はじめてのきみ。
初投稿作品です。
お見苦しい文章かもしれませんがよろしくお願いします。
噂では聞いていた。
入学して半年も経たないこの学年の問題児。
けど、自分にはまったく関係のないものだと思っていた。
今年の4月。
私、金井なつみは晴れて高校に入学した。
私は、「優等生」とまではいかないけど、いたって真面目な普通の生徒。
何よりも、中途半端にかっこつけた「問題児」が大嫌いだった。
『ゆうと』
最近、私のまわりでよく聞かれる知らない名前。
人の名前を覚えるのが苦手な私でさえ覚えてしまった。
「ねぇゆうと知らないー!?あいつ、まみの消しゴムもって行きやがったぁ!」
「ゆうとならさっき、さっちの後追いかけてたよー?」
感心するほどの元気の良さで、『ゆうと』を探している女の子。
それに答えたのも、同じくらい元気で派手な女の子たち。
『ゆうと』という人は女子に人気があるらしい。
「ゆうとのやつ、また昇降口の窓ガラス割ったらしいぜ〜。なんであそこでバスケやりだすんだか。マジウケるよなぁ、あいつー」
「なぁに〜?ゆうとがまた窓割ったってー?!あのバカはもう〜!」
『ゆうと』は男子にも教師にも人気があるらしい。
私の中で、またひとつ『ゆうと』の知識が増えた。
「なっちゃん!なっちゃん!」
放課後、一人教室で委員会の仕事を片付けていると可愛らしい声が自分の名前を呼んだ。
元気良く小走りで私の席までやってきた可愛らしい女の子は、
同じ中学で同じクラスの親友・結城りなちゃん。
・・・?
その後に続いて、男子が2名入ってきた。
誰だろう・・・。人見知りの私は少し警戒しながら視線を上げた。
1人は、名前はわかわないけど確か隣のクラスの人だった気がする。
無駄にテンションの高い私が苦手とするタイプだ。
もう1人はまったく見覚えのない男の子だった。
長身で色が白く、鼻筋の通ったシャープな顔立ちをした、いわゆる美形。
「あの、急にごめんね?私もさっきまで委員会で、さっきなっちゃんの話したらこの2人がどうしても会ってみたいって・・・。なっちゃんが初対面の人苦手なのわかってるんだけど!でもなっちゃんのこと自慢したくて・・・!」
「りなちゃんちょっと落ち着いて・・・。」
「怒ってる・・・!?なっちゃん怒ってるの・・・!?ごっごめんね!?わっ私なんでもするからっ怒らないで〜!!お願いなっちゃんー!」
「りなちゃん、怒ってないから。」
一人あせりまくるりなちゃんを落ち着けていると、後ろの2人から笑い声が聞こえた。
「なんかコントみたいだなぁ!あ、俺2組の武田真二ね!」
タケダシンジ・・・?うーんやっぱりピンと来ない。
もうちょっと名前覚えなきゃなぁ、少し反省。
「こっちは、須崎裕斗ね!かっこいいでしょ〜?」
「え・・・?」
思わず耳を疑った。
『ゆうと』ってあの『ゆうと』だろうか・・・。
まじまじと目の前のきれいな顔を見てしまった。
ふいに目が合う。
――っ!?
一瞬何が起こったのかわからなかった。
「ゆうとくん!?なにやってるの!なっちゃんびっくりしてるじゃない!!」
気づけば、『ゆうと』という人物に抱きしめられていた。
「きみは俺の彼女になる。」
頭が真っ白になった。
ご愛読ありがとうございました。
一応このまま短編としてシリーズ化していこうと思っています。気が向いたら次の話もよろしくお願いします。