休日だからじゃん
「日曜しか休みないんだから!持ってきなさいよ!!」
”バカヤロー!こっちは休みなんかねぇんだよ!”
そんな返しをしてやりたい注文もある。
心の邪気は堪えて、
「分かりました、当社の方でひとまずご検討しますので!」
「あんた達社蓄はずっと働いてなさいよ!それしか能無いんだから!!」
ある問題に取り掛かる。どちらにとっても、これが難しいものだ。
できるかできないか。
ではなく、やるメリットとやらないメリットというバランスの問題。
◇ ◇
「は?日曜日に配達しろ?」
なんでこんな問題が部長クラスまで届くのか、これが分からない。
日曜日の多くは仕事の大半がお休み、または業務時間の縮小などもやっている。それでも日曜日だからこそ、お忙しい仕事というのもある。
平日を主にやっているが、休日もやって欲しいサービスはあるだろう。
役所とかはホントにこれ思う。
だが、そんな仕事をこなしてしまうと、日曜日を休みたいという気持ちが分かってしまうジレンマ。
「希望してる荷物は分かるぞ。だが、到着分の全てを配達しろって。蓮山……」
「不可能じゃないけれど、無理だよね。山口部長」
日曜日も仕事はしているが、その仕事内容は主に、配達のご希望をされているお客様のみの対応である。
別に急ぎじゃない荷物、周り切れなかった荷物は人数が集まる月曜日からの配達となる。
いや、日曜日も配れよって思う方もいるんだが
「こっちのコストもあるんだ。車出すのもタダじゃない。そもそも、他の企業とかは休みだし、適正人数集めてもしょーがねぇ。月曜日や平日はどーすんだよ?特に月曜日の配達が遅れると、文句を言う会社はそれ以上だし、上客なんだぞ」
「休み飛ばして出てこいしか、言えないね」
ここ最近。
休日でも働けこのヤローという要望が頻繁してきた。
ただその、頻繁という度合いはその日に2,3件。何千とあるお宅の中からの、2,3件と考えるとあまりにも少なすぎる要望。
社内での反対派の数はかなり多い。だが、一部の賛成派として月曜日の仕事が楽になる。こんな申告を対応しなくて済むというメリットだ。
しかし、山口部長が難色を示しているのは日曜日も配達するとしたら、何人かは休みを飛ばしてもらう必要があるし、コストも当然掛かる。それに加えて、早く届けたいとか受け取りたいのなら、それができるサービスを利用して欲しいのだ。
簡単に相手方の言い方は。
”さらに安く、早く届けに来て”
というメチャクチャな要望。
そんな極論でもあるのだ。なんのために、色んなサービスがあるというのだ。
企業を考える、山口部長。
当然の如く、反対派。
「従業員をこき使うのには賛成なんだがよ。日曜に関しちゃいらねぇよ。客同士のやり取りに、俺達が介入してやる必要はねぇ。個人でやる分は違うが」
一方で、蓮山部長はお客様寄り。
「でも、なんとかしてあげたいんだけどね」
荷物を受け取りたい。ご利用していただきたいという気持ちには共感。
でも、結局のところ、その要望のお困りポイントとして
「一体誰が、早くなんの荷物を欲してて、なんで終業間際か翌日に連絡を入れてくるのかなーってところなんだよね……。そうじゃない客の方が圧倒的に多い。手っ取り早くするなら、全部配るしかない」
日曜日に荷物を確認してくること事態は珍しくない。そして、それに対応するのは簡単な方だ。
大問題としてその事例の多くが、コールセンターがやっている超ギリギリのタイミングだったり、翌日に電話をされることなのだ。
”待ってたんなら、連絡してくれない?”
これさえしてもらえれば。遅くても、夕方までにしてくれれば対応ができる。
受け身でやる案件な分、本当にポイント。21:00に帰ってきた配達員にもう一度、現地に行かせて、客に怒られるとか。精神の磨り減りがハンパではない。
「まー、ものは試しさ。日曜日に休み飛ばして働きたい人もいるだろ?休日手当ての人とか。その人達を出勤させてできるかどうか試そう」
「俺、嫌なんだよなぁ。ま、蓮山が言うなら口を出してみるわ。でも、俺は絶対イヤだわ」
そんなこんなで休日の出勤体制を変えることに……。
◇ ◇
「ぎゃはははは!めっちゃウケるーー!」
「なーっ!これ面白ぇだろ!」
「いけーーー!アクソンダイオーー!俺の単勝ぉぉぉーー!」
「桐島、ホームラン!!逆転だーーー!!」
そんなこんなで、休日に暇している哀れな社蓄共が出社。しかし、その様子は平日のそれとはまったく違う。休日にあの堅苦しくて偉そうで、日差しも浴びずに机で踏ん反り帰っている連中はこぞって休み。馬鹿デカイ声出して、騒いでも問題なし!
漫画見てたり、タバコを吸ったり、音楽聴いたり、野球や競馬を聴いてたり……。さすがに飲酒はしないが、平日とはうって変わってやりたい放題。
なにせ、仕事量がメチャクチャ少ないのに増員!本来ある企業関係の荷物は、留め。住宅の多い地域では配達が多くても、平日ほどではなく。企業ばかりの地域は配達しなくていいのがほとんど。でも、会社は仕事がなくても居てくれというし、監視の目もない。ならばハッチャける。ツイッターとかに投稿したら、業務態度悪いと言われかねない暴れぶり。
「仕事してる気0だろ、こいつ等…………」
「まぁまぁ、息抜きも大事じゃないか。休日返上でしてくれてるわけだし」
「俺とお前はサービス残業じゃん」
隠れて出勤してみたら、この体たらく……。管理者がいる事ねぇし、その管理者ですら上司という俺達がいねぇからはっちゃけるし……。ま、休日だから事故さえなけりゃいいと、大目に見ている山口部長と蓮山部長。
「休日手当ては大きいし、休み飛ばしたのもあるし、仕事はねぇのに勤務時間はクソ長いし、ほとんど自由に遊べるとかサイコーの休日出勤だな!」
「金もらえる休日とかマジでいいわ」
「平日の惨いキツさに対して、この休日の楽さ!!蓮山部長、素晴らしいご提案だぜ!」
「ま、休日もキツイが。働いている人間少ないだけの問題だしなー」
「到着分の荷物までやるのは面倒だけど、増員してくれりゃ問題ないしな」
テメェ等、2時間近く社内で遊んでんじゃねぇよって。イライラしながら見守っている山口部長。
お前等が社内で遊び、スマホやゲーム機を充電しているところを含めて、会社にコストが掛かっている事を叫びたい。
今日は休みだから止めてやるが……。
「月曜日のミーティング、めっちゃ長く喋ってやろう」
「地味過ぎる嫌がらせ止めなさいよ、山口部長」




