落し物はなんですか~
「そういえば叶ってオレより1つ下?」
「そう。兄さんは姉さんと同級生。てか俺と二人になるとオレって言うのやめてくれ」
「叶だからいいじゃん」
私って息苦しいんだよね。
ため息をつく叶をスルーして近くのベンチに座る。
ここは知っている人はいないに等しい中庭のとある場所。草花のトンネルみたいな場所だ。
中心部がドームになっててちょっとした秘密基地みたい。こういうところってテンション上がるよな。元OLでもテンション上がるぐらいすごい!
一度は行ってみたいランキングあったら絶対ランクインしてるって。何位に?さぁ?
「ここも長くはいられないからとりあえずアドレスと電話番号を交換して」
「はいはい。えーっと……」
うおっ、王華のケータイ最新型?ちょ、ガラケー時代の人間にムリ強いられてるよこれ。
……ケータイに付いてる一つキーホルダに気が行きかけたけどそれよりも先に連絡を……あったあった。
叶のケータイ(叶も最新だと!?)に近づけて、ピッポッパッポッのっピッ。そーしん。
無事に交換し合い、叶と別れる。
オレ頑張ったよ!ハイテクノロジー操作できたよ!
この調子で迎えの連絡を……あれ?キーホルダーが足りない。
何がなんて鮮明に覚えていないけどないっていうのは確かにわかる。これは……落としたかも。
落としたものって拾わないと気がすまないんだよね。……仕方がない。探しに行こう。
来た道を戻りながら辺りを見回すけどそれらしき物はない。そして戻ってきたドーム。
遭遇した。誰に?
こっちが聞きたい。誰だ?
「……」
「……」
つい本能的に隠れてしまったではないか。そろりそろりと気づかれないようにその人を見る。
白色の髪……外国人じゃねーか!パスパス!元の王華は知らないけどオレは英語苦手なんだよ!読めるけど発音できないの!
よくよく見ると白髪の外国人は何かを手のひらに乗せて見ている。密かな光でキラキラ光ってるのはわかるけど……なんだろう?
……もういいや。早く家に帰って寝たい。
あーもうここまでばれないなら最後までばれないで行きたい。気付かれないようにそうっと……
「貴方は、誰?」
―――っと、美少女(?)じゃん。ちょうどよく外人さんの気がそれたし今の内に。
美少女でもいい仕事するね。オレはさっさと帰りますか。
……あ、結局落し物どうしよう。……明日学校に相談しよ。
そんだこんだで次の日。
私は学校から少し遠めのとこから降ろしてもらい思う。
痩せよう。そうでなくてもこの体をキープしないと、と……。
おいしいですよ……料理。けどまさかおいしいのに太るって……。
くそ、罠かっ!!
「おはようございます、王華さん」
「うおっ、おはよう叶」
「『御機嫌よう叶君』。repeat after me」
「無理です」
オレ、無理強は良くないと思うんだ!!
車から降りてすぐ叶に会えてよかった。まだ他の生徒はいないし、素が出ても大丈夫だし。
けど次はもう少し遠いところから下ろしてもらうから。脂肪は女の敵!
「一緒に行こう叶」
「王華さん、あなたには婚約者がいるじゃありませんか」
「そういえばさ、婚約の解消の仕方知らない?」
「知るか……知りません」
一瞬素が出たな叶よ。
叶も婚約解消の仕方を知らないのか……どうやればいいんだ本当に?
もう中身はオレだし、記憶が(今世の)ないから婚約者のこと好きでもなんともないし……。
正直、婚約者と苗字が同じでビビった。え、血縁……え?っなった。
家は分家でご先祖の一人が養子でそこから血が途絶えたらしい。こういう家系って血が重要じゃないんですかね?
まぁ、だからオレの家は三沢って苗字だけども血の関係は終わってるらしい。それなのに三沢を名乗るを疎ましく思う奴らもいるらしいけど……父と母がそんなの関係ないほどの権力や人脈を持ってました。
すごいね、そして怖いね。
「ところで王華さん。まさかと思いますが昨日、あの場所で落し物しませんでしたか?」
「したした。もしかして拾ってくれたの?」
もうすこしで学校。そろそろ口調直した方がいいかな。
そう思いながら叶ほ見ると叶の顔が青くなってた。え、どうした!?
「ウソだろ姉さん……あの場所で落し物なんて……いやまだ……」
「何言ってんの?大丈夫?保健室行く?」
「姉さん、まだ探しに言ってないよね?」
「行った。なんか白髪がいて主人公?いたから速攻帰ったけど」
オレ英語話せないから。王華のスペックなら話せそうだけど中身オレだから。
正直にその時のことを言えば叶は項垂れた。だからどうした?
あとここに人いなくてももう少しで学校でから。そろそろいつもの口調にしようか。
「本当に大丈夫か?学校休んだ方が……」
「隠しキャラ登場条件クリアさせんなよ!!」
……カクシキャラ?ジョーケン?
…………姉さん、チンプンカンプン。