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【完結】内気な聖女アンジェリカは目立ちたくない  作者: 安ころもっち
エルザード帝国・イースト地区編
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45/74

/// 45.ミスリルという素敵なワード

◆イーストダンジョン・47階層 / 魔窟


アンジェは今、47階層へと足を進めさらなる高みを目指していた。


予想以上に強敵であった46階層のスノードラゴン。あの日の夜にステータスを確認したら絶対聖域(サンクチュアリ)絶対☆聖域(サンクチュアリ)になっていた。意味は分からないがアンジェをくるむようにした守りの力がさらに広く、強くなっているような感覚であった。


それによって受けるダメージが少なく、そして軽くなっていたのだが、結局は(みずち)ですべてを薙ぎ払う!といった力押しで2週間ほど狩り続けたアンジェであった。


程よくストックされたスノードラゴン肉に満足して遂にこの階層へと攻略を進めていく。狩りを続けているがステータスが全く上がらないというのも先に進む理由でもあった。


ちなみに、このイーストダンジョンにおいて、今までの最高到達は45階層だったようだ。竜狩打火(りゅうとうだび)の面々の事である。アンジェは現在記録を更新中という形にはなっている。43階層のマッドゾンビが鬼門になっているパーティが多いようであった。


強さで言えば中央の聖都ルリアーヒルで活動している剣聖、ラインディア様はレベル8からいつの間にか10へと上がったという話しを聞いている。剣聖というジョブであればおそらくもっと先まで攻略はできるであろうが、こちらに来ていないのだから当然攻略もしていない。


名実ともにイーストでは最強となっているアンジェは、さらに先を目指して爆走中というところであった。


このエリアは43階層と同様の洞窟エリアとなっている。だが、あのうす暗い洞窟と違いこちらはかなり明るい。壁自体がところどころ光を放っているためである。とは言えまたマッピングが必要である。少しづつ地図を書き加えながらの歩みであった。


そんな中、最初に遭遇したのはゴーレムの集団であった。鑑定リングの結果は『ミスリルゴーレム』・・・ミスリル?


ファンタジーでお馴染みミスリルも、やはりこの世界であってもかなり貴重ということで星切(ほしきり)にも結構なミスリルを使ったと見られるが、それはあくまでミスリルとして結構な量、であったようだ。


もしかしたらこのミスリルゴーレムを倒せば大量のミスリルが・・・いやいやゴーレムだよ?魔石を抜いたらすべてきえてしまうんでしょ?そんな脳内コントを繰り広げながら目の前の4匹を注意深く観察していた。


歩むスピードは歩くほど。一応こちらを認識して向かってくるような感じではある。20mといった距離に近づいた時、その中の1匹が手を振りかざす。すると鋭い何かの塊がこちらに3本ほど飛んできた。危険察知が軽く反応するので慌てずに(みずち)で当たりそうな1本だけをはじいていった。


アンジェを素通りした2本と、弾き落とした方の1本がそのまま地面に落ちると、ドカリと音を立てて地面に小さな穴を残して消えていく。


キュルも真空刃を飛ばして参戦する。ミスリルゴーレムは煩わしそうに腕を上げて弾いていた。アンジェも負けずに神速で近づくと、斜めに胴を切り裂いた。少し強い抵抗があったが、なんとか切り裂くことができた。


アンジェが切りつけたミスリルゴーレムは一瞬体がずるりとズレたのだが、すぐにそのずれが戻ってしまい、何事もなかったように腕を振ってまた鋭い何かをこちらへ飛ばしてきた。それらを躱しながら今度は両手に持った(みずち)で十字に切ってみる。運がよければ魔石に当たるかも、と思っていた。


そしてその通りに当たりを引いたようで、そのままミスリルゴーレムは4つに分かれて崩れ落ちた。地面には5cmほどの大きめ魔石と共に、かろうじてその魔石より大きいぐらいの何かが落ちていた。


残り3匹も攻撃態勢に入っていたため、そちらから飛んできた攻撃を優先して弾いていく。そこまで強くはないが結構な手数が必要なようだ。先ほど切った感じだと胴体の中央あたりに魔石があると思われる。


どうしたもんかと考えている間、キュルは相変わらず真空刃を放ってけん制に一役かっている。


とりあえずはと、3匹のミスリルゴーレムに、その胴体の中心を通るようにXの字に切りつけてから離脱した。そしてその内の1匹は崩れ落ちていた。


残り2匹。なかなかうまい事魔石には当たっていないようだ。一回じゃだめか・・・と思い、今度は2匹になったそれらに2回ずつのXの字切りを試してみる。一気に力を籠めて(みずち)を振りぬく。


一気に素早い動きを繰り出したアンジェはヘロヘロになりながら一度離脱したアンジェは、目の前のそれがようやく崩れ落ちたのを確認して安堵した。


4匹の落とした魔石と何かの塊を収納する。幸い魔石は所々欠けて入るのだが、このぐらいの大きさであればすっぱりと切断されるということは無いようだ。魔石を回収したいと考えながら次元収納を使うと、欠片まで収納されるのだから便利なものである。欠片は後で火竜の杖に美味しくいただいてもらおう。


「この塊は帰ったらラビさんに視てもらう?でも買取り時に普通に確認できるか・・・」


アンジェの予想通りミスリルであれば、4匹分でさえあの量である。これから狩りまくることも考えればかなりの高額買取になるだろうと顔がにやける。狩りにも気合が入ってしまうのは無理もない。


その後も、ミスリルゴーレムに何度か遭遇しなんとか倒すことはできていた。そしてそのミスリルゴーレムとの戦いにも慣れてきたころ、危険察知が新たな敵の出現を告げたのである。


危険察知の大きな反応に大慌てで横に飛ぶ。このパターンは何度目だ。と言うほどお世話になりっぱなしの危険察知。便利なスキルである。そして横を通り抜けるドラゴン。鋭い翼でアンジェを真っ二つにしようと飛んできたに違いない。


振り返りざまに鑑定リングの結果は『ミスリルドラゴン』。またもミスリルである。あの翼・・・脳内にすれ違いざまに胴が真っ二つにされるイメージが浮かんで身震いする。見るからに固く鋭そうな刃物のような両翼。


「また力押しでいけるかな?」


そう思ったアンジェは身構え、相手の出方を窺っていた。以前のように2匹目、3匹目の出現も警戒しつつ(みずち)を握り締めていた。


先に動いたのはミスリルドラゴンの方であった。両翼をばたつかせるとキュルのように真空の刃がこちらに向かってくる。バチバチと竜気も纏っているようで危険察知がうるさく鳴り響く。横に走ったアンジェを追尾するように、空中で体の向きを変えながら新たな真空刃を放つミスリルドラゴン。


絶対☆聖域(サンクチュアリ)が能力アップしているおかげで、端に当たる分には角度があるからなのか斜めにそれていく真空刃。しかし少し体に近い部分にあたってしまうと簡単に絶対☆聖域(サンクチュアリ)を超えて横っ腹にバチバチとした痛みと共に肉がそがれて血飛沫が舞う。


痛みに顔をゆがめるアンジェは火竜の杖を取り出すと2回、3回と振り、視界を遮ってから大回復をお腹に充てて傷を癒す。そのまま隠密と神速を使ってミスリルドラゴンの横につけるとやっぱり力押ししかない!と(みずち)で力任せに横になぐ。


それでもミスリルドラゴンは両翼を上にあげると、(みずち)がバチンと弾かれた。障壁のようなものを張られたようだ。


慌てて距離を取ると視界を逸らさないように正面を向いて(みずち)を真っすぐに構えた。


とりあえずの打開策が思い浮かばない。脳裏に浮かんだのは一か八かで必殺の一撃を食らわせるという方法であった。


実はスノードラゴンを狩っている時に一度か出来た攻撃がある。なぜか分からないが、あれから何度練習で同じように攻撃してみてもその攻撃は出来なかった。


何が条件かは分かっていないのだが、この局面で一度だけ試してみよう!と思いまるで剣道のように正面に(みずち)を構え、両手に力を籠める。


そして「うりゃー!」というアンジェの中では比較的大きな声を上げて、後ろの方まで振りかぶった(みずち)を一気に真下まで打ち付ける。体の魔力がズズズと吸い取られそうになったアンジェはそのまま膝をついた。


過去に決まったこの技、あの時と同じような感覚に、やっと出た!と喜ぶが、やはり極限状態にしか発動しないのか?と頭をひねる。


そしてまだ距離があったはずのアンジェの攻撃は、(みずち)がぶにゃりと鞭のようにしなって伸びたかと思ったら、大きく弧を描いて、正面のミスリルドラゴンを縦に真っ二つにしてから地面にたたきつけられ、そのままシュルシュルと元の形に戻っていった。


そしてそのミスリルドラゴンが左右に開いて地面へと崩れ落る様を、膝をついたアンジェがたたただ見つめていた。


それを収納にいれた後、アンジェは心身ともに疲れた体を癒すため、小休止をしていた。


「今日はもう無理だね。あれはやばい」そうキュルに言いながら何か策を考えないと、油断してなくても事故死しそうであった。「ラビさんと、あとルドルフさんにも相談してみよう」そう呟いて体を休めていった。


精神的に少し落ち着いてきたアンジェは元来た道を戻る。途中でミスリルゴーレムの群れと何度か遭遇するが、なんとか撃退していた。


キュルが悔しそうに何度も真空刃を飛ばしていたが、けん制にはなるのだが攻撃としてはあまり効果はなく、遂にはありったけの竜気をこめた攻撃で、胴体をやんわりとへこます攻撃で、ずるりと崩れ落とすということに成功していた。


魔石に傷をつけることができたからなのかもしれない。しかしその後キュルは動けなくなってしまい、アンジェの頭の上で悲しそうに鳴いていた。「無理しなくても十分役にたってるよ」と慰めながらの帰路であった。


お読みいただきありがとうございます。安ころもっちです。

現在毎日更新でがんばります!

期待してる! 早く続きを! 読んでやってもいいよ!


そんな方はブクマや下の☆を押していただけるうれしいです!

もちろんコメントやレビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。


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