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世界は[純文学?]
『お前なんか誰からも必要とされてないんだよ!』
会社からの帰り道、上司から言われた言葉を反芻しながら、踏切の遮断機が上がるのを待っていた。
実際はもう少し優しい言い方だったかもしれない。だけど「会社に必要ない存在」だと言われたのと変わらない。
それはもう存在の否定だろう。
連日の残業、休日出勤、仕事の失敗、上司からの叱責。
度重なる心労に、心が疲弊していた。
気づけば暗い浜辺まで来ていた。
波に誘われるように海水に足を浸す。
そのままゆっくりと進んだ。
全身が海水に浸かり、顔までも海に沈みかけたとき。
満天の星空が見えた。
夜空はこんなにも美しいものだったか?
溜まりに溜まった淀みが、涙とともに流れ落ちる。
世界は美しい。
心無い言葉で死ぬのは勿体ない。