まともな生活を目指して
第二話:マイホーム
そうしてルウナと一緒に生活することになったが、こんな森の奥だから頼れる人間はまずいないだろう。ということで。
「まずは家を作ろう」
「家、、?」
「もしかして神様は家で暮らしたことない感じ?ていうか家って知ってる?」
「知らない。人間の文化に興味はあったけど閉じ込められてたから見れなかった。それと名前で呼んで。」
「ああすまん。わかったできるだけ楽したいから力を貸してくれるか?」
「できることなら」
ということでマイホーム作りが始まった。
「じゃあまず必要なものを洗い出そう」
必要なもの☆
・木材
・石(中くらい)
「なんてお手軽なんでしょう!(これ以外思いつかなかった)」
「じゃあ木材から集めようか」
「わかった」
そう言ってルウナは気が密集してるところにてくてく走って行ってその前で立ち止まった。すると次の瞬間あの太くて大きい木たちが一瞬でなぎ倒された。
「え?」
思わず困惑してしまった。だってそうでしょ!?可憐な少女が大木の前で止まった瞬間木が横になってたんだもの。
「ん?え?ん?何したんですか、、、?ルウナさん?」
「風魔法でちょっと触っただけ」
「風魔法?」
確かにルウナはこの世界には魔法の概念があるとは言っていた、が!その風魔法とやらでちょっと触っただけで横幅だけで5メートルの大木があんな簡単に切れるもんなの?
「私とカルマ一つなの私にできることはカルマにもできる。」
「え、マジで!?」
顔をルウナにキスする勢いで近ずけた。そうするとルウナは顔を赤くして目線をそらした。
「教えるから、、いったん下がって、、、」
ルウナから数歩離れる
「体にある魔力を感じて、感じられたら体のどこかにその魔力を送って自分の使いたい属性を風にしてその風を薄く薄く延ばす感じでイメージして一気に放つようにイメージする」
説明しながら実演していたルウナがその風をもう一つの大木に向けて放った。飛ばされた風は地面切り裂き、百メートル先にあるであろう大木とその大木の前にあった木々をすべて切断した。
「すげえ、、、」
圧巻過ぎて語彙力が完全に消失した。
「これ俺にも本当にできるの?全然イメージがわかないですよ、、、?」
「やるだけやってみて」
「はいっ」
体にある魔力を感じる、、、あった、、これを指先に送って、、、風にしたい!
「スウウッ」と指先から音がした
これを薄く延ばして、、飛ばす!!
集中して閉じていた眼を開けると目の前一帯に立っている木はなかった。
「ここまでとは思ってなかった、、、」
ルウナもこれには驚いているご様子。
「でもここまで切り倒すとやりすぎてる。再生させないと。」
ルウナがここら一帯に魔力を巡らせた。巡り切った時木の幹から新しい木が生えてきた。
「これも、あれを使えるカルマなら簡単にできると思う」
「これはマジでできる気がしないよお?」
「やり方は教える。属性を消して魔力だけの状態にして切断面から魔力で細胞を再構築するの」
とりあえず言われたとおりにやってみよう。
「属性は消す。」
今自分がまとっている魔力の変化が全くわからん。おそらくできていないんだろう。
「あれ、ルウナさん?属性を消すこと自体ができないんですけど?」
「おかしい、私にできることは全部カルマにもできるはず、、、」
「カルマには回復魔法は向いてないのかも」
「あ、そうですか、、、」
わかってはいても言われると案外失望された感がつらい。
「まあ、得意不得意はあるよな!まずは家を作り終えてから考えよう!」
「うん」
そこから集めた大木たちを風魔法で浮かせて近くを流れる川の隣に大木を置いた。
「よしこの辺がいいかな」
「何でここにしたの?」
「水源が近くにあるといろいろ便利だからかな」
「そうなんだ」
「よし、じゃあこれから夢のマイホーム作りを始める!」
「おー」
「まず風魔法でそこら中から集めてきた石たちを土魔法で薄い正方形になるように固めてくれ」
「ん、、」
大量に集めてきた石が土魔法で形を変えて薄い正方形になっていく。
ほんとにすごい便利だな、あとで教えてもらお。
「できたら、その土台がぴったり収まるくらいの穴を掘ってくれないか?そこにその石の土台を入れていこう」
無言で俺の言ったことを忠実にこなしていっている。神は案外傲慢な性格じゃないのかも。
「それじゃあこの大木を半分に切って断面の木くずとかがなくなるよう風で取っ払っておくからルウナはそのでっかい木をどんどん角材にしていってくれ」
「ん」
大体の木材の加工が終わったころ。ルウナのおなかが鳴った
「腹減ったのか?」
「ちょっとだけ」
「わかった。ちょっと待ってろ」
とりあえず川魚を取りに川を風魔法の応用で探索した。すると川下に魚が密集しているところがあり、少し下って行った。
ピラニア?鯉?見たことのない大きな魚が大量にいた
「何の魚かわからんけどこりゃ大漁だ」
風魔法を指先から飛ばした。着水すると川の水ごと魚が宙を舞った。そこを風で覆って宙に浮かしながら持ち運んだ。帰ってくると建築途中のマイホームの前でちょこんとうつむきながら座っているルウナがいた。
「ただいま」
そう口にした瞬間ルウナが飛びつきながら抱きしめてきた。
「怖かった、、、、一人にしないで、、」
そう言いながら俺の胸で泣いていた。第一小さくなった俺の胸なんて全く抱き心地がないであろうに。
そんなこともありつつ持って帰ってきた魚は串焼きにしておいしく食べさせていただきました。
もう夜遅いこともあり、今日は眠りにつこうと思う。でもやっぱり寒いのでルウナが冷気を遮断する風のカーテンを張ってくれた。おかげでぐっすり眠れそう。
ー早朝ー
朝早く目覚めてしまった。そして異世界生活早くもビッグイベント到来中でございます。
ルウナさんが半身を俺の体にのっけて寝ているではありませんか。
心の声「これはかなりの好待遇ッ!!だが!俺はこんな外で無防備に寝ているわけにはいかない!安全に生活するためにも早く夢のマイホームを完成させないといけないというのに!起きたくない!!!!
まだこの幸せに浸っていたい!ぶつぶつぶつぶつ、、、、、」
結局この後、起こさないようにゆっくり自分だけ起きたカルマ君なのであった。
土台と木材加工を完成させたということで家の外壁を作っていこうと思う。かなりの高さと太さのある木だから横に四等分して二階建てにしようと思う。
「そろそろ起きろよルウナ」
「ん、んん、、」
うなるだけでなかなか起きようとしない。まあ、昨日はすごい手伝ってもらってたから作るだけ作っておこう。
ー数時間後ー
昼過ぎ、家の外壁と内装、玄関の建築が終わった。
「ん、んあ~」
独特の起き方をしたルウナがマイホームを見て目を丸くしている。
「んーとどうだ?必要最低限の生活環境は整えたんだけど」
「すごい」
起き抜けの緩くなった表情で言われると男ならときめいてしまうものがある。
「じゃあ入ろうか」
そう言いながら起き抜けでへたり込んでいるルウナを引っ張ってマイホームに入っていく。
目の前には普通の大きさの木からとった白いテーブルとイス。その周りには角材で作ったソファー、因みにソファーの中身は風魔法でこれでもかというほど乾燥させた干し草を干し草で編んだ袋に入れて結び、クッションにしたものを使っている。
キッチンはルウナがやっていた石を固める土魔法を再現して、石窯と釜戸を作って、釜も土魔法で石の形を変えて再現してみた。
二階は屋根と天井が分かれていないため無駄に広いベッドルームになっている。天井を開けて日が差し込むようにして、夜は月が見える設計にしてみた。正直眠りずらいから後でふさいでおこう。
ベッドも角材で二つシングルベッドを作って自分用とルウナ用をタンスを一つ挟んでおいている。
「なんで分けるの?」
ここまで喋らなかったルウナがいきなり聞いてきて戸惑いながらも返答した。
「そ、そりゃあ子供の姿だけど男女だからね?もちろんいやってわけじゃないけどね?」
我ながらどもっていたと思う。恥ずッ。
「嫌じゃないなら、」
無表情で結構な大きさのタンスを風魔法でベッドと反対の壁に叩きつけて、二つのベッドの間を無属性魔法の細胞の再構築でベッドとの間を埋めてしまった。
「これでいいよね?」
終始無表情だがかなり恐怖を感じた。