そう、エルフはモテるのである。
この物語は、作者がノベプラに投稿しようとしているエルフコン用作品の冒頭です。
長くなりすぎたのでノベプラ版は端折るかもしれません。あとヒロインが全く出てきませんがラブコメ予定です。
俺の名はオレーノ・ナハ・エルフ。
名前すらないエルフの集落に住む、しがない田舎エルフだ。
そう、エルフ。
長い耳を持ち、容姿は皆整っており、長い年月を生きる。
自然をこよなく愛し、魔術に深い造詣をもつ。
そんな崇高な種族が俺たちエルフ……
な、訳ねえだろうがっ!
端的に言おう、俺はエルフが嫌いだ。
長い耳? ハッキリ言って邪魔にしかならない。
いいかお前ら、冬場の『耳冷めて~(はあと)』が『は? 死ぬ』になるんだぞ?
顔立ちが良い?
お前らエルフの顔の見分けついてねえだろうが。
エルフから見ればピンキリだわ。
長い年月を生きる?
後悔と積み残しが増えるだけだ。
後、言っておくが俺らが長いんじゃない。お前らが短いだけ!
自然を愛するのも魔術に造詣が深いのも人による!
そう、一般人が想像するエルフ像など全てマヤカシなのだ!
にも拘わらず、だ。
そう、エルフはモテるのである。
待て、拳を振り上げるな。
これは何の自慢でもない、事実だ。
いや待て、俺がモテているといった類いの話じゃない。
いいからその出刃包丁を下ろせ。
エルフがモテることは、深刻な社会問題なのだ。
前述の通り、俺たちは他種族から見れば皆整った容姿に見えるらしい。するとどうなるか。
異種族は熱狂的にエルフに求婚する。
するとエルフの間では非モテエルフだった者たちは、こぞって他種族と交わろうとする。
結果としてエルフの森は過疎化の一途を辿り、モテエルフだった者たちも仕事を探しに都会へと出る。
長齢の半面、出生率が異常に低い事で知られるエルフだ。
ここ数千年で純血のエルフは随分と数を減らした。
最早エルフは、避けられない『種の根絶』というレールに乗っているのである。
こんなエルフの森に残っているのは、余程の馬鹿か、俺のようなひねくれものだけ。
「以上の事から、俺は馬鹿共が嫌いであるっと」
「やあオレーノ、何根暗馬鹿みたいな文章書いてるんだい?」
「おう筋肉馬鹿。お前はママの腹の中に気遣いを置いてきたのか?」
「お、喧嘩か? 安くしとくぞー」
おっと。黒歴史生産中に話しかけられたものだから、つい脊髄反射で返しちまった。
振り返るとそこには俺の腐れ縁、ユジンが立っていた。
ユジン・フリエンド。数年前にやって来た、この集落唯一の人間だ。
聞いた話によれば、どうやってデカい町のナントカという大学で植物学研究をやっているらしい。
以前『そう何年も離れていればいいものなのか』と問うたところ、『長期の出張申請を出したから大丈夫さ。申請結果は聞いていないけどね』などと宣いやがった。
捜索隊の一人も探しに来ていないあたり、これが初めてではないのだろう。いい加減に足を生やしたような人間である。
「喧嘩だ喧嘩。人がコソコソ書いてるモンを監視するような外道は狩りの逸れ矢にでも遭えばいい」
「何言ってんだ、君は村の弓を引けないだろう? 僕と違って」
「はいでた筋肉マウントー! オレーノ君そういうの良くないと思う。おかしいのは学者の癖にじーさん連中に混ざって狩り楽しんでるO・MA・E !」
「フィールドワークは植物学者の基本だ。寧ろ君が非力すぎるだけじゃないか?」
「馬っ鹿、俺は魔法メインなの! 基礎体力はあるの! 逃げ足だけは早いから良いの!」
「なんと情けない……これが現代のエルフの姿か」
「そうだよ、エルフもマイナーチェンジの時代だ。強弓連射したり、木の上飛び交う蛮族の時代は終わったの」
「うーん、僕は古臭い価値観も嫌いじゃあないけどなぁ……」
戯言をのたまいながら、ユジンはズカズカとパーソナルスペースに侵入してくる。
おい、勝手に座るな。有料席にすんぞ。
「で、結局何を書いていたんだい?」
「残念だったな、そんな笑顔向けてきても隠し事をするのがかなり心苦しく感じるだけだぜ!」
「君の性根がひん曲がっている割には、お人好しな性格にはいつも助かっているよ」
「お人好しじゃねえ。風見鶏と呼べ!」
「ハイハイ、自虐で話を逸らさないで本題に入ってくれるかな」
「ボケを受け流される事ほど虚しいことはないな……」
ユジンの言葉に観念した俺は、カウンターキッチンの方へ向かいつつ話を始める。
「――つまりだな、この村に俺を好きになってくれる美人エルフがいないのは、深刻な社会問題が関係していると言っても」
「過言でしょ」
「最後まで言わせろよ!? 咽び泣きすぎてメソメソマッチョになるぞテメェ」
「一体何処からマッチョ要素が……?」
俺がテーブルに茶を二つ運ぶと、ユジンは態々自分から遠い方のカップを手に取る。
チッ。テメェ、勘づきやがったか。
「で、そんな下らない事を紙に書いて何がしたいんだい?」
「いや何。方方の集落や村の長に送りつけて、緩みきったエルフ共に警鐘を鳴らしてやろうと思ってな」
「徒労な行いに身を投じるエルフ大好きっ子に、僕は涙が出そうだ」
そう言ってユジンはわざとらしく目頭を抑える。
「中干し時期の土ぐらいカラッカラだぞお前。誰がエルフ大好きっ子だコラ」
「嗚呼すまない。然し、徒労であることは否定しないのが君らしい」
「お前のその空気を全く読む気がない態度は嫌いじゃあねぇよ?」
重みがまるでない謝罪と、鋭い指摘。
幾ら保守的な考えが多いエルフであろうと、人間が起こした産業革命の波には抗えない。エルフの伝統などは、観光客を呼ぶブランド程度に成り下がってしまった。ウチのような田舎を除けば、だが。
まあ、元より高尚なものでもあるまい。滅びるべくして滅びゆくのだ。
なんだか、妙にセンチになったな。話題変えるか。
「……で、今日はどうしてウチまで来たんだ? ズズッ……不味っ!?」
「自分で淹れておいて何故ハズレを飲む……」
「俺はパイ投げのパイも後で美味しくいただくタイプなんだよ馬鹿野郎……不ッ味! 茶葉育てやつに失礼とは思わねえのか育てたの俺だわ馬鹿野郎」
「此処を、離れようかと思ってね。お別れの挨拶をしに来たんだ」
「ちゃんと飲めるぐらいの不味さにしてるの流石俺。ゴミみたいな努力なら無限に続けられる自信が……ナンテ?」
「ほら、もうすぐ雪が溶けるだろう? 今度行商が来たら乗せていってもらおうかと思うんだよ」
「……ナンデ?」
震える手でカップを口に運ぶ。
なんだコレ、薄すぎねぇ?
「何でと言われても、僕の本分は教授だからね。色々と見るものは見れたし……それにホラ、最近僕もシワが目立ってきただろう? 長く居過ぎたぐらいさ」
「シワってお前、最初からそんなモンだっただろ」
改めてユジンの顔を見る。
そう言われると、老けたか? イヤ分からん、人間の顔なんて直ぐ変わるから覚えてられん。
「まあ、そうか。纏め役には話を通しとくよ」
「もう伝えてきたよ」
「俺ファーストじゃねぇのかよ。幻滅したわユジンちゃん、別れましょ」
「ははは、刺すよ?」
ニコニコ顔で物騒なこと言うなよ。泣くぞ俺。
「中々興味深かったよ。エルフの里山はね」
「そうかよ。里山……里山ねぇ」
俺は穏やかに笑うユジンの言葉を反芻する。それを察したのか、ヤツはからかう様に言葉を続けた。
「君たちが守っているありのままの自然は、君たちが守っている時点で既に里山になっている」
ああ勿論だ。人の手が通っているならそこは里山なのだから、当然の理屈だ。
「あくまで学問的な視点に過ぎないけどね。賢い君なら分かっていただろう?」
そんな事はわかっている。嗚呼勿論。
「お前、爺さん連中には絶対いうなよ?」
「ハッハッハ、そんな事したら今日仕留めた鹿と同じ目に遭うね」
適当な笑い声と共に、今日まで必死に保ってきたエルフ像が崩れてゆく音が聞こえた。
やはり、皆が思い描く古き良きエルフは絶滅していたのだ。その事実を、俺は味のしなくなった汁と共に飲み込んだ。
「向こうに着いたら手紙を出すよ」
「要らねぇわ、郵便来ねぇし。行商に頼む気か?」
「その時は着払いにしておこう」
「おう喧嘩だ喧嘩」
宣言通り、ユジンは雪と共にこの村から消えた。
俺は、弓の練習をしなくなった。
どうもおはこんばんバラレットラ!!!!
全自動駄文生産ラインこと漫才大好き残機1LIFE0ですっ!
さて、5月半ば締め切りのエルフコンに向けて作品を書いていたわけですが……応募要項1万文字以下に対してヒロイン登場せず3千文字超えていました(バカ)
そんなこんなでノベプラ版では冒頭端折られるかもしれないため供養兼、反応が欲しかったため書き慣れているなろうに投稿しようと思った次第です!お暇であればご感想お待ちしております!!!!!(ヒロインもいないのに????)
というかユジンが書きやすすぎて、途中から女体化させてヒロインにしてやろうかと思いましたがやめておきました。私の中のユジン像は割とオッサンなので。多分若いエルフに囲まれすぎて若者口調が抜けてないオッs(刺
ハイ、何処からかナイフが飛んできた所でそろそろ御暇したいと思います。後々ノベプラに投稿するラブコメの方も読んでいただければ幸いです。
多分投稿したら活動報告か後書きに追記するかしてるかもきっと多分恐らく。
ではでは、またまたいつか貴方の時間を無駄にできることを願って(暗黒微笑)