5(:D)┓ペコリンチョ
パシンッ。
「キャっ!!」
(ハァ━━━━(^q^)━━━━ン!!)
(アイラ殴られてるぅ━━━━(^q^)!!)
(不可避イベなんか━━━い(^q^)!!)
ロザリアに平手打ちされたアイラは、レオナルドの護衛に後ろ手を捕まれ拘束されている為、倒れることなく姿勢を保ったままただ呆然と目を見開きロザリアを見ていた。
(時子ぉ!時子おおおぉぉお!!!ダメだったみたぁい!!)
【………】
(黙ってないで何とか言ってよぉ時子ぉ!)
【…いえ、殿下に庇われた後に殴られてるなら、護衛の拘束は解かれてるハズ…ではないかしら?】
(!!!)
そうだった!
時子に言われて気付いたけど、前の平手打ちイベとはちょっと景色が違う気もする。
前みたいにレオナルドはアイラの前に立たずに、椅子に腰掛けたまま紅茶を飲んでいたようで(アイラが目の前で拘束されたのに)、平手打ちが飛んだ瞬間噎せてお茶を吹いていた。
(ちょっと様子を見てみようか…)
【そうしましょ】
そう言って視線を戻すと、ロザリアは呆然とするアイラに背を向けるとレオナルドに跪き頭を下げた。
「っ?!ロージー?」
「レオナルド殿下。申し訳ありません。この者は我がウィルス領の領民です。…わたくしが殴ったからって罪が軽くなる訳ないって事は重々承知しております。ですが罰ならわたくしが受けます。なので…アイラさんは赦して頂けないでしょうか?」
「やめてくれ、ロージー。君が頭を下げる必要なんて何処にもないんだ」
レオナルドは慌てて立ち上がり、ロザリアに駆け寄るとロザリアの前に膝を付き彼女の肩に両手をかけた。
「…アイラさんはわたくしの友人ですわ。……レオお願いよ」
ロザリアの声は震えている。
(ね、不敬罪?ってそんなに重たい罪なの?)
【…不敬の度にもよるけど…、コレは不敬ではなく危害を加えられたと、そう捉えられてるかもしれないわね】
(危害……?もしかしなくてもだけど…王子様に攻撃なんてしたら…)
【…極刑は免れないわね】
(なんて世界…:(´◦ㅂ◦`):)
「分かった!分かったから!!顔を上げてくれ!先程の件は不問にするからっ!」
「ホントにっ?!」
「殿下!!?」
レオナルドの言葉に喜び顔を上げるロザリアと、焦る護衛。
アイラは未だに呆然としている。
「カイン放してやれ」
「で、ですが殿下っ」
「ロージーの友人なら、私の友人も同然だ。お前は私の友人を捕えるつもりか?」
「…はいはい。分かりましたよ。…ホント昔っから殿下はロザリア様に甘いんだから」
そうため息を吐くカインと呼ばれた護衛は、「ロザリア様に感謝するんだな」とアイラを解放した。
へなへなへなとその場に座り込むアイラに駆け寄ると、イタズラっぽい笑顔をカインに向ける。
「…あら、カイン様はレオに甘々だってこと知ってますわよ、わたくし」
「僕はレオナルド様の侍従だから逆らえないだけですぅ」
カインはプイッとそっぽを向いた。
(…やばいカイン可愛い。ツボ)
【…カイン様にも婚約者いますわよ】
(……いや、文字通り住む世界違うんで。分かってます)
「…ロザリア様ぁ!!ありがとうございます!こわ、怖かったですぅぅ!!!」
そう言って泣きじゃくるアイラの頭をロザリアが優しく撫でる。
その様子をみてギリリと歯を噛み締めるレオナルド。
……あぁ、違った意味で嫉妬を煽ってしまったみたいです。
そしてこの一連の出来事は、ロザリアが聖母でそんなロザリアに王子様はベタ惚れのご様子だと瞬く間に広まったそうな(((uдu*)ゥンゥン