではない。貴様らがここまで追い込まれるのは、実に久しいじゃないか。なにせ貴様がそこまで本気で人間に肩入れをするのだからな。」


 その言葉は的を得ている。

 しかしルダスは、笑うだけだった。


 「はぁ?おいおい、戦力差が見えねぇのか?こっちは『正義』『観測者』『聖女』、そして俺『国境』。更には『冠冷』までいるんだぞ。」


 アリシダがルダスの代わりに今の状況を説明する。戦力差は歴然であった。


 それが、真実であるならば。


 「・・・『聖女』と『冠冷』はどこにいる?」


 ふと、周囲を見て気づくのだ。さっきまで会議にも参加していた『聖女』はいない。ましてや、『冠冷』はいつから見ていないのだろうか。


 「「「・・・は?」」」


 場にいる強者に沈黙が流れる。


 ーーールダスを除いて。


 「本当に君たちは面白い。」


 「ルダス!!!てめぇ!!!」


 「そう怒らないでくれアリシダ。私も苦肉の策だったのさ。彼らがここに来てもらったのはそれぞれ彼らにしかできない役目を背負って貰うためだ。そしてその役目はここに居ては果たされない。」


 「卿は少し説明をしたらどうなんだ。会議は何度もあったはずだ。」


 「私は人の心を乱すのが大好きでね。特にアリシダはいい反応をくれる・・・というのは冗談で、ここに残す訳にはいかない色々な理由があったのさ。」


 彼らには、彼らにしか出来ないことをーーー




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 「全員絶対に殺すな、嫌な予感がする。」


 それがこの場に与えられた命令だった。両手に剣を握り、衣服をヒラヒラとさせて、踊るように戦いながら、場の全てを見透かし、全てを統括するギルド長からの命令。


 「土魔法での補修を急げ!!」

 「今やってる!!」


 怒号が飛び交う。


 それほどまでに彼らは自身の役目を知っているのだ。これこそが、自分たちがここに居た理由。


 あの掃き溜めのような地獄の場所から、ギルド長に着いてきた結果。


 即興で築いた長い壁。土魔法をベースに、あらゆる属性が付与され、触れるものを適度に傷つける。


 そう、適度に傷つける。

 これが、彼らにできる限界だった。


 押し寄せる屍兵の群れは観測史上最大の量に達し、そのどれもが未発見の個体。どこから現れたのか、どこにいたのか、呪林地帯の調査は端から端まで行っているのに、この量の発見に気づけなかった。


 「ちくしょう・・・この数年の予想を遥かに超えてきやがって!!」


 それが、ここにいる冒険者の感想だった。


 「喚くな!!俺たちの長が最前線張ってんだ!!黙って援護しろ!!」


 壁の後ろで援護をするしかできない自分たちに、どれだけの価値があるのかわからない。本当は一緒に肩を並べて戦いたい。


 だが、あんな器用な芸当は到底できないだろう。


 屍兵の足と腕だけを切り落とし、その戦意を殺す。武器を殺す。戦術を殺す。


 嫌な予感がするから殺すな。

 これだけで、この呪林地帯の全ての戦い方が変わった。


 これだけで、彼らの積年の想いは無駄になるほどの損害を与えた。


 「うわぁぁぁ!!!」


 壁がくずれおちる。それは一部であったが、屍兵が入り込むには十分な隙間だった。本来であれば大した損害でもない。すぐに敵を倒し、修復出来れば、立て直しなど何度も何度も可能である。いや、かのうであったはずなのだ。


 「殺すな!!!」


 最前線から怒号が飛ぶ。




 以前、こんな話をしたかもしれない。

 殺さずに捕らえる等、強者にのみ許された選択である。


 ここにいる冒険者はみな、自分たちの強さを信じていない。感情論から言えば、自分たちは確かに強いが、それを超えるものなど多すぎるほどにいる、というのが彼らの本音。


 故にこそ、彼らは臆病である。臆病という表現が最も正しいが故に、このように表現するが、誇りを持って彼らは『冒険者』などという飾り物の定義の上で生きている。


 彼らは、自分たちの強さの程度を正確に計ることが出来るのだ。


 それこそが、今回の大きなヘマに繋がった。


 殺すな、という理不尽にも強者にしか求めることが出来ないパフォーマンスを求められてしまった。


 「あぁぁぁ・・・」


 一人の冒険者は、間違っていない。

 殺そうとしてくるものに、死を与える。それこそが、この呪林地帯で生き抜くための正しい知識ーーだったはずなのだ。


 震えながら振り下ろした剣は、確かに自らの命を守ろうとして振り下ろされたものだった。


 「何だよ、なんでこうなっちまうんだよ・・・」


 その剣は、屍兵の頭蓋を割り、確かにその命を絶った。屍兵は二度と起き上がることなく、闇に満ちた目もその光を失った。


 瞬間、冒険者の目から、耳から、鼻から、口から、赤い血が流れる。攻撃を受けたわけではない。だが、彼の流血は止まらずに、その呪われた手を仲間に向けるのだ。


 「たす・・・け・・・」



 ーーープチュン



 何かが弾け飛ぶ音だった。

 その音とともに、冒険者の身体は糸が切れたように地面に倒れ落ちる。


 彼は、罰を与えられたのだ。


 「見てるね、見えてるね、見てしまったね。殺したの、見ちゃったのね!!」


 ゲラゲラと、静まり返ったその場で鳴り渡る不愉快極まりない狂気の笑いは、恐怖を伝染させる。


 「うるせぇ!!」


 一人の冒険者が笑い声の方を向くと、そこにあったのは翼の生えた目玉だった。目玉の横には、翼の生えた口があり、不愉快な笑い声はそこから響き渡っていた。


 「殺した!!殺した!!ゾエの前で殺した!!」


 ケタケタと、笑い声だけが響く。

 その理不尽なまでの罰は、その目が届く限り、この呪いの大地にあり続ける一つのルール。


 「殺さずに、どうしろってんだよ・・・」


 崩れた壁から、まだまだ屍兵は現れる。ここでは、既に心まで崩れ落ちてーーー


 「お終いだ・・・」


 心が、折れる。積み上げた想いが、崩れ落ちる。

 ケタケタと嗤う声だけが、ここに響く。ゆっくりとその足を延ばす屍兵に為す術もないまま、無念のまま散っていく。


 最前線から聞こえる怒号ーー「剣を握れ」などという言葉も、耳から抜ける。


 殺さずに殺さなければ、自分が死ぬ。



 「大丈夫、私がいるわ。」



 その言葉は、一体どこから聞こえたのだろうか。空耳のような、だけど確かに、心に何かを与えてくれるような、優しい声。


 その声とともに、光の柱が壁に沿うように何本も天から落とされる。そして、柱同士を光の格子で繋ぎ合わせて、新たな壁となる。


 「押し返すわよ。」


 再び聞こえる天からの声、そして、光は土の壁をすり抜けて屍兵だけ絡み取り、森まで全てを押し返した。屍兵に聖なる傷だけ残し、そのどれもに致命傷にならないように調整された光。


 更に、光は雪のように振り続ける。


 「聖雪天衣(せいせつてんい)


 その光は天から舞い降りて、全ての者の衣となる。それは邪なる心を祓い、呪いから身を守る天の衣。


 「これは・・・」


 五体不満足の屍兵が地面に倒れ、その中で優雅に立つバルバロイ。彼が見上げた先に、その人はいた。


 「まるで天女のようなお方だ。これが千年揺るがぬ統治を可能とした王の見姿。」


 絶望の中に一際輝く光があれば、人はまた希望を抱く。この呪い呪われた大地の天に、彼女はいた。


 『聖女』セレフィア=ロス=アナトリカが、天から闇を見下ろし、人に聖なる光をもたらす。


 「はぁ?ねぇねぇ、せっかく絶望してたのにね、大人しく死なせてあげれば良かったのにね。」


 同じく、天から光を潰し、闇をもたらす『不殺』ゾエが『聖女』と向かい合う。


 「あなたが『不殺』ね。」


 「そうね!!ゾエこそ『不殺』の罰を与えるものなのね!!『聖女』セレフィア=ロス=アナトリカ・・・セレ!!セレって呼ぶのね。」


 「あら、あなた、私に構ってる暇なんてないわよ?」


 「・・・は?」


 セレフィアの一言。

 その言葉が耳に入るそのとき、ゾエの心臓は血飛沫を上げて撃ち抜かれる。


 「・・・は?は?は?」


 何が起きたのかもわからずに、ゾエは心臓を潰される。止まらぬ血反吐に、『聖女』は優しく微笑む。


 「あなた、自分の目で見えていない所からなら殺せるのよね。」


 『不殺』の殺し方。

 それは、ゾエの感知できない範囲からの攻撃。何が起こったか分からないまま殺す。


 これだけが、『不殺』を唯一殺せる方法。


 「あなたは何も見えていない。それなのに、世界はあなたのことを見ている。可哀想に、世界は、あなたが何も見えていないことを知っている。」


 ゾエの心臓を撃ち抜いたその武器は、一本の矢だった。


 「そうね、そうなのね・・・いるのね、がどこかにいるのね・・・『天弓』アルク!!」


 矢の来た方向を振り向く。

 それが、狩人が仕掛けた罠だとは知らずに。


 遥か高く、天からそれは落ちる。


 「・・・は?」


 天より堕ちた矢が、ゾエの脳天を貫いたのであった。



 

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