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第二回戦

第八話:模擬戦2

ルウナが言い終えたのを合図に体全体に魔力を流し、魔力球を火魔法と土魔法、風魔法に変換させて、三つ同時にカリシャに放った。自分の周囲を風魔法と水魔法で守って魔力球の影響を自分に与えないようにした。魔力球が仁王立ちしているカリシャの目の前で着弾し、高温に熱せられた石が大量に混じった火の嵐が起こった。

この程度でやれるわけない。

次の瞬間嵐が一瞬で消えて、石が跳ね返ってきた。風と水のバリアで鎮火をしてカリシャを見ると二体のすさまじい魔力を持った水でできた蝶と風の魔力を持った人型の何かがカリシャの左右に浮いていた。

「召喚獣。海蝶 カナラス。暴風 ゼルト。」

「ちなみに聞くが、その召喚獣たちはお前の手持ちでどのくらいの位置なんだ?」

「そうだな、結構弱い部類かな。」

マジか。頭おかしいなこの二体だけで災害レベル7以上はありそうだぞ?

「小手調べのつもりだったが、これは本気で向かわないと簡単に死ねるな。」

「最初は本気でやるつもりじゃなかったのか?舐めているというのなら、一度殺すぞ?」

「可憐な少女が棘ありまくりな言葉を使うんだな。」

「生憎、もともとこういう性格だ」

カナラス、ゼルトが俺に連携のとれた魔法攻撃を放ってきた。風の刃が混じった大津波だ。

一度に出せる魔力放出限界の火魔法で一瞬で蒸発させ、その勢いでカナラスとゼルトを倒した。

「さすがは救世主だ。思っていた以上の魔力を持っているようだ。」

すでに意識して抑えていた魔力は無意識に外に出ている今まであった奴ならそれだけで死んでいただろう。無限の魔力を持っていても、一度に出せる魔力も無限というわけではない。そして、無意識に出てしまっている魔力は意識して出しているものではないから属性の何もないただの魔力として放出させられ、耐えられる相手は余裕で耐えてしまう。

「それじゃあ今度は中くらいのやつで。」

また二体同時に百獣の王を彷彿とさせる召喚獣と首のない馬に乗った、首のない黒騎士が召喚された。

さっきのとは全く比較にならない魔力量。近くにいるだけで押し潰れるような威圧感。

「雷獣 デレノス、黒騎士 デュラハン。こいつらは私の召喚獣の中でも真ん中レベルだ!さあ!戦おう!」

「恐ろしい戦闘狂だな、、、」

召喚術師というほどだ。本体を叩けば済むとと思うが、本体が一番やばい。召喚獣を出してくれているのは自分がやったらあっさり終わってしまうからだろう。

「何だ?今更気づいたのか?」

「んぐ!?」

デュラハンが魔法陣らしきものを二つ出し、そこから漆黒の鎖が伸びて俺の四肢に巻き付く。

「救世主と聞いて結構期待していたんだがな、あっさり勝ってしまいそうだ。他の人間とか魔族とかに比べればまあ間違いなく強いだろうが、私相手になるとやっぱりどの種族も変わらないな。負けを認めるならこれを解除してやる。どうする?」

「認めるわけないだろ?たとえ模擬戦でも負けることだけは絶対認めたくないんだよ。」

「そうか、わかった。期待を裏切ったことへの償いとして、一度死んでもらおう。戦うのは好きだが、往生際が悪いのは私は嫌いなんだ。」

デレノスが咆哮を上げ、口から雷が放たれ、俺に当たった。体の感覚が消え、目の前が真っ暗になる。だが、意識はある。しばらくすると、人影が暗闇から現れ、近寄ってきた。目の前に来た時その姿明らかになった。緑の長髪に、鋭い赤い目をした男だ。

「どうやら、また死んでしまったようだな。」

「、、、?」

また声が出ない。ルウナと初めて出会った精神世界みたいだ。

「君は本当に宝の持ち腐れだ。不死神と魂を共有し、この私でさえ、君の手の中だ。」

「おっと、紹介が遅れたね。私はルシファー。君で言うルウナの先輩であり、堕天使だ。」

「?」

ルウナの先輩?つまり、こいつは天界のやつなのか?

「私は堕天使だが、天界ではかなり強かったんだよ?というわけで提案だ。今君はこのカリシャという規格外の少女を相手にやられた。その状況を私が変えよう。どうだ?」

「まあこんな風に聞いてはいるが、君に拒否権はない。安心してくれていい。君は私に一時的に体を使われるが、それ以降は君に主導権を渡して、私の力の行使を許す。要約すると、君は力を得る。私は君を通してこの世界に干渉する。おまけで、この少女をぼこぼこにできる。この自信満々な態度は私の好きなタイプではないんだ。殺しはしない。ここで見ていてくれ。」

そういうと目の前に視界が戻った。だが、自分の意思で体を動かすことができない。勝手に動いている。

「こんにちは、カリシャといったかな?私が現れた以上君の敗北は約束された。」

視界にカリシャが映る。恐怖し、顔を歪めているように見えた。次にルウナが結界の向こうで何かを訴えかけながら激昂している。見たところルウナはすでに結界を解除しているようだが、それをはるかに凌駕する硬さの結界が張られている。

「まだ蘇生していないのに、生き返っただと、、!?」

「安心したまえ。私は死なない。君ごときに殺せないのだよ。」

「攻撃の反動で何か目覚めたのか?」

「まあそのようなものだ。全力でかかってくるといい。出ないと、次に死ぬのは君の方だぞ?」

カリシャが決意を固めたように神獣らしき獣を三体召喚し、大精霊と思わしき神聖な輝きを纏ったもの計四体を一気に出してきた。相当本気なんだろう。

「ほう?神獣に大精霊か。人間にしてはかなりの者を手駒にしているようだ。だが、、、、」

ルシファーが指を鳴らした。

「【ゼウスの雷霆】」

光速を超え、三体の神獣に雷の槍が突き刺さる。瞬間、神獣が散った。

「、、、、!!??」

何が起こったかわからず、困惑している。

「おっと、まだ精霊が残っていたな。忘れていた。」

大精霊が指先をこちらに向けると、周りに光の粒子が現れた。その粒子の一粒一粒が体を貫いた。

「私の体を貫くか。大精霊の名は伊達じゃないようだな。だが、つまらないな。【クロノスの砂時計】」

まるで時間が巻き戻ったかのように貫かれた体が元通りになっている。

「【メジェドの魔眼】」

ルシファーが大精霊睨むと精霊が一瞬で輝きを失い、命を落とした。

「人間。」

カリシャが涙目になっている。

「この男に勝負を挑むということは死と同義だ。よく考えて動くことだな。」

また急に視界が暗くなり、すぐに色を取り戻した。目の前では腰が抜けて放心しているカリシャ。

「大丈夫か?」

ハッとしたようにこちらを向いた。すぐに目を背け、悔しさを表情に滲ませ、唇をかんでいる。

「私の負けだ。だが、今の私は多分すごく混乱している。一週間ほど時間をくれないか。」

「あ、ああ。」

「カルマ!」

結界が解け、ルウナが飛び込んで押し倒してきた。

「大丈夫?乗っ取られてない、、、、?」

「え、あ、うん。」

「よかった、、、。」

へなへなと脱力していく。

「帰ろう。」

「うん」

ー自宅ー

帰ってきて、ソファーに腰かけた。

「ルウナ、さっきの乗っ取られるって何のことだ?」

「ルシファー。」

さっきの俺の体を取っていったやつか。

「そいつのことを知ってるのか?」

「あいつは魔界を統べる王。サタンに並ぶほどの神殺し。」

「つまり、強いってこと?」

「強いなんて言葉で測れる程あいつは弱くない。でも、私で例えるなら、あいつは私を何回でも殺せる。」

驚いた。堕天していたとしても不死神であるルウナがこんなに言うのは、相当な奴が俺の体に住み着いたみたいだ。

「そうか、そんなものが、、、俺が呼んだら答えるかな。」

「分からない、話ができる状態なら話をしたい。」

「分かった。ルシファー。」

「はーい。」

ん?なんかすごいラフなイントネーションで答えられたぞ?こんな簡単に呼び出せちゃっていいの?

「なんだ少年。私を呼んだか?」

ディ○ニーのアラ○ンみたいな感じできたな。

「ルウナが話をしたいそうだ。数分体を貸す。だが、その間魔力を使うことと、何かやらかすことのないように。」

「いいだろう。」

視界が暗闇に落ちた。恐らく体を一時的に使われているということだろう。

「不死神メティシエ。いや、今はルウナ、だったか。何の話だ?」

「カルマから出て行って。」

「随分と急だな、この少年から出て行けと?残念だがそれは出来ん。この少年は私の想像以上の器だ。支配しようとしたこの私が支配されてしまっている。この少年のことが気に入った。よって出ていくことはしない。だが、この少年が望まない限り、力の行使及び危害を加えないと誓おう。」

「、、わかった。私じゃお前をどうこうすることはできない。」

「よし、これでこの話は終わりだな。久々に体を動かしたものだからな、少し疲れた。私は眠ろう。」

意識が戻り、視界に色が戻ってくる。

「話はもういいのか?」

「うん、、」

ー翌日ー

王城からの呼び出しがあった。ルウナの同行を要請するとのことだったからルウナもつれて現在王室にいるんだが、、、

「おい、カルマ。」

「?」

「お前はなんてことをしてくれたんだ。」

「?」

「聞いているのか?」

「もしかして今、俺って怒られてる?」

「当たり前だ!!なぜわからないんだ!?」

「もしかして、訓練場をめちゃくちゃにしちゃったこと、、?」

「違う、、マナド・カリシャの件だ。」

「それがどうかしたのか?」

「はあ、、、あの子は天才であり災害レベルは10を超えるものだ。十大列強などというものがあるが、あくまでそれは我々が考えうる最強であり、マナド・カリシャその考えを破壊するものだ。」

「つまり、何が言いたいんだ?」

「摩天皇から昨日、入学届が届いた。」

「魔天皇?入学届?」

「君はもうこの国にはいられない。すまんが出て行ってくれないか?」

「おっと、話が急展開すぎてわからなくなってきたんですが?」

「魔天皇は人智超えた化け物だ。十大列強では、そのうちの一人にも全く歯が立たないだろう。そんな化け物を単独討伐だなんて、目を付けられてもおかしくない。人間界での入学は取り消しとする。すぐに立ち去ってくれ。」

「おいおい待ってくれ。まだ竜の国も作れてなければ精霊との契約もできてない。二週間、それだけでいい。少しの間待ってくれないか。」

「それは自分で交渉してくれ。本人が目の前にいるのだから。」

「本人?」

振り向くと。赤い髪に黄金の瞳を持った紳士服?姿の好青年が微笑みながらこっちを見ていた。

「誰だ?」

「おや?先程から説明されていたと思うのですが、そうではなかったのでしょうか。」

「お前は誰だと聞いている。答えろ。」

初対面だが、超絶ガン飛ばしてる。この男、カリシャに匹敵、、いや、それ以上の力がありそうだ。

「おっと、これは失礼。私、魔天皇高等学院二年生代表委員のフェリアと申します。此度は、我が魔天皇学院へのお迎えに参りました。」

「どうして俺が行くことになっている。」

「私共の学院生に手を出されていては、さすがにこちらも黙っているわけにはいきませんので。ですが、魔天皇学院は実力がすべてとされています。もしもそれに見合う実力があるというのならば、こちら側に取り込ませていただきます。」

「断る、と言ったら?」

「武力行使という形になります。できるならば、話し合いで何とかしたいところですが、、」

「そうか、分かった。こっちもわざわざ喧嘩は売りたくない。」

「ほう、でしたら、」

「だが、条件をのんでほしい。」

「条件ですか、」

「ああ。強制というのはなかなか気に入らない。もうちょっとフェアになろう。」

「いいでしょう。その条件とは一体何でしょうか。」

「二週間待ってくれ。それと、俺が連れていきたいやつもいるからそいつらも一緒に連れて行かせてくれ。」

「、、、少々難しい条件ですね。我々の学院は実力をすべての基準として考えています。もしその方々が実力不足。ということになるのならば、入学は認められません。」

「、、、そうか、分かった。俺はこの入学を拒否する。武力行使というなら受けてやる。が、ここは戦いづらい。場所を変えてくれないか。」

「あくまで勝負として戦うということですか。負ければ入学、勝てば、、何をお望みでしょう?」

「少し興味がわいた。入学は前向きに検討しよう。俺が勝ったら、俺の提示した条件を飲んでもらう。どうだ?」

「いいでしょう。我々は実力をすべてとしています。是非そうしましょう。」

フェリアが指を鳴らすと、目の前が荒野に変わった。

名前:フェリア 身長:186㎝ 性別:男 種族:魔族 称号:【寄生王パラサイター

 

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