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模擬戦

名:マナド・カリシャ 職:一等級召喚士 位:王族 性別:女子 齢:十三 特徴:水色の長髪、色白の肌、ピンク色の瞳 身長:148㎝

        

第七話:模擬戦

目当てだった一等級召喚士、マナド・カリシャに何とか会うことができた。ここからどうやって交渉するか。

「カリシャさんっていうんですね。」

「そうである!」

「出会って早々申し訳ないんですが、このあと少しお時間はあるでしょうか?」

「ふむ、すまんな。私は十三だからな。魔術学校への入学手続きがある。パーティーメンバーの誘いもひっきりなしでな、一応日雇いとして入ってるパーティーもあるから、それを消化してからなら、いつでも良いぞ!」

「ありがとうございます。また、伺います。」

「いや、戻ってきても多分私は居ないぞ?」

「と、言いますと?」

「私は実家に帰る。この国の王族なもんでな。一応顔は出しておかぬと心配される。」

「王族だったんですね。それは忙しい。」

「何、大したことないさ。我が家がどこにあるかは分かるか?」

「いえ、最近この王国に来たものでして。」

「そうかそうか、では私から主の家に出向いてやろうではないか。」

「いいんでしょうか、私はあくまでもカリシャさん頼みごとをしてる立場なのに。」

「はっはっは!構わん構わん!どこにでも行ってやろう。」

悪い人ではなさそうだ。

「じゃあ、これに主の家までの道を思い浮かべて魔力を注いでくれ。」

カリシャが一枚の古紙を背負っていたカバンから取り出した。

「これに魔力を?」

「ああ!そうだ。」

「分かりました。」

古紙に魔力を込めると道のような線が浮かび上がってきた。

「ここから随分と遠回りだな。」

「その道しか知らないもので、、申し訳ないです。」

「構わん!いいだろう。」

「それでは、また会おう!」

「お時間を取っていただき、感謝いたします。」

カリシャがぴょこぴょことはねて玄関を出ていった。

「全く話に入れなかったな。あんちゃん、気づいてたか?」

「ん?何にです?」

「あの、カリシャって女の子だ。あの子の魔力は素人の俺でもわかる。化け物だ。」

「そんな、化け物だなんて、それはさすがに失礼じゃないですか?」

「確かに失礼だが、それ以外に呼び方が思いつかない。俺たちはあんな奴に関わるのはごめんだぜ。すまねえな、あんちゃん。」

そういうとフラルド達が背を向けて玄関を出ていった。

「え、、ちょ、、。」

「カルマ、仕方ない。帰ろ。」

「、、、そうだな。」

ギルドの玄関を出て、中庭から魔力球で飛んで帰る。家についてドアを開けると、クルトとアトルがソファーで寝ていた。

あ、そういえば。まだほかの竜拘束したままだった。

「ごめんルウナ、ほかの竜たちをまだ開放してなかった。ちょっと行ってくる。」

「分かった。行ってらっしゃい。」

もう一度ドアを開け、飛ぶ。城の外まで一気に飛んで竜のところについた。

「あれ、ここにいたと思ったんだけどな。」

竜たちがいなくなっている。アトルとクルトなら何かわかるかもしれない。

引き返して家に戻り、寝ているアルトとクルトを起こす。

「アルト、クルト、ほかの竜たちがいないんだ。何かわからないか?」

「ん、、え、、あの子達と連絡が取れない、、、?」

「、、、!!」

何かに気づいたようにアルトがこちらを睨んできた。

「あの子たちをどこへやった?」

「知らない。まず、俺たちはやってない。」

「嘘をつくな!お前以外に誰が竜の相手をできるというんだ!」

コンコンと玄関が鳴った。

「おーい、少年、いるかー?」

カリシャの声がした。

「誰だ?」

「俺の知人だ。手を出したらお前を殺す。」

今のこいつは冷静さを欠いている。脅しの一つしておかないと襲い掛かるかもしれない。

玄関に行き、扉を開ける。

「どうかしましたか?」

「いや、突然すまんな。主の家に竜人がいると聞いてな、日雇いのパーティーでダンジョンに潜る道中、かなりの数の竜を連れて行こうとしている魔人たちがいたもんでな、もしかしたらと思って魔人を倒して竜たちを回収しているんだが、心当たりはあるか?」

「あります!今まさにその話をしていたところです。」

「魔人?」

後ろからアトルとクルトが来た。

「む?その子たちが竜人達か?なるほど、二人合わせて魔人数人相手ができるほどの魔力を持っている。竜族の生まれにしてはかなりの才を持っているようだな。ん?竜人の双子?その二人を預かっているのはこの街を食糧不足と水不足を解消した救世主なるもののはずだが、、、?」

カリシャが俺を嘗め回すように見てくる。何かハッとしたように驚いている。

「カリシャさん?」

「もしや、君が、あの救世主だったのか!?」

「え、まあはい。ちょっと照れくさいですけどね、、。」

「この国と同じ広さのある地下の貯蔵庫の水を一瞬で満杯にしたのか!?」

「ええ、まあ」

「あの神樹を創ったのもか!?」

「いや、それはルウナが、」

「おお!これは素晴らしい!救世主が魔術学校に入学すると聞いて、魔の大陸の遠征から帰ってきたのだ!だが、少々そんな偉業を成せるほどの魔力量を持っているように見えないのだが?」

「信じるか信じないかはカリシャさんの判断によります。」

「むう、そうか。それと、さっきから口調が堅苦しいぞ。敬語はやめてくれ。」

「そ、そうですか。」

「やめろと言ったばかりなのだが、、」

「ご、ごめんカリシャ。急に言われてもいきなり変えることって難しいから、、。」

「それもそうじゃな。そうそう、ここに帰ってきたのは救世主との模擬戦をしたかったのだ。せっかくの巡りあわせだ、一戦交えてもらえないか?」

「え、でもさっき日雇いのパーティーのダンジョン攻略があるって言ってなかった?」

「それについては大丈夫じゃ。私の召喚獣をそれぞれにつけているからな。」

「学校の手続きは?」

「執事たちがやってくれている。君たちと同じクラスになれるよう手配してくれるとのことだ。」

「そ、そうでs、、そうか。」

「でも今日はやめてほしい。こっちも何かと色々あって疲れてるんだ。」

「ふむ、そうか。こちらの召喚獣もまだ数匹帰ってきてないからの。だが、明日にはもう私は万全のコンデションになっていると思うが、いいのか?」

「随分と舐めてるな。でも構わないよ、どうせ勝つから。」

「大した自信だな!明日が楽しみだ!せっかくの模擬戦だ。全力で戦いたい。王城の訓練場を手配しておこう。」

「それは助かるな。じゃあまた明日の昼。王城で集合だ。」

「待っているぞ。」

カリシャが踵を返して帰っていく。

間近で見てみると魔力量が人間の範疇に収まっていない。これは調べる必要がありそうだ。

「アトルとクルトはまだ竜が心配ならそっちにいてもらっていい。ルウナ、竜たちを守れるよう結界魔法を張りに行こう。」

「分かった。」

玄関を出て魔力球で飛翔する。竜はでかいし、今回は数が異常だからすぐに見つかった。

ー翌朝ー

昨日結界を張って帰りに王城の図書室に寄って本を何冊かかりてきた。

題名:「召喚士と召喚獣。そして精霊。」「ギルドの階級」「精霊」

これを読んで分かったことといえば召喚獣を数匹使役できる召喚士は初級召喚士、中級召喚士、上級召喚士、三等級召喚士、二等級召喚士、一等級召喚士、特級召喚士の中で一等級召喚士以上の力を持っていると推定されている。召喚獣の基準は二等級戦士以上の力を持つ異形のことを指す。その中でもマナド家は代々強力な召喚士の家計であり、マナド・カリシャはその中で最高傑作であり、神獣級の召喚獣を数匹使役し、そのほか大量に使役している召喚獣も一等級戦士レベルである。

と、正直言って頭のねじが外れても戦いたくない相手なんだが、やると言ってしまった以上やるしかないか、。

ええっと?残りの二冊については、、。

ギルドの基本階級は初級から始まり、特級が最高である。特級と一級では比べられないほどの力量の差があり、現在特級レベルの者たちはこの全大陸で七人だけとのこと(マナド・カリシャはギルド規定に違反したことから特級の称号を剥奪された)。ギルドは全大陸共通のものであり、ギルド協会規定では、ギルド異種大陸協議での戦闘は禁止されており、ギルドに加盟している者たちへの模擬戦による階級上げ以外での戦闘、及び殺傷を禁じられている。世界に多数現れる災害にはレベルがあるらしく、弱い順で

・レベル1 一般人十数名で簡単に制圧可能 被害 最小

・レベル2 中級職一人で簡単に制圧可能  被害 小

・レベル3 中級職三名で制圧可能     被害 中

・レベル4 上級職のみ制圧可能      被害 大

・レベル5 三等級称号持ちのみ制圧可能  被害 特大

・レベル6 二等級称号持ちのみ制圧可能  被害 甚大

・レベル7 一等級称号持ちのみ制圧可能  被害 超大

・レベル8 一等級称号持ち数名で制圧可能 被害 絶大

・レベル9 万能者(オールラウンダー)のみ制圧可能 被害 莫大

・レベル10 特級のみ制圧可能 被害 極大

被害のたとえが分かりずらいな、まあレベル8~10は普通に一国を滅ぼしちゃう程度って考えとくか。

オールラウンダーってなんだろ。ちょっと見てみるか。

【万能者】

戦士、魔術師、治癒師の実力がすべて一等級以上のことを指す。実力は特級に千名ほどで対等に渡り合える。

これってすごいのか?特級とかよくわからないんだが、カリシャは現一級の元特級。規定を破ってその称号を剥奪されたと?いったい何をしたんだ、、、まあそれはひとまず置いておこう。ええっと?精霊についてはと、、

【精霊】

精霊の森にて現存する。様々な種類があり、その魔力、姿はその精霊によって異なる。精霊は気まぐれであり、実力を重んじる。その者が強ければ強いほど強力な精霊が契約を申し出て、弱ければ弱いほど契約を申し出てくる精霊は減り、弱くなっていく。複数の精霊との契約は不可能。

・初級精霊 精霊の中で最も数が多く、契約者も多い精霊。

・中級精霊 戦闘面に向いてるわけではないが、戦えないわけでもない。

・上級精霊 名付けにより、戦闘面でも生活面でもかなりの強力な仲間になるだろう。

・大精霊  現存しているどの種族より強く、気高く、美しい。マナド・カリシャと十大列強のみ契約。

・精霊王、精霊女王 精霊を統べる存在。その気になれば世界の掌握も容易いだろう。契約者、無し。

またカリシャの名前が出てきたよ、十大列強と同じレベルらしいじゃん。やべえじゃんなんかほんとに心配になってきた。もう今日の昼には戦うってのに。もうすでに日和ってるんだけど。まあここは男だ!真正面からぶつかってやる!

ー昼 王城にてー

門の前ですでにカリシャが待っていた。

「お、来たか!楽しみにしておったぞ!」

「ああ、こっちも楽しみだ。それと、カリシャについて少しだけ調べさせてもらったんだが(本に載ってただけ)、もともと特級の称号を持っていたそうだが、何で剥奪されちゃったんだ?」

「む、まさか調べていたとはな、勝手に女子の身辺調査など、なかなかのやり手ではないか!」

「やめろ、ルウナがすさまじい形相でこっち見てる。」

「む、そうか。すまんな。んー、剥奪について今教えてやっても良いのだが、それではつまらん。私に勝てば教えるのに加えて一つ言うことを聞いてやろう。」

「言ったな?」

「うむ。二言はない。私が勝ったら友達になってくれ!」

「ん?友達?もしかして、友達いないの?」

「、、!!貴様にはデリカシーというものがないのか?」

「生憎、そんなものは持ち合わせてないかな。」

「いいだろう!その根性を今回の模擬戦で叩き直してやるわい!!」

「そうしてくれるとありがたいな。」

門を通り、手配してくれたという訓練場に向かう。

「ここ、、?」

「ああ!そうだ!少し狭いか?」

広すぎる。奥まで視野に入りきらない。

「広すぎる。こんなにいらないだろ、、、。」

「そうか?せっかく救世主と一戦交えられると思ったのでな。少々張り切ってしまった。」

「いや、いらねえよ!こんな!奥まで見えねえじゃん!」

「む?もしや身体強化を知らないのか?」

「身体強化?無属性魔法は使えないんだが。」

「身体強化に属性変換はいらん。魔力を纏う感じでいい。」

「本当にできるのか?」

魔力を目に込める。視野が一気に広がり、この国のみならず、大陸を超えた種族すべてを見通した。

脳が焼き切れそうだ。情報量が多すぎる。

魔力を目に込めた時間は0.001秒にも満たないだろう。だが、それだけでここまでの情報量が脳を圧迫し、

その容量を完全にオーバーした。

「どうした?魔力を込めすぎたか?」

心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

「カルマに近づきすぎ。」

「おっと、これはすまん」

若干にやけてカリシャが俺から離れる。

「大丈夫?カルマ、」

「ああ、大丈夫。」

ルウナが俺に無属性魔法をかける。フッと頭の痛みが消え、元の状態に戻る。

「これは驚いたな。治癒魔術を詠唱せずここまで高度だとは。」

「ありがとう。ルウナ。」

今度は体全体に魔力を流してみる。全神経が研ぎ澄まされ、空気の循環すらはっきりと分かる。恐らく、脳に魔力を流しているため、容量が圧倒的に増えたんだろう。その状態でカリシャをみると、何となくだが見えていた魔力がはっきりと目視できた。数匹の莫大な魔力を持つ化け物。その周りにも大量の強力な魔力たち。何より、カリシャ自体の魔力が群を抜いている。思わず腰が抜けて脂汗をかいているのがわかる。

桁違いだ。何もかも。人じゃない。これは絶対に人じゃない。

ルウナに振り返ると、永久に流れ出る絶大な魔力を魔力で囲んで見えにくくしている。だが、その魔力はカリシャでさえも凌駕している。ただその中で恐怖していた。しっかりと自覚できる。目の前の存在に対しての恐怖。だが、妙に落ち着いていた。目の前にいる化け物を前に。はっきりと恐怖している。だが、それと同時に高揚感を得ていた。前世でもこの異世界でも初めての高揚感だった。むくっと起き上がり。

「悪い、少し腰が抜けてしまった。でも、もう大丈夫。お前を倒すビジョンが思い浮かんだ。」

「そうかそうか楽しみだ。」

「ここの結界は貧弱すぎる。ルウナ今できる最大の結界をこの範囲に張ってくれないか。」

「分かった。」

この広い空間の中に絶対に壊れないであろう結界が張られ、俺とカリシャだけがそこにいた。

「それじゃあ始めるか。」

「いいだろう。ルウナ、合図をしてくれ」

いつの間にルウナ呼びになったんだ?まあ今は目の前の存在に勝つことだけを考えよう。

「よーい。はじめ!」

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