大精霊からのお願いとピッタリな職業
「空間の大精霊?」
周辺を見渡すが誰の姿も見えない。
…姿見えないのが最近の流行りか?
《失礼しました。今、姿を現しますね》
すると、右手に掴んでいたプレカから灰色の珠が飛び出し、目の前でピタッと止まると…
《お初に御目にかかります。私が空間の大精霊です。創造神様よりミナミ様のサポートを仰せつかっておりますので宜しくお願い致します。》
そう進言すると灰色の珠はゆっくりと廻り始めた。
…お辞儀をしているのかな?
「君が空間の大精霊かい?
大精霊というから、てっきり人型か何かの動物型かと思っていたけど珠だとは思わなかったよ」
失礼かと思ったが、これから長い付き合いになるのだからここは素直に聞いた方が良い関係が築けそうだと思ったので聞いてみた。
《あー実は、先の狭間震えが原因なんですよ》
他の世界にまで影響をあたえた特大の狭間震え。
それはアナトーレス全域にも影響をあたえるほどの大災害であった為、空間の大精霊は世界を守るのに大忙し。
狭間震えが治まった時には体力・魔力共に渇々状態になってしまい人型を維持することが出来なくなってしまった。
《そこで、ミナミ様にお願いが御座いまして…》
ん?お願いとな?
《ミナミ様は私よりも上位の存在です。魔力の質が非常に高く量も多いのです。…お願いというのはミナミ様の魔力を私に分けて貰えないかと…》
「そんなこと?良いよ、持ってけ持ってけ」
大精霊の切実なお願いを軽い感じて了承。
珠の状態なので表情は判らないが、おそらくポカーンと間抜け面を晒しているのだろう。
《…こんな簡単に了承されるとは思いませんでしたが宜しいのですか?》
「別段、困るようなことは無いな。
それに君も早く元の姿に戻りたいでしょ?
俺も君がどんな姿か興味あるし。
なんだったら食料買い込んで異空間か亜空間、なんだったら狭間に居座って回復に専念しても良いよ。」
《そこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ。ミナミ様の魔力でしたら数日程で回復出来るので問題は御座いません。》
ふむ、それだったら此処から近くの都市か街に行って見ようかな。
この世界に来てまだ人に会ってないからなー(おっちゃんは除外)
《それでしたらギルドに入るのはどうでしょうか?》
ほう、ギルドとはまたテンプレな。
それはつまり…
「それは身分証を取得するために冒険者ギルドとか商業ギルドとかに申請するという事か?」
やはり、異世界にきたら直ぐ様ギルドに行くのがお決まりのようだ。
《いえ、身分証はそのプレカを見せれば問題は御座いません。》
なんと!?プレカさんマジ便利!!
「では、戦闘訓練か?」
《いえ、それも道中に出てくる魔獣・魔物を倒せば大丈夫です。それにミナミ様は下位の存在からは傷を負う事はないので、それほど急いで学ぶ事もありません。》
んじゃ、ギルド入る必要無いのでは?
《ミナミ様にピッタリな職業が御座いまして。》
ピッタリな職業?
《それは【調達ギルド】です。採取・回収・探索依頼専門ギルドで通称、【調達屋】とも言われてます。》
…何故に?