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今日から学校と仕事、始まります。②莞

休日だからじゃん

作者: 孤独

「日曜しか休みないんだから!持ってきなさいよ!!」


”バカヤロー!こっちは休みなんかねぇんだよ!”


そんな返しをしてやりたい注文もある。

心の邪気は堪えて、


「分かりました、当社の方でひとまずご検討しますので!」

「あんた達社蓄はずっと働いてなさいよ!それしか能無いんだから!!」


ある問題に取り掛かる。どちらにとっても、これが難しいものだ。

できるかできないか。

ではなく、やるメリットとやらないメリットというバランスの問題。



◇        ◇



「は?日曜日に配達しろ?」


なんでこんな問題が部長クラスまで届くのか、これが分からない。

日曜日の多くは仕事の大半がお休み、または業務時間の縮小などもやっている。それでも日曜日だからこそ、お忙しい仕事というのもある。

平日を主にやっているが、休日もやって欲しいサービスはあるだろう。

役所とかはホントにこれ思う。

だが、そんな仕事をこなしてしまうと、日曜日を休みたいという気持ちが分かってしまうジレンマ。


「希望してる荷物は分かるぞ。だが、到着分の全てを配達しろって。蓮山……」

「不可能じゃないけれど、無理だよね。山口部長」


日曜日も仕事はしているが、その仕事内容は主に、配達のご希望をされているお客様のみの対応である。

別に急ぎじゃない荷物、周り切れなかった荷物は人数が集まる月曜日からの配達となる。

いや、日曜日も配れよって思う方もいるんだが


「こっちのコストもあるんだ。車出すのもタダじゃない。そもそも、他の企業とかは休みだし、適正人数集めてもしょーがねぇ。月曜日や平日はどーすんだよ?特に月曜日の配達が遅れると、文句を言う会社はそれ以上だし、上客なんだぞ」

「休み飛ばして出てこいしか、言えないね」


ここ最近。

休日でも働けこのヤローという要望が頻繁してきた。

ただその、頻繁という度合いはその日に2,3件。何千とあるお宅の中からの、2,3件と考えるとあまりにも少なすぎる要望。

社内での反対派の数はかなり多い。だが、一部の賛成派として月曜日の仕事が楽になる。こんな申告を対応しなくて済むというメリットだ。

しかし、山口部長が難色を示しているのは日曜日も配達するとしたら、何人かは休みを飛ばしてもらう必要があるし、コストも当然掛かる。それに加えて、早く届けたいとか受け取りたいのなら、それができるサービスを利用して欲しいのだ。


簡単に相手方の言い方は。


”さらに安く、早く届けに来て”


というメチャクチャな要望。

そんな極論でもあるのだ。なんのために、色んなサービスがあるというのだ。

企業を考える、山口部長。

当然の如く、反対派。


「従業員をこき使うのには賛成なんだがよ。日曜に関しちゃいらねぇよ。客同士のやり取りに、俺達が介入してやる必要はねぇ。個人でやる分は違うが」


一方で、蓮山部長はお客様寄り。


「でも、なんとかしてあげたいんだけどね」


荷物を受け取りたい。ご利用していただきたいという気持ちには共感。

でも、結局のところ、その要望のお困りポイントとして


「一体誰が、早くなんの荷物を欲してて、なんで終業間際か翌日に連絡を入れてくるのかなーってところなんだよね……。そうじゃない客の方が圧倒的に多い。手っ取り早くするなら、全部配るしかない」


日曜日に荷物を確認してくること事態は珍しくない。そして、それに対応するのは簡単な方だ。

大問題としてその事例の多くが、コールセンターがやっている超ギリギリのタイミングだったり、翌日に電話をされることなのだ。


”待ってたんなら、連絡してくれない?”


これさえしてもらえれば。遅くても、夕方までにしてくれれば対応ができる。

受け身でやる案件な分、本当にポイント。21:00に帰ってきた配達員にもう一度、現地に行かせて、客に怒られるとか。精神の磨り減りがハンパではない。


「まー、ものは試しさ。日曜日に休み飛ばして働きたい人もいるだろ?休日手当ての人とか。その人達を出勤させてできるかどうか試そう」

「俺、嫌なんだよなぁ。ま、蓮山が言うなら口を出してみるわ。でも、俺は絶対イヤだわ」


そんなこんなで休日の出勤体制を変えることに……。


◇        ◇


「ぎゃはははは!めっちゃウケるーー!」

「なーっ!これ面白ぇだろ!」

「いけーーー!アクソンダイオーー!俺の単勝ぉぉぉーー!」

「桐島、ホームラン!!逆転だーーー!!」


そんなこんなで、休日に暇している哀れな社蓄共が出社。しかし、その様子は平日のそれとはまったく違う。休日にあの堅苦しくて偉そうで、日差しも浴びずに机で踏ん反り帰っている連中はこぞって休み。馬鹿デカイ声出して、騒いでも問題なし!

漫画見てたり、タバコを吸ったり、音楽聴いたり、野球や競馬を聴いてたり……。さすがに飲酒はしないが、平日とはうって変わってやりたい放題。

なにせ、仕事量がメチャクチャ少ないのに増員!本来ある企業関係の荷物は、留め。住宅の多い地域では配達が多くても、平日ほどではなく。企業ばかりの地域は配達しなくていいのがほとんど。でも、会社は仕事がなくても居てくれというし、監視の目もない。ならばハッチャける。ツイッターとかに投稿したら、業務態度悪いと言われかねない暴れぶり。


「仕事してる気0だろ、こいつ等…………」

「まぁまぁ、息抜きも大事じゃないか。休日返上でしてくれてるわけだし」

「俺とお前はサービス残業じゃん」


隠れて出勤してみたら、この体たらく……。管理者がいる事ねぇし、その管理者ですら上司という俺達がいねぇからはっちゃけるし……。ま、休日だから事故さえなけりゃいいと、大目に見ている山口部長と蓮山部長。


「休日手当ては大きいし、休み飛ばしたのもあるし、仕事はねぇのに勤務時間はクソ長いし、ほとんど自由に遊べるとかサイコーの休日出勤だな!」

「金もらえる休日とかマジでいいわ」

「平日の惨いキツさに対して、この休日の楽さ!!蓮山部長、素晴らしいご提案だぜ!」

「ま、休日もキツイが。働いている人間少ないだけの問題だしなー」

「到着分の荷物までやるのは面倒だけど、増員してくれりゃ問題ないしな」


テメェ等、2時間近く社内で遊んでんじゃねぇよって。イライラしながら見守っている山口部長。

お前等が社内で遊び、スマホやゲーム機を充電しているところを含めて、会社にコストが掛かっている事を叫びたい。

今日は休みだから止めてやるが……。


「月曜日のミーティング、めっちゃ長く喋ってやろう」

「地味過ぎる嫌がらせ止めなさいよ、山口部長」

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