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眼に見えないもの 序

週6なんて無理だったんや!

というわけでいつものてきとーペース。すみません。

 旨い料理というものは人をこんなに幸せにするものかと俺はしみじみと思った。

「ごちそうさま」

ガミはそうそうに食べ終わると食後のココアを注文していた。

俺の皿にはまだ二切れほどピザが残っていたので新たに注文することはしなかった。


「彼の作品を、君はどう思った」

ガミは”ばーほーでん”だか言うココアを片手に言った。紅茶花伝の親戚だろうか。

「どう、というと・・・まぁ面白かったっていうのが素直なところだな」

俺は彼の作品から怪奇というような印象を受けた。誰もの頭の中を徘徊するという馬上の骸骨とか骨がいくつも連なって形を作ったり、髪の毛で編んだワンピースだったりだ。あんな発想も表現する根性も俺には無いということを改めて教えられた。

「あ、あと”眼に見えないものを視覚化する”って言うのは印象的だったな」

「入場口の看板だろうそれは。・・・だがそのコンセプトは私も面白いと思う」

「お前もそう思ってくれるか。・・・眼に見えないものを視覚化するって矛盾しているようだけど・・・でもそれが芸術って言うのかなって思ったよ」

「そうか。それも芸術という言葉の1つの解釈だな。・・・眼に見えないもの。一体眼に見えないものっていうのは何だろうな」

俺はガミの顔を今一度よく見た。表情には別段変化は無い。いつもの無表情だ。つまりガミは自然に思ったことを口にしただけなのだろうか。

「眼に見えないものって言うくらいだから視覚できないんだろうな。・・・感情とか?」

「そうだな。確かに心の形も眼には見えないし、思いも見えるわけではない。あると考えられているが、その実体を掴めぬものともいえるのかな」

「ほかにはお前が前に話してくれた”愛”とか」

「うん」

「それと・・・友情なんてものも物体があるわけじゃない」

俺は悠也の影が脳裏を掠めていくのを感じた。悠也と俺との間にあったものは何だったのだろうか。何があって、それは壊れたのか、欠けたのか、生まれ変わったのか、その答えは手に触れて「これはこうだ」とはっきり確認できるものではない。

「人間の関係の中にあるものたちだな」

「他には・・・他は・・・」

俺は思いつかなくて言葉に詰まった。

「たとえば、時間」

ガミがポツリとつぶやくように言った。

「時間?それは一応見ることはできるんじゃないのか?」

「物理法則、数学の論理、その他学問も目の前に答えは純然と示されているが、難解で、見ることができる人と見ることができない人がいる。意識しなければみえない、よって意識していない間は存在しないのと同じ扱い・・・つまり見えない、というわけだ」

「なるほど。物理法則も数学の公式も意識したことなんてテスト前くらいしかなかったな」

「大多数の人間は自分の見たいものしか見ようとしないからな。彼らにとって興味の無いものは無いのと同じだ」

「うんうん。今までの俺の生活には物理法則なんて無いも同然だったな。無ければ生きてないんだろうけど」

「他にこの線で言うなら・・・しがある」

「?今なんていったんだ?」

「”死”がある、といったのだ。死ぬの”死”だ」

「死だって?」

死がある。俺はおかしな響きだと思った。

「死っていうのはあれだ・・・人が死ぬとか電気系統が死ぬとかの?」

「そうだな」

”死”という言葉の示すものはいわゆる”終わり”だと俺は思う。

人の死、花の死、動物の死、星の死、生命の終わり。死ぬことでその人生は完全に停止する。そこまでで終わってしまう。死んだら終わり。やりかけのゲームも連載中の続きが気になるマンガも友達との会話も貯めてきたお金の使い道も女の子との出会いも夢も希望も、あらゆる楽しいことがそこでできなくなる。逆を言えば苦しむこともそこでなくなる。終わり・・・死とはつまり終着点でその先は無い。

俺は死についての一般的な常識をガミにぶつけてやった。

ガミは一言だけ返事をした。「実にくだらない思想だな」、と。

「こんなの常識だぜ。みんなこう考えて生きているはずだ」

俺はガミに食って掛かった。

「君がそう思うのならそれでいいよ。他人の思想まで自由にしたいとは思ってない」

ガミはいつもと変わらない淡々とした調子で軽くいなした。俺はガミが言ったことの意味は曖昧だが否定だと思った。

「なんかなげやりじゃないか?」

「常識といわれるとちょっと哀しくなってな・・・」

こんなところで哀しくなるなんて言葉をガミから聞くとは思わなかった。しかし常識という言葉の一体どこに哀しさがあるのだろうか。

「なんかあったのか・・・悪かったな」

理由がどうあれ気分を害してしまったのなら先に謝ってしまった方がいいと俺の経験が言っていた。そうすれば相手が聞いて欲しければそういうそぶりでわかるし、聞いて欲しくないならそこで終わらせることができる。

だがガミは全く変わった奴だったことを忘れていた。

「・・・そう思うなら1つしてもらいたいことがある」

俺は何かはめられた様な気持ちがした。謝った状況で頼みごとをされると断れるものではない。

「自分が死んで、その後どうなるのかじっくり考えてみて欲しい。できる限り自分の考えに従ってだ」


 多分俺はとても現金な奴なのだろうと思う。

 夜、寝静まった我が家の、無音のリビングでソファーに腰を沈めながらガミとの約束を果たそうとしている俺はそう自嘲した。

 結局あの後は「終わりなんだからその先があるわけ無い。考えることなんてできるわけない」という旨を色々と言葉を変えてぶつけるものの、ガミは「やってみなければそんなことわからないだろう」という旨をそのままの言葉で打ち返してくるのでどうにも話がつかなかったから俺がチョコレートサンデーで買収される形となった。

 そういう成り行きでこうして一人ぼっちで物思いにふけれる環境を用意したわけだ。

細切れで投稿してすみません。

が、続きが書けていないのだから仕方ないと開きなおる。

日曜に上げれたら・・・いいなぁ。

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