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オレ、参上!  作者:
6/12

落してた物は前と今の物

短いです。区切りが悪いので短くしてしまいました

多分、叶が知ってるこの世界の知識で考え事してるんだろうけど傍から見たらとても気味が悪く見える。

顔色は少しだけ青く、歩きはフラフラ。……速攻で保健室に連れられて行くパターンだわぁ。


あまりにも悪すぎて見えるから心配だ。学年別の玄関で別れてしまったから叶の方に行けないけど……保健室に行かせるべきだったかな……。

チラリと近くの時計を見ると、もう少しで鐘が鳴る時間になる。……遅刻はしたくないし、あれぐらいなら大丈夫だろう。……大丈夫だよな?


さて、早めに来たけど話ながら歩いていたから随分時間がかかってしまったみたいだし、ここは走らずともなるべく早く教室に行きますか。

遅刻なんて格好悪いからね!


「おい」

「……」

「おい!」

「……オ、私ですか?」


急いでるときほど人に呼び止められることてあると思うのはオレだけだろうか?

おいとしか言われなかったかわからなかっただろ。ちゃんと名前を言え、名前を!


オレを呼び止めたのは昨日、食堂で会った……婚約者の……名前なんだっけ?

まだ全然名前を覚えていないからわかんねーや。とりあえず、婚約者の赤茶毛イケメンがそこにいた。……今度ちゃんと名前覚えよ。


「私に何の用でしょうか?」

「……」


こんな奴、正直オレは関わりたくもない。性格が合わないって感じがいっぱいするのだ。

だが叶があまりあからさまな態度をとったりしないでと言ったから笑顔で訪ねてやった。本来ならてめーなんか話なんてしたくないんだ!!叶に礼を言っとくんだな!!


そこで少しばかりドヤァとしていたが、赤茶毛イケメンは一向に何も言わない。

……人様呼んどいて無言?とことん礼儀知らず過ぎねーかこいつ?

用がないなら呼ぶなよ!呼んじまったら何もないぐらいや謝りぐらいしろよ!!


無言の赤茶毛イケメンに心の中でそっと爆発しておく。

こんな言葉をお嬢様言葉にできる方法がわからない。お嬢様言葉難しい。

それに別にオレはこいつにケンカ売りたいわけではないし、第一に叶の方に矛先が言ったらイヤだからさ。


「……お前……」

「はい?」

「朝っぱらから他の男と登校とは、とんだ尻軽だな」

「……」


口開いたと思ったら何言ってんのこいつ。

女に言うことじゃないし、人が多いここでそんなこと言うなんて最低以外のなんにでもないな、それ。


おかげで笑顔は消え、こちとら蔑みの目だ。

人としての常識すら知らないのか、知っているのに守れていないのか。どちらにしろ、今この瞬間からこいつは敵と見なした。

顔が良いからって調子こくなよイケメンが!オレはてめーの知ってる三沢王華じゃねーぞ!!


「……尻軽ですか。そうですか。ただ一条家の次男と話しながら登校しただけであなたには尻軽と見えたのですね。何を思って、知って、尻軽なんて言ってきたのか、ぜひぜひ聞かせてほしいものです。もっとも、それが本当の尻軽という意味に値している可能性は低いと思いますが」

「なっ……」


ごめんね、叶。姉ちゃん、無理だわ。

いくら大人げないとわかっていても元々の性が短気なんだよ。

頭に血がのぼったら冷静失うタイプでごめんよ。……でもね、叶。


オレ、全部押し殺して笑っていられ程、聖母でも何でもないんだ★


赤茶毛イケメンが何か言う前にさっさとその場を退場する。今度会う時気まずい……てか会う機会あるのか?

イライラするなぁ、ホント。今ここで言うことじゃねーだろ!!

思い出したらまたムカムカしてきた。ダメだ。絶対婚約解消してやる。絶対してやる!!


「お、おおお、王華、様」

「……ん?」


教室に入り、品がないが少し乱暴にイスに座る。

すると、知らない子が来た。オレが知らないだけで前の王華は知ってるのかもしれないけど。


体が少し震えてて、身長的にオレが高いから上目使いに見える。

髪はボブみたな短めで薄い茶色。個人的には好きな色だ。

……まんま、大人しい系で小動物系に見えた。一言、言ってもいいだろうか?


もろ好みです。ktkr。


「あの……」

「あ、うん、ごめん。私に何の用ですか?」

「これを……」


あまりにもオレの好みドストライクだったからついトリップしてたぜ。

……誤解を生んだかもしれないがオレは正真正銘、前も今も女だ。ただ、良くあるではないか。こんな子と仲良くなりたいそういう感情が!!

そんな初々しいのはOLの時にはございませんのでちょっと変態チックになってしまっただけですー。


小動物みたいな子が渡してきたのはとても見たことあるキーホルダー。

トンボ玉という一種のガラス細工みたいなものがある。ビーズみたいに穴があって、そこに糸を通してあるキレイなもの。

色はさまざまだけど、このトンボ玉みたいなのには紫と水色で塗られている。


「落し物で、と、とと、届きました。差出人は、ふ、不明だそうです。お、王華様の、でした、よよね」

「……そうだね。私のだ。ありがとう」

「い、いえ!ありがとう、だ、なんて……勿体ない、お言葉です」


ぺこりと一礼して去って行く小動物みたいな子。……名前聞き忘れた!折角のチャンスだったのに!

ボッチは意外と堪えられない……オレみたいな豆腐メンタルの人間には特に……。


気を取り直して渡されたトンボ玉を見る。……何から何まで似てる。

そのトンボ玉は、前世でオレが昴に、つまり叶に上げたものだ。どこかへの出張のときにお土産として叶に。

叶は前世、サッカーをしていたからオレの記憶が正しければその必勝を願って上げたんだと思う。間違ってなかったらだけど。ちょっと記憶が確かじゃないなぁ。


これがこの世界にあり、オレの手元にあるのは何の理由があるのか。

わからないけど、世界は並行って言ったりするし、どうでもいいや。後で叶に見せよー。


ポケットの中に入れてるケータイが振動し、見れば叶から。

【昼休み、東校舎の二階、空き部屋】

実に叶らしい、簡潔な内容。行くけど……昼飯は?



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