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とある狂人の語り  作者: 長谷川真吾
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とある狂人の語り

 原初の記憶は、くるくると回る天上のおもちゃ。

 僕は何を思い悩むでもなくそれをただ見ていた。

 母曰く、癇癪を起して泣き叫ぶ子であったらしい。


 僕は現在、統合失調症と診断され、狂気の最中にいる。

 自分ではないモノの声が、聞こえるのだ。

 ボーッとしていると、僕の中の狂気なのか、それが僕の唇を奪って何事かを話しかける。

 それを母親は人の想念であると言っていた。

 僕の母もまた、僕から見れば狂気を孕んでいた。

 普段はやさしい母だったのだが、怒り出すと手が付けられない。

 ご飯を食べているときに、僕が睡魔に襲われ居眠りをしてしまったことがあった。

 母は僕を怒鳴りつけ、左手にたばこの火を押し当てた。

 僕はお風呂が大嫌いで、いつもカラスの行水だった。

 なぜか?

 母は怒るとよく僕を風呂に沈めたのだ。

 母の記憶と僕の記憶に齟齬がある。

 母はそれらのことを覚えていて、それを他人の想念というモノの責任にしたのかもしれない。

 だが、僕は最近、ついぞ僕の記憶が飛ぶという経験をした。

 去年の11月からの緊急入院は二か月に及んだ。

 だが僕は、猛烈な眠気に襲われており、記憶がないどころか、実に奇妙なモノを見たのだ。

 目を覚ますたびに病棟の様子が違う。

 日本人しかいないはずの精神病院に担ぎ込まれていたあのアラブ人を僕はよく覚えている。

 どう見ても病院の構造そのものが違っていた。

 あれは果たして誰であったのか。そして、その入院のきっかけとなった、幻聴のガブリエル曰く、仮想黙示録戦闘と、あの夜に起きた時間停止の事実。

 それはおいおい語るとしよう。

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