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第9話 新しい装備を作ってもらうよ

 


 ヒナタの案内で訪れたのは工業区で、生産職の人のために解放されている公用の生産施設だ。

 エルセーヌの政府が管理している施設で、それほど良い設備があるわけではないけど低い利用料で利用できるので、サービスが始まったばかりの現在はほとんどの生産職プレイヤーがこの施設を利用している。


 まだ、プレイヤーが自分のお店を持ったりなどはできない。単純にお金がないのだ。


 ちなみに、エルセーヌの政府の役割は神殿が担っていて、神権政治のような統治形態となっている。違う点は神(運営)が本当に存在していて、実際に政治を動かしているところだ。

 NPCにプレイヤーが普通に受け入れられているのは、神(運営)がそうするべし、と定めたからなのである。


「たしか、七番だったかな?」


 施設の中は受付以外の部屋は全て完全な個室となっていて、ヒナタは扉の上に『七』と書かれた部屋の前で立ち止まった。


 周りには賑やかに談笑していたり、静かにウインドウを操作していたりと様々なプレイヤーがいる。思えば、ヒナタ以外のプレイヤーと関わるのはこれが初めてとなる。少し緊張して来た。


 そんなことを考えながら周りを見渡しているとヒナタがウインドウを操作し始めた。

 これから会う生産職の人に連絡しているのだろう。


「すぐに出てくるって、ちょっと待ってよ」


「うん」



 ☆



 それから少しヒナタと話しながら待っていると、ガチャリという音ともに扉が開いて中から一人の女の子が出て来た。


「ヒナタさんと、友達の子ですね。とりあえず部屋の中に入ってください」


 女の子に促されて部屋の中に入る。女の子の身長が思ったよりも低く、その見た目に似合わない丁寧な物腰に少し面食らってしまったが、気を取り直して自己紹介することにした。


「えっと、初めまして。わたしはエレーナです」


「はい、ヒナタさんから聞いていますよ。私はクルネです。それと、変に畏まらなくて良いですよ。私のは癖ですので気にしないでくださいね」


 そう言いながら笑いかけてくるクルネ。

 その言葉に思わずヒナタにジト目を向けてしまう。わたしは何も聞いてなかったんだけど。

 そんなわたしの視線に気づいたのかヒナタが顔を逸らす。まぁ、怒ってるわけではないから良いけどさぁ……


 改めてクルネに視線を向ける。第一印象で真っ先に思った通りに身長の低さが気になった。一四〇cm前後くらいだろうか? わたしもあまり身長は高い方ではないけど、クルネはそれ以上に低い。


 緩くウェーブしたロングの赤い髪に赤い瞳で、口調や所作も合わさって大人っぽい雰囲気のある少女、といった感じだろうか。

 しかし、VRゲームの年齢制限もあるので、見た目通りの子どもというわけではないだろう。


「私はこう見えても成人していますよ」


「あっ! えっと、ごめんなさい……」


 まじまじと見すぎていたようだ。わたしの視線の意図に気づいたクルネは苦笑を浮かべながら説明してくれる。

 かなり優しい性格っぽいクルネは何ともないような様子だが、それはそれとしてかなり失礼なことをしたと思う。今後は気をつけないと。


「それで、クルネにはあたしとエレーナの装備を作ってもらいたくて」


「装備と言っても、色々ありますが具体的にはどのようなものを? 私の持っている生産スキルは【鍛治】【裁縫】【細工】ですよ」


「とりあえず、最初は防具かなって思ってるんだけど」


 そう言いながら、ヒナタはインベントリからミラージュ・ラビットの素材をはじめとしてフール・ラビットとローリン・バグの素材も並べ始めた。

 それに倣ってわたしもインベントリから素材を取り出す。【不死鳥の羽根】を取り出そうか一瞬悩んだが、ヒナタが出していないのでわたしも一先ずこれは保留にすることにした。


「この素材で作って欲しいんだ。あたしのが軽鎧でエレーナのは……ローブかな?」


「うん、わたしのはローブでお願い」


 他の後衛職の人がどんな防具を装備しているのかはわからないけど、魔法使いならローブというイメージがある。ヒナタもローブを作るべきだと考えているようだしその意見に乗っかる。

 わたしはカタチから入る魔法使いなのだ。


「ミラージュ・ラビットの素材がまさか二日目で出てくるとは、話には聞いていましたが驚きました」


「それで、作れる?」


「はい、問題なく作れますよ。時間はいただきますが、今日の夜か遅くとも明日までには完成するはずです」


「おっけー! それでお願い! エレーナもいいかな?」


「大丈夫だよ。クルネ、お願いね」


「はい、任されました。残った素材はこちらで引き取りますか?」


「割引しといて!」


「承りました」


 そう言って微笑むクルネ。やっぱり大人っぽいなぁ。



 ☆



 クルネと別れたわたしたちはその足で、サンドラさんのお店の【ノーラ魔法店】に行くことにした。昨日のボスラッシュで二人ともポーションを切らしてしまっていたからだ。


 あの後、お金がないことを思い出したわたしはクルネから素材の一部の分の買い取り料を先にもらってきた。しめて、一万ジュエルだ。一気に大金持ちになった気分である。


 わたしたちは思ったよりも多くの素材を手に入れていたようで、まだ市場にほとんど出回っていないミラージュ・ラビットの素材の買い取り料も合わせてかなりのジュエルを稼いでいた。

 クルネが言うには、素材の量を考えればローブを買えるだけのジュエルは残るとのこと。だから心配はいらない。


 そうこうしている内に【ノーラ魔法店】にたどり着いた。二回目ともなると周りの雰囲気に怯えることもない。別に昨日も怯えていたわけではないけど。


 お店の中に入ってみると、サンドラさんは留守にしているようだった。人払いの魔法を使っているとはいえこんな無用心で果たしていいのだろうか?

 わたしが心配するようなことではないのかもしれないけど、やっぱり少し心配に思ってしまう。


 しばらく待っていると、お店の入り口の扉が開き焦った様子のサンドラさんが帰ってきた。


「アルマか!?」


「え、えぇと、お邪魔してます……」


「何だ嬢ちゃん達か……」


 そう言って脱力したように杖に体重を預けるサンドラさん。どうやら、何かがあったようでその顔色はかなり悪い。


「何があったかわからないけど、とりあえず! おばあちゃんは休んだ方がいいよ、顔色すっごい悪いよ!」


 ヒナタもサンドラさんの尋常ではない様子に気づき、すぐに休むように言った。

 わたしもヒナタの意見には賛成である。このままなのは絶対よくない。


「しかしじゃな……」


「話を聞かせてください。わたしたちで協力できることなら協力しますから」


 ヒナタもわたしの言葉に当然だ、とでも言いたげに頷いている。


「あ、あぁ。正直……助かる。協力しとくれ」


 そう言って憔悴した様子ではあるが、先ほどよりも幾分落ち着いたサンドラさんはゆっくりと話し始めた。







お読みいただきありがとうございます!


以下、作者が忘れないためのメモです。

エレーナ

【本】【占術】【知力強化】【環境破壊】【闇魔法】【水魔法】【集中】【奇策】

〈火の書・初〉〈夢幻兎の腕輪〉

ヒナタ

【剣】【筋力強化】【敏捷強化】【弱点攻撃】【軽業】【挑発】

〈蜃気楼の腕輪〉

作中で出てきていないスキルもありますが、後に作中で説明する予定です。

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