-この世界の広さ- 続き
驚いたローズは畑仕事をしている住人に変な人が来たと喋りまわった。
僕への噂はそこから流れてきたんだと思う。
村長の家につくと旅人は自分はジーマという医者だという事と、旅をしながら医者をしている物だと説明し、「まず始めに診断をさせて頂きたい」と交渉をし始めた。
村は体の悪い住人が多く、村長は怪しみつつも、カートさんと一緒に行動させる事を条件にその提案を飲んだ。
早速旅人は各家に行き診断を始めると、旅人は次々と患者に薬や治すアドバイスをしていった。医者の診断は的確かつ早かった。そんな中、咳が止まらないというルマおばあさんの診断の時だった。
「カートさん少し患者さんと二人きりにしてくださいませんか、それとルマさんの治療をする際に目隠しをして欲しいのです。」
「それは見られてはいけない事があるという事か?」カートさんは尋ねる。
「はい、すみません治療の中で知られてはいけない事があるんです。」
ルマさんはカートさんに向かって「大丈夫なのカートさんこの人?」と言った。
「うーむ」
カートさんはそれまでの診断を見ていて柔らかく適切な治療をしているという印象を持っていた。
少しだけ信頼し始めていたカートさんは、見てはいけないという条件を怪しいと思いつつ少し考えた。
旅人は「お願いです、私の持っている荷物を全てお渡しするので」と荷物と上着を脱いだ。
カートさんは「待て、私にだけ見せてくれ、絶対に口外はしない必ずだ」と言った。
ルマさんも「カートさんが見守ってくれるなら私は目隠しをしてもかまいませんよ」と言い、ジーマ先生は少し悩み絶対に驚かない様にしてください、お願いしますと承諾した。
数分後治療を終えるとルマさんの咳は止まった。カートさんは目の前で起きた事に驚いたが不思議なあたたかみも感じていた。