/// 56.帝都ダンジョン・はじめました。
本日2回目、明日は11時にも更新します。
翌日から、アンジェのダンジョン通いが始まった。
アンジェ専用の書庫には、帝都の観光情報として衣食住の最新ガイドブックや、新作武具&魔道具情報、それなりに充実したダンジョンの情報誌が並べられていた。最初はついつい食に関する情報誌を読み漁ってしまう。
もちろん三人で食べ歩きするための情報収集である。最近は少しずつ他の人と話せるようにはなってきたアンジェ。それゆえ、食べ歩き情報も重要であった。
そしてダンジョン関連の情報誌も当然ながら熱心に読みふけっていた。
東西南北、それぞれに特徴があるこの4つのダンジョン。比較的低レベルの階層が続き少しづつ魔物の強度が上がっていくとのことで、比較的早く深い階層まで行けそうであった。それぞれ公開されている最深到達階層は120階層前後となっている。
東、イーストダンジョンは岩壁のダンジョンで、主にゴーレムやスライムの無機質な魔物のダンジョン。キュルはちょっと大変かも?アンデット系もいるようなので無双できそうである。
西、ウェストダンジョンは獣系。密林と砂漠地帯が混在する。これは獣王国・ウェストダンジョンに似てる?
南、サウスダンジョンは亜人種が多いらしい。人工的な石像や神殿のような建物が乱立しているらしい。ゴブリン、オーク、オーガが主力?どのダンジョンでも同じだが、同じ種でもどんどん強くなっていくので注意が必要だ。
北、ノースダンジョンは竜系統。岩山が点在しており、飛行するタイプも多いので何らかの遠距離攻撃が必要にはなるが、火竜の杖もあるし、キュルもいるからきっと大丈夫。竜もかなりの種類が存在するので今から楽しみである。ドラゴンスレイヤーとしての自信が垣間見える。
まず向かったのはイーストダンジョン。ゴーレム系なので戦いやすいということで選択。
まずは+1に進化した火竜の杖を試してみる。前より魔石が多く入るようになっており、その威力はかなり上がったようだ。しかし、発射段数は50発が限界のようで、火力アップのみのようだ。
とはいえ、このダンジョンであれば低階層の雑魚ゴーレムだと、これだけで全て消し炭になってしまう。今後の活躍に期待。
次に試したのはキュルの装備である。竜撃の爪は+2となったので、試しに軽く溜めての真空刃を飛ばしたが、軽く紫電がほとばしる程度にはパワーアップしたようである。
そして新装備である氷撃の爪。こちらは青白い雷がともなう真空刃が形成され、ストーンゴーレムを全身凍らせつつ次の瞬間には粉々となった。
この低階層で魔石が小さなものだからなのか不明だが、竜撃の爪と氷撃の爪の攻撃では、魔石まで塵となってしまった。どちらもそれほどに威力は十分である。
魔石については注意は必要だが、キュルが苦手としていたスライム系も克服できるかもしれない。
最後にキュルが本来の1mほどの体に戻る。試しに「乗っていい?」と聞いてみると、嬉しそうに体を低くして地面に寝そべるので、そっとまたがってみる。
一応アンジェは隠匿効果のある漆黒のローブ(隠)を標準装備しているが、スカートでまたがるのはちょっと緊張してしまう。低階層なので多分であるが、少し移動した程度でも他の冒険者に遭遇することもありえるので恥ずかしさもある。
アンジェがそんなことを考えていると、キュルは勢いよく浮かび上がる。残念ながら岩壁のダンジョンはそこまで高さがないので、2mほど浮かび上がった状態でふよふよ同じ場所を回るように飛んでくれた。
「重くない?」
「きゅる~」
余裕の笑みなので大丈夫そうだ。どうせなら空が見えるダンジョンで試せばよかった。でもちょっと怖いな。漫画みたいに風のフィールドがーとかで絶対落ちない!ってことでもなさそう。
そんな事を考えていたのだが、何気にキュルの首筋の神徒の魔力輪にふれた時、それはシュルシュルと伸び、私の後ろに回り込んでお尻の部分に巻き付いた。そういえばこれも呪いの装備の一つだったね・・・
しかしその効果かどうかは分からないが、なんとも言えない安定感。まるでキュルの背中と私のお尻がくっついちゃったようで・・・悔しいけどこれ便利。
そして少しだけゆらゆら空中散歩を楽しんだ後、他の人達に見つからないようにキュルには降りてもらった。うん。地面に足を付けると神徒の魔力輪の拘束も勝手に解けた。マジ便利。
新たな手ごたえを感じたアンジェ達は、一か月近く浅い階層を中心にローテーションしていく。時には大空をキュルと飛び回って風を感じるリフレッシュもしていた。そして100階層近いところまでは、比較的簡単に進むことができた。
4つのダンジョンを同じように進めていく。正直このぐらいのレベルであればキュルだけでも進める程度の魔物の強さであった。お肉もたっぷり補充できた。獣系のウェストダンジョンでは、ラビが大好きな黒毛バッファローが80階層周辺に出現したため、そこには1週間ほど通っていた。
充実した冒険者稼業にアンジェは幸せを実感していた。大樹の家に帰ればほぼ確実にラビがいる。夜は一緒に甘い夜を過ごす。正直幸せの絶頂であった。この世界にきて本当に良かった。この幸せは絶対に守る!そう心に刻んだ夜だった。
◆神界
「きたーーーー!アンジェの!お・し・り!もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ!
ふぅ・・・もう・・・だめ・・・」
そんな変態ちっくな言葉を放ち、ベットに血しぶきをあげて倒れ込んだのは、変態駄女神ウィローズである。
神徒の魔力輪とリンクしてアンジェの尻を堪能した変態は、許容範囲を超えた現在、恍惚の表情を浮かべ気を失っていた。
願わくば、血しぶきで真っ赤にまみれたその顔で、呼吸困難に襲われなければいいな。と思うばかりであった。
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