E1.私とお姉ちゃんの幸せな社会人生活
エブリスタでスター特典として書いたものです。
そろそろいいかなと……
私は里香。都内のある場所でそれなりに裕福な家庭に三女として生まれた。
人とのコミュニケーションが下手で不登校だった高校時代。なんとか社会復帰を果たし、事務員としてなんとか生活している。
相変わらず初対面の人と話すときには緊張するがなんとかかんとかやってきた。
「里香!久しぶりね!元気にやってた?」
呼びかける声に反応して振り返る。今日は仕事終わりに姉との食事の予定であった。久しぶりにあった姉、愛美お姉ちゃんは今日も変わらず素敵だった。
私は周りの目を気にせず走っていくとその胸に抱き着いた。
「もう。里香も大人になったのに、相変わらず甘えん坊さんね」
そう言いながらも私の頭を撫でてくれるお姉ちゃん。恥ずかしくなんてない。だってお姉ちゃんの胸に埋もれていれば、周りなんてまったく見えなくなっちゃうんだから。
この大きな胸が羨ましい。
「だって!この柔らかさは久しぶりなんだもん!」
「ほんとにもう」
顔を上げた私の言葉に、笑顔で苦言を呈すお姉ちゃん。我ながら甘やかされてるなとは実感している。でもそれは仕方ないじゃない。末っ子ってそんなもんでしょ。
「もう!私だって忙しいのに時間を空けてきたんだからね!酷いじゃない!」
「あっそうだった」
私は、もう一人の声に反応する。相変わらず私より小さな体をそらし、腰に手を当て文句を言っている水柳お姉ちゃんを見る。
「さっさと行くわよ!」
そう言って水柳お姉ちゃんは私の手を握って歩き出す。指を絡めた恋人つなぎだ。水柳お姉ちゃんはいつもそう。さんざん文句を言うくせに、私をしかり甘やかしてくれる。
がっちりとつないだ手にその温かみを感じてしまう。
「はいはい。行こうね」
反対の隣には愛美お姉ちゃんがやってきて同じように手をつなぐ。久しぶりのお姉ちゃんサンドだ!うれしいなー♪私は浮かれていた。今日は私の二十歳の誕生日!これからみんなで食事でデート!
そして……
「よーし着いたわ!ママたちも待ってるみたいだから入りましょ!」
水柳お姉ちゃんが私の手を離すと、その立派なレストランのドアを開け、中へ入っていった。私も愛美と一緒に中へと入る。豪華の内装で少しだけビビる。周りの視線も気になっちゃうんだよね。
私は少しだけ愛美お姉ちゃんの手を強く握ると、大丈夫、と優しく頭を撫でてくれる。
「来たわね!早く座りなさい!」
「こっちだよ!おねーちゃん!」
得座ママと杞憂瑠が私たちを呼んでいる。杞憂瑠はもう5才になった。元気に育ってくれているようで嬉しい。
「里香は久しぶりね!元気してた?ちゃんと食べてる?そんな細っこい体して!今日はいっぱい食べなさい!」
「はーい」
私は、ママの方が小さいじゃんって思ったけど、それは虎の尾だから踏んじゃいけないことは分かっていた。
大きな円卓のテーブルを囲み、愛美おねーちゃんと水柳おねーちゃんの間に座る。すると店員さん達がすぐに前菜を運んできた。飲み物を何にするかとメニューを持ってきて尋ねられた。
少し緊張するけど今日は両隣に頼もしいお姉ちゃんたちがいる。私は少しだけ声を震わせ、カルアミルクを注文する。甘くておいしい最近のお気に入り。
そして飲み物がゆきわたると、ママの合図で乾杯となった。
「おいしー!」
次々に運ばれてくる料理を堪能する。やっぱり高そうな見た目に恥じないおいしさ!今は自炊でレトルトばっかりが多いからなー。そんなことを思いながら美味しく頂いた。
「里香、あんた仕事は順調なの?」
「う、うん。なんとかうまくやってるよ?先輩のベリビットさんはすごく厳しいけど、分かるまでちゃんと教えてくれるし」
「ベリビットさん?なに?外人?」
「んとね、アメリカ支部からの出向で来てるんだけどね、日本語ペラペラ」
見た目は真っ赤な髪のヤンキーみたいなんだけどね。あと最初の頃はホント怖かった……超スパルタだったもんね……
「とにかくすごく仕事ができてカッコいい女の人だから、私も頑張って追いつきたいなって……」
「ふん!そんな女より私の方が凄いわ!私の方がより里香のことを分かってるんだから!」
水柳お姉ちゃんがへそを曲げている……昔から自分が一番よー!って性格だからね。実際すごいけど。保育系アイドルやってるし。ってか保育系アイドルってなんだろね。
幼稚園を訪問しては一緒になって遊んでるのを動画配信して、熱狂的支持を受けているようだけど……私からしたら水柳お姉ちゃんの日常って感じ。私も一緒になって遊んでいた日々が懐かしい。
「そ、それよりも里香、彼氏さんとは仲良くやってるの?婚約もしたけど、何かあったら相談するのよ?婚約イコール結婚ってわけじゃないからね。何か不満とかあるならお姉ちゃんに相談してね」
「う、うん。分かってる。今のところ仲良くやってるよ。結婚も……来年ぐらいにはしたいなって話してる……」
私は、今お付き合いして彼氏の顔を想像する……いずれは結婚する大好きな……大好きな?大好きなー誰だっけ?ちょっと疲れてるのかな?顔が思い出せない……
私は少し混乱していた。
その時、
「り、里香。ま、待たせちゃった?」
「へっ?」
予定どおりやってきた私の、大好きな?彼氏の?声がした。今日は家族に紹介する予定で?……予定、だった?
「り、里香のごか、ご家族さんですか?はじめ、まして!ぼ、僕!お付き合いをさせていただいてる!詐鼠と言います!」
詐鼠?もうすでに混乱しまくっている私は、その男性の顔を確認する……
「い、いやーーーーーー!『聖浄の炎』!!!」
「里香は守るわ!『雷神多段拳』!!!」
「里香に何するの!『神の怒り』!!!」
「娘に何するのよ!『暴君の衝撃波』!!!」
「お姉ちゃんに触るな!『竜撃の爪風神刃』!!!」
「ぎゃーーーーー!」
皆の攻撃により、詐鼠が断末魔の末、消滅したのを確認した私は、ガバリと体を起こし、額の汗をぬぐった。
「ゆ、夢か……」
夢であったことに安堵し、横を確認すると、大好きなラビお姉ちゃんがまだ寝息を立てていることを良いことに、こっそりとその体にくっつき、二度寝をしてしまうアンジェであった。
◆神界
「ぐっ!また私が妹に……本当は、私がママだってーの!!!
里香!!!里香ぁぁぁ!!!私がママよぉぉぉぉ!!!」
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