表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレ、参上!  作者:
11/12

友達ゲットー!!

話合い難しすぎて挫折した。

あれから少し経って、父に連れられて客室に入る。

そこには青い顔をした千保さんと……多分千保さんの両親も青い顔していた。どんだけ怖いんだ三沢家。いや怖いのは前の王華か?

座った父に続き、隣に私も座る。安心させようと笑顔を浮かべると余計怯えられた。なぜ!?つり目だから!?


「お、お久しぶりです……」

「ああ。久しぶりだな。で、謝罪とは?」

「は、はい……この度は、私どもの娘がお嬢様にご迷惑をお掛けして「その件についてなのですが」は、はい!!」


うわぁ……誤解を訂正させようとしたら余計縮こまったんだけど、千保さんのお父さん(だと思う人)。

え、なに?もう笑顔なんて作んなくていい?どうせ怯えられるよね?

前の王華許せねー!!


笑顔を止め、真面目な顔にする。

怯えられたけれど笑顔でも変わらないから仕方がない。……べ、別に寂しくなんかないやい!!……ないやい(泣)


「お父様」

「いいぞ」

「では……まず初めに言っておきますが、私は千保さんに何もされていません」

「っ、お、お言葉ですが、わ、私が、もっと、ちゃんとしてれば……!!」

「千保さんは何もしていませんでしたよ?……それにしましても、誰かに言われたのですか?」


なんとなくだけども千保さんの言い方は自分が悪いと言われたからそう思い込んでいるように聞こえる。

気のせいかもしれないけど、こういう子、会社にもいたからなぁ。

暴走して全責任負いそうになっていたから私もミスしましたわ~ってその時のチーフに言ったっけ?実際ミスってたし、チーフはいい知人だからまたかよ~で済んだけど。


そんなことを思い出してる内に千保さんの顔色は余計に悪くなっていた。

……おーい!!なんでこうなった!!


「ち、千保さん!?え、と、すみませんが私と千保さん以外席を外してください。それとお父様」


あっぶな!素が、素がでかけた!!

それだけは、ちょっと、色々怒られるから!!(主に叶に)


とりあえずオレと千保さん以外を外に出し、お父様には千穂さん用に何か飲み物を頼んでおく。ごめんお父様。もしオレの素が出たらお父様卒倒しそうなんだもん。だから席外してね?

かなり渋々と出て行ったお父様が近くのメイドを呼んだの確認してから部屋に戻り、とりあえず千保さんをソファーに寝かせた。

断られかけたけど無理矢理寝かせた。何とでも言えばいいさ!!でもそれぐらい千保さんの顔色悪いんだって!!


「本当に、申し訳ありません……」

「いえ、千保さんの体調の方が心配ですから」


本当に心配だよ。

そんなに私の顔って怖いのか?遺伝は仕方がないけど、どうしたものか……。


近くからイスを引っ張ってきて千保さんの隣りに置き、座る。

千保さんは顔を隠すように横になって、何もしゃべらない。……あ、無言タイムすか。了解っす。

オレも黙り、目をつぶる。脳内でとりあえずインテリ眼鏡を殴っておこう。オラオラオラオラァア!!

ついでにあの婚約者も殴っておこう。ふはははっ!私の気分が晴れるなぁ!!


「……王華様」

「……ん?」

「私は、私は役立たずなんだそうです」


まさか自分の妄想で聞き逃したなんてヘマはしたくないので千保さんの話に耳を傾けたらとんでもない単語を言われた。

何がどうしてそんなことに!?オレが何も言えないとわかっているのか、千保さんはそのまま話す。


「私は、昔っから晶様にご迷惑をお掛けしてきました」

「(晶……って誰だ?)」

「だから、私のせいで、晶様はいつも怒るのです」

「……(思い出せねぇ。誰だよ晶)」

「今回も、私の説明が遅かったと、私が、悪いんです。すみません。すみ、ま、せん……」

「そんなことありません」


言うなら晶って誰だよって聞きたいけどそんなこと聞けないので、違うところを否定した。

いや待て……あと少しで晶って奴思い出せそうなんだけど……やっぱわかんね。誰だ?

ちょっともやもやするけど今はそのことについては引っ込めて千保さんを見つめる。怖いけどやっぱ安心させめために少しは笑顔を……。


「だって、千保さんは私を助けてくれたではありませんか」

「助け、てなんて……」

「図書室に案内をしてくださいましたし」

「でも、わたしが、王華様と一緒にいたせいで……」

「千保さんは私が何もしていないと言ってくれましたよね」

「でも、遅くてっ……」

「遅くても言ってくれたじゃないですか。言わなければ彼は、八ヶ島のご子息は私に対してだけではなくこの三沢家にも無礼を働いたことになっていたかもしれませんから」

「……」

「千保さんは、何も悪くありません」


悪くないってのは本当。

てか、今の聞いてよーくわかったけど八ヶ島、てめーなに千保さんのせいにしてんだ?あ゛あ゛?

……晶って八ヶ島か。あのインテリ眼鏡か。OK。今合点がいった。


脳内で殴っていたオレは悪くなかったと思いながら千保さんの笑みは崩さない。いや、だってね?笑顔のほうが安心するときってあるじゃん?オレのは全然そんな効果ありませんでしたがー。

しばらくして静かな空間にノックの音が響く。立ち上がり、ドアを開けてメイドさんから飲み物を受け取る。……ただの水に見えるけど時たまウン十万のアルプス山脈~って水出されるから怖いわ。


千保さんのところに戻るとドアの音でか腰掛けていた千保さんに水をあげる。そして自分も飲むぜ!!あー、うまいなー。

大分落ち着いた千保さんに涙の跡はなく、それだけでも安心です。いやぁ、女の子の波だってどうしたらいいかわかんないよねぇ。オレが泣くのはわさびを食べた時ですが。

あ、そうだ!


「王華様……私……」

「千保さん、こんな状況でおかしいのだけども私、あなたにお願いがあるの」

「お願い……?お、王華様の、役に立つのでしたら……」

「そんなんじゃなくてね?私と――」




「―――友達になってくれないかしら?」











「――そう言ってなんか無理矢理だけど友達になった。めでたしめでたし」

「いや、めでたしめでたしじゃないよね?」


只今オレと叶がいるのはジャンクフード店。ハッピーなセットがある店でポテトを食べつつジュースを飲んでいたりしている。

休日になったので叶を案内人にして買い物をしようと思ったのだ。(王華)の服はドレスみたいなスカートばっかりで正直動きにくいのでズボンを求めて叶を誘った。そしてついでに焼肉屋ね!!

焼肉屋が本音とかそんなじゃないよ……?


軽く腹ごしらえというか、こっちの世界での庶民の食べ物を食べようとお馴染みの店で食事しながら千保さんとの出来事を叶に語っていたのさ。

聞くたびに叶がひどい目で見てきたけど、オレの心は折れなかったぜ!!……少し折れかけたのは内密に。

あの後大変だったねぇ。色々あったというか、親をどうしようかとか。

あ、ついでに流れで父親には再教育を頼んだ。そこまで飛んでいないだろ?と言われたけど飛んでますから。最早別人のオレですから。


「花形千保って……ヒロインの友人兼サポートキャラじゃん……」

「サポートキャラ?」

「各キャラの情報をくれるんだよ。……まさか姉さんの友達になるなんんて……」


ふーん。便利だね。でもオレが千保さんに聞くことはないと思うよ?まず設定からよくわからないし。

飲みきったのか容器からズコココッと音が聞こえてきたのでトレーの上に置く。世界が変わってもこのチープなジャンクフードはおいしいね!!

叶も頭を押さえながら食べきったみたいで、カップをトレーに置いたらそのまま持って行ってくれた。ありゃりゃ、なんかすまんな。


返却口に向かう叶を見ていて、ふと他の女性たちも叶を見ていることに気が付く。確かに叶はハーフで美形で少しだけ冷たい印象を受ける容姿だけどそこがいいというのではモテそうだ。しかも私服だというのに今時のオシャレな服装は叶に似合っている。

……なんか腹立ってきた。


「……何その恨めしそうな目」

「別にぃ?返却ありがとうございましたー」

「全然ありがたさが伝わってこないんだけど」

「めっちゃ感謝してまーす」


このモテ男が!!

前世と変わらず異性にモテやがって!!


「なんかわかんないけど、服見に行くんでしょ?それなりの服を買わなくちゃいけないんだからそろそろ行くよ」

「はいはい。お願いしますー」

「……はぁ」


ため息つくなって。

全部はモテるお前さんが悪いのさ!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ