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第18話 雷が世界を守った日


光が、すべてを呑み込んだ。


 


雷と闇が衝突した瞬間、

最終深層の空間そのものが、悲鳴を上げた。


 


音は、遅れてやってきた。


 



 


衝撃に弾き飛ばされ、

ライムの身体が地面を転がる。


 


「……っ!」


 


呼吸が、追いつかない。


 


雷装・完全展開の反動が、

一気に身体を蝕んでいた。


 



 


『はぁ……はぁ……』


 


視界の向こうで、

ドラグもまた、膝をついていた。


 


黒い装甲のような皮膚に、

無数の亀裂が走っている。


 



 


『……見事だ』


 


ドラグが、低く笑う。


 


『異世界でも、

 ここまで追い詰められたことはない』


 



 


「……なら」


ライムは、

震える脚で立ち上がった。


 


「ここで、

 終わりにする」


 



 


ドラグが、

ゆっくりと立ち上がる。


 


『終わり?』


 


『違うな』


 


『世界とは――

 奪い合うものだ』


 



 


闇が、

再び集まり始める。


 



 


「ライム!」


雨宮の声が、

遠くで響く。


 


「もう限界だ!

 下がれ!」


 



 


ライムは、

首を横に振った。


 


「……下がらない」


 



 


異世界では、

逃げた。


 


だが――

ここは違う。


 



 


「この世界は」


 


雷が、

微かに灯る。


 


「俺の、

 居場所だ」


 



 


雷は、

もう荒れ狂っていなかった。


 


静かで、

鋭い。


 



 


「――《雷心》」


 


※雷魔法士が、自身の感情と魔力を完全に同調させる精神集中技

 攻撃力は増さないが、魔力効率と制御精度が飛躍的に向上する


 



 


ドラグの動きが、

手に取るように見える。


 


怒り。

焦り。

そして――恐怖。


 



 


『……貴様』


 


『その目……』


 



 


「見えてる」


 


ライムは、

一歩、踏み出した。


 



 


仲間が、動く。


 


佐野が、

盾で地面を叩く。


 


「今だ!」


 



 


ひまわりの魔法陣が、

ドラグの動きを縛る。


 



 


くるみの声が、

響く。


 


「魔力循環、

 中央一点に集中してる!」


 



 


「……そこか」


 



 


ライムは、

拳を握った。


 


雷が、

一点に集束する。


 



 


「――《雷穿らいせん》」


 


※雷を極限まで圧縮し、

 一点貫通力に特化させた必殺技


 



 


雷は、

音もなく走った。


 



 


次の瞬間。


 


ドラグの胸を、

貫いていた。


 



 


『……が……』


 


ドラグの口から、

黒い霧が溢れる。


 



 


『雷……』


 


『なぜ……

 ここまで……』


 



 


ライムは、

静かに答えた。


 


「守るものが、

 あるからだ」


 



 


ドラグの身体が、

光に包まれる。


 



 


悲鳴は、

なかった。


 


ただ、

風に溶けるように消えた。


 



 


玉座が、

崩れ落ちる。


 


門が、

軋みながら閉じていく。


 



 


深層が、

静かになった。


 



 


ライムは、

その場に崩れ落ちた。


 



 


「……終わった、のか」


 



 


雨宮が、

駆け寄る。


 


「……ああ」


 


「あなたが、

 世界を守った」


 



 


意識が、

遠のく。


 


最後に見えたのは――

仲間たちの顔。


 



 



 


目を覚ますと、

白い天井があった。


 


医療施設のベッド。


 



 


「……生きてるな」


 


佐野の声。


 



 


「当然でしょ」


くるみが、

ほっとした顔をする。


 



 


ひまわりが、

涙を拭っていた。


 


「……おかえりなさい」


 



 


数日後。


 


記者会見。


 


世界中が、

注目していた。


 



 


「魔族ドラグは、

完全に消滅しました」


 


雨宮の言葉が、

はっきりと響く。


 



 


その横で、

ライムは立っていた。


 



 


雷を操る異世界人。


 


だが――

もう、それだけではない。


 



 


「彼は――」


 


「世界を守った存在です」


 



 


拍手が、

湧き上がった。


 



 


ライムは、

小さく目を閉じた。


 



 


異世界で失った居場所。


 


だが、

ここで見つけた。


 



 


視界に、

光が浮かぶ。


 


【ステータス更新】


名前:ライム

レベル:20


称号:世界守護者(仮)

称号効果:

・対魔族戦闘時、全能力微増

・周囲への安心感付与(精神影響・小)


 



 


雷魔法士ライムは、

この日――


 


世界を守った。


 


そして、

この現代は――


 


彼の第二の故郷となった。


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